東京ヘレン・ケラー協会会報『青い鳥(L'Oiseau bleu)』 第41号 2023年2月7日発行 発行人:奥村博史 編集人:塚本泉 製作:広報委員会 社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会(Established in 1950) 〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-20 本部、ヘレン・ケラー学院 電話 03(3200)0525 FAX 03(3200)0608 ヘレン・ケラー治療院 鍼灸・あん摩マッサージ指圧 電話 03 (3200) 0585 FAX 03 (3200) 0608 点字図書館 電話 03(3200)0987 FAX 03(3200)0982 点字出版所、盲人用具センター、海外盲人事業交流事務局 ●第72回ヘレン・ケラー記念音楽コンクール ヘレン・ケラー賞に坊田惣祐さん  「第72回ヘレン・ケラー記念音楽コンクール」(東京へレン・ケラー協会主催、参天製薬株式会社・名古屋宗次ホール協賛、トッパンホール会場協力、毎日新聞社など後援)が昨年11月19日、東京都文京区のトッパンホールで開かれた。器楽7部門、声楽2部門の9部門に全国から34人が参加し、日ごろの練習の成果を披露した。最も感銘を与えた演奏に贈られるヘレン・ケラー賞は、弦楽器の部で1位を受賞した坊田惣祐(ぼうた・そうすけ)さんが獲得し、当協会の奥村博史理事長から記念としてクリスタルトロフィーと賞状が贈られた。審査は、ピアニストで国立音楽大特任教授の花岡千春さん、桐朋学園大前学長の梅津時比古さん、声楽家の淡野弓子さん、邦楽ジャーナル編集長の田中隆文さん、ヴァイオリニストの和波たかよしさんにお願いした。また、今年の特別演奏は、桐朋学園大、大学院を経て、ウィーン国立音楽大post graduate課程を修了し、第86回日本音楽コンクール第3位、第1回Shigeru Kawai国際ピアノコンクール第3位、2022年第11回スウェーデン国際デュオコンクール第1位など多数の受賞をされている原嶋唯さんが出演し、ショパン「ピアノソナタ第2番 『葬送』 変短調 Op.35」を演奏していただいた。 ●第72回ヘレン・ケラー記念音楽コンクールに入賞された方々は次の皆さん。 (敬称略、数字は学年、該当なしの順位もあります) 【ヘレン・ケラー賞】 弦楽器の部 坊田惣祐(広島県立広島中央特別支援・小6) 【ピアノ1部】 1位=野本彩華(筑波大附属視覚特別支援・小3) 3位=岩越愛奈(岐阜県立岐阜盲・小3) 【ピアノ2部】 1位=新倉将希(神奈川県立平塚盲・小5) 3位=荒田百里(筑波大附属視覚特別支援・小6) 奨励賞=安倍成一郎(筑波大附属視覚特別支援・小6) 【ピアノ3部】 奨励賞=田中雄大(茨城県立盲・中2)、井上奏人(龍ヶ崎市立中根台中・3年) 【ピアノ4部】 2位=東玲那(横浜市立盲特別支援・高1) 3位=古田土明弥(桐朋女子高等学校音楽科・3年) 【創作編曲の部】 1位=古田土明弥(創作演奏 桐朋女子高等学校音楽科・3年) 【弦楽器の部】 1位=坊田惣祐(クラシックギター演奏 広島県立広島中央特別支援・小6) 2位=長野礼奈(ヴァイオリン演奏 筑波大附属視覚特別支援・高2) 【その他の楽器の部】 奨励賞=山下蒼空(箏演奏 筑波大附属視覚特 別支援・高3)、田中美羽(ファゴット演奏 静岡県立浜松視覚特別支援・高1) 【独唱1部】 1位=新倉将希(神奈川県立平塚盲・小5) 2位=松井知花(東京都立久我山青光学園・小6) 【独唱2部】 1位=神山翔(栃木県立盲・高1) 3位=町田天音(筑波大附属視覚特別支援・高3) 奨励賞=川本一輝(筑波大附属視覚特別支援・高3) ●第30回ヘレンケラー・サリバン賞に藤野克己(ふじの・かつよし)さん  視覚障害者への支援に功績のあった人・団体を表彰する「第30回(2022年度)ヘレンケラー・サリバン賞」(東京ヘレン・ケラー協会主催) がNPO法人・日本点字普及協会理事長の藤野克己(ふじの・かつよし)さん(78)に決まり、昨年10月7日に贈賞式が行われた。  式は、協会ホールと藤野さんの自宅(神奈川県大和市)をオンライン(Zoom)で結んで開催された。本賞の賞状と、副賞のヘレン・ケラー女史の直筆サインを刻印したクリスタルトロフィーが贈られ、翌日、藤野さん宅に宅配便で届けられた。  藤野さんは横浜市出身で、高校時代から点訳のボランティア活動に取り組んだ。神奈川県や岐阜県で点字図書館に勤務する傍ら、点字表記法の全国統一、点字や音声の情報を全国ネットで提供するシステム(サピエ)の構築・運営に積極的に携わって中心的役割を果たした。「てんやく広場」運営委員長、全国視覚障害者情報提供施設協会(全視情協)事務局長などを歴任し、現在も日本点字委員会副会長を務めるなど、視覚障害者の利便性向上、特に中途視覚障害者や小学生への点字の普及に長年尽力してきた。  贈賞式では当協会の奥村博史理事長、選考委員の指田忠司・日本盲人福祉委員会常務理事、長岡英司・日本点字図書館理事長が祝辞を述べ、日本点字普及協会の初代理事長で視覚障害者支援総合センターの高橋実元理事長からの祝電も披露された。  藤野さんは受賞スピーチで、高校生の頃から携わってきたさまざまな活動についてエピソードを交えて振り返り、「これまでの取り組みが多くの人に支えられてきたことに感謝し、ささやかながらこれからも取り組みを続けていきたい」と点字普及への熱意を語った。 ●4施設合同職員研修会&ハラスメント研修会  協会全体の職員研修会が昨年7月6日、本館3階ホールで開かれた。これまでも、主に新入職員を対象に何度か実施されている。今回は2013年以来でもあり、今年度の本部事業として、新人研修の意味も込めて9年ぶりに開催した。2部構成で、計23人が参加した。  第1部(13:30〜14:50)は概ね入職5年以内の職員と希望者を対象とした。  まず、当協会の名誉総裁でもあるヘレン・ケラー女史が来日した際の様子などを記録したDVDを鑑賞した。この後、奥村博史理事長が、組織図などの資料を配布し、当法人の概要や役割などを説明。そのうえで、4月に開設した就労継続支援B型事業所「ヘレン・ケラー治療院 鍼灸・あん摩マッサージ指圧」や、2025年3月に閉校予定のヘレン・ケラー学院について説明した。  続いて、塚本泉点字出版所長、川西幸治点字図書館長が各施設の概要などについて話した。  第2部(15:00〜16:00)は、全職員を対象に、東京都福祉保健局のハラスメント研修担当で当協会監事の岩ア雄大弁護士による「ハラスメントの未然防止のために」と題した講演を行った。  岩ア弁護士は、最近の「ハラスメント」には「アルコール」「モラル」「カスタマー」など80以上の種類があり、社会通念の変化、権利意識の向上などが増加の背景にあるとし、具体的内容や判例を挙げ、社会通念の変化によって「悪気のない加害者」が生まれる可能性があることも指摘した。  また、パワハラ防止が義務化された改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)に関することのほか、「ハラスメントは評価の問題で、職場の共通認識が重要」と述べた。  終了後のアンケート調査に、「自分の職場以外のことや協会の全体像、目指している方向性などを知ることができた」「ハラスメントに関し、最近は『逆ハラ』もあるといい、自分の行動・発言に一層気をつけたい」など、さまざまな感想が寄せられた。 ●同行援護従業者養成 第2回ステップアップ研修  昨年10月17日、協会3階ホールで、同行援護従業者養成研修修了者を対象とした「第2回 ステップアップ研修」を開催した。  内容は「障害体験・ロービジョンの利用者への対応」(講師:東京視覚障害者生活支援センター 長岡雄一氏)、「高齢の利用者への対応について」(講師:神奈川ライトハウス 福喜多恭子氏)。どちらも現場のガイドヘルパーにとって悩ましい問題で、20名の募集定員が満員御礼となった(当日は1名が欠席し受講者は19名)。  1コマ目の障害体験では、受講生がシミュレーションメガネを装着し、ロービジョンの状態で読み書きと移動の課題に取り組んだ。  2コマ目は、高齢の利用者の支援について、受講生の質問に答える形で講師からの説明やデモンストレーションがあり、さらに全体でのディスカッションに発展させる形で演習が行われた。   全体的に活発な問題提起や話し合いが行われ、内容の濃い研修となった。受講者からも「参加して良かった」「貴重な体験ができた」と好評だった。来年度以降も開催を希望する声が多く聞かれた。今後も、現場のガイドヘルパーの研さんと交流の場として、ステップアップ研修を行っていきたい。 ●和波たかよし氏 喜寿記念コンサート「77から未来へ」  「ヘレン・ケラー記念音楽コンクール」で審査員を務めておられるヴァイオリニスト、和波たかよし氏の喜寿を記念するコンサートが昨年12月4日、東京都千代田区の紀尾井ホールで行われた。  前半は「4つのヴァイオリンのための協奏曲ロ短調」(ヴィヴァルディ)、「ト長調とヘ長調のロマンス」(ベートーヴェン)を演奏。後半はブラームスの大曲「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」を演奏された。この日のために編成された「77記念特別オーケストラ」には、氏の教え子や関わりの深いメンバーが揃い、約2時間の演奏会は終始和やかな雰囲気だった。休憩後には、上皇后美智子さまがお越しになり、2階席で最後までお聴きになった。 ●3年ぶりネパール現地報告 眼科診療所から眼科病院に 昨年11月15日〜12月2日の旅程でネパールを訪問した。いつものことだが、カトマンズのネパール盲人福祉協会(NAWB)を訪問した後、ネパール南部のインド国境沿いにあるバラ郡(人口74万4千人)の郡庁所在地であるカレイヤ市(人口14万1千人)の市庁舎隣のCBRセンター内にあるNAWBバラ支部を訪れた。コロナ禍により3年ぶりの訪問だったせいか、いつも以上に温かく歓迎された。  当協会はNAWBとともに、バラ郡において、地域を基盤とした視覚障害者リハビリテーション(CBR)を12年間にわたり実施してきた。その拠点として、外務省NGO補助金を受けてバラCBRセンターを1991年に建設した。  当時、バラ郡ではトラコーマとか、農作業中に草の葉で目を傷つけた後そのまま放置したことによる失明等がとても多かった。だが、それらの多くは初期の段階で目薬を1滴差すような簡単な初期治療「プライマリーアイケア」によって、本来は完治するものである。また、年中日差しがとても強い当地では、加齢性白内障ではない、老化以外の原因による白内障による失明も多かった。だが、これは簡単な手術で視力が回復するので、ネパールでは失明に加えない場合が多い。  プライマリーアイケアの推進と、各国のNGOやライオンズクラブがバラ郡で行うアイキャンプ(白内障手術)の拠点として開設されたのが、バラCBRセンター附属眼科診療所(バラ眼科診療所)であった。  バラCBRが完了してからも、バラ郡には眼科病院はなく、眼科医療機関はこのバラ眼科診療所だけだった。このため当協会の支援が終わった2002年以降もNAWBバラ支部は行政の支援も受けてバラ眼科診療所を細々とではあったが粘り強く運営してきた。  国際協力によって建設された施設や設備は、支援が終わるとともにうち捨てられ、廃墟となるケースも少なくないが、バラCBRセンターは別だった。  2021年、ビジョンネパールというNGOの支援を受けて、バラ眼科診療所を基礎に所長室を眼鏡調整室に、会議室を病棟に改装する等、入院できる設備を完備して、常勤スタッフ9人と非常勤の眼科医により白内障手術も行える「カレイヤ眼科病院」に発展していた。(海外盲人交流事業事務局長・福山博) ●理療教科用図書の電子化作業始まる  当協会の所属する理療教科用図書出版会と、日本理療科教員連盟(理教連)が検討してきた理療教科用図書の電子化(電子教科書)について、文部科学省で予算化が認められ、2023年度の供給開始に向けて当協会点字出版所も製作に取り組んでいる。  電子教科書は、墨字拡大版の内容をタブレット端末(iPad)に表示する「UDブラウザ版」と、点字版の内容を点字ディスプレイで表示する「点字データ版」の2種類。  UDブラウザ版は、中野泰志・慶応大教授の研究室が開発した教科書・教材閲覧アプリで、視覚障害(主に弱視)のある児童生徒がタブレット端末で拡大閲覧や音声読み上げ機能などを利用できる。各出版施設が製作したUDブラウザ版のコンテンツを中野研究室のサーバーで管理し、コピー防止の認証パスワードを設定した上で全国の視覚支援学校(盲学校)に供給する。点字データ版は、点字ディスプレイのメーカー2社が開発したコピー防止の点字データ暗号化システムを利用し、各出版施設が点字版のデータを暗号化した上で各校に供給する。  当協会は3教科の理療教科用図書を担当しており、従来の墨字拡大版、点字版、音声版(デイジー)に加え、この2種類の電子版を新たに製作し、新年度分からの供給に向けて準備している。 ●4施設合同「火災避難訓練」を実施  「防災の日」の昨年9月1日、ヘレン・ケラー学院、ヘレン・ケラー治療院、点字図書館、点字出版所の4施設合同で火災避難訓練が行われた。新館3階の点字出版所内の湯沸かし器室から出火――の想定で訓練が始まった。本館では、学院職員が視覚障害者の教員、学生の避難誘導に向かうも、教員、学生は誘導を待たず自力で正面階段から次々と避難。初参加の治療院も職員、利用者さんともに速やかに避難できた。点字出版所では、職員2人がヘルメット姿で消火器による初期消火の模擬訓練を実施。早稲田別館3階と1階から職員が手分けして視覚障害者の職員の避難誘導などを行った。 ●点字出版所「防災だより」創刊  点字出版所の防災委員会が、大規模災害への備えをテーマに1月16日、「防災だより」第1号を発行した。今年は関東大震災から100年。東日本大震災から12年を迎えるにあたり、改めて職員の防災意識高揚を図り、今後も適宜発行する。(PDF版は拡大してご覧ください)  防災委は塚本泉・点字出版所長を委員長に、清水鉄夫・防火防災管理者(防災主任)、各課の防災委員5人、オブザーバー職員(事務局)の計8人で昨年7月から活動を開始。大災害発生時の職場待機に備えて備蓄食料品や備品を見直すほか、棚上の落下危険物のチェック・整理整頓などを行っている。  第1号では、現段階で用意した備品一覧を掲載。個人的に準備しておきたい備品チェック表も載せた。各自で常備薬など必要な品目、数量を検討して積極的に準備し災害に備える。  火災を想定した避難訓練は協会全体で取り組んでおり、今後、災害対応マニュアルや備蓄品などについて、他施設も含めて協会全体で情報共有していきたい。(「広報委員会名簿」の後に付録として「防災だより」概要を掲載) ●「ヘレン・ケラー治療院 鍼灸・あん摩マッサージ指圧」 HPが完成  昨年9月下旬、「ヘレン・ケラー治療院 鍼灸・あん摩・マッサージ指圧」のホームページ(https://helen-keller.jp/)が完成、公開された。  施術の予約は主に電話で受け付けている。ホームページの「アクセス」欄に表示される電話番号(03−3200−0585)を選択すると発信できる仕組み。今後は患者さんへのアンケート回答や、読者に関心を寄せていただけるような東洋医学に関する情報なども掲載していく予定。広報活動ツールとして積極的に活用していきたい。 ●法人サイトもリニューアル!  また、これを機に当協会の法人サイト(https://thka.jp/)も2004年の開設以来、初めてリニューアルし、昨年10月8日、公開された。  新サイトは、情報をより探しやすくするため、各施設コンテンツを大幅に見直した。ホームページヘッダーには、文字サイズ変更や白黒反転機能を搭載している。また、各ユーザーが閲覧するデバイスに合わせてホームページのレイアウトを最適化するレスポンシブデザインも取り入れた。今後、内容を順次更新していくとともに、コンテンツなどをさらに充実させていく。 ●助成事業報告  下記の通りご助成を受けて完了しました。ご支援、誠にありがとうございました。 (公財)洲崎福祉財団の継続助成事業(2021〜2023年)  昨年4月に開業した就労継続支援B型事業所「ヘレン・ケラー治療院 鍼灸・あん摩マッサージ指圧」に対し、今年度は1,000万円のご助成を受けた。  主な内訳は、人件費300万円のほか、ポータブルベッドや施術ユニホームなど消耗品費175万円、ホームページ作成費160万円、作業室手洗い・網戸設置費50万円、点字印刷機41万円、看板設置費33万円など。  同事業所は今年1月末現在、利用者さんは、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家資格を持った12人(うち4人はヘレン・ケラー学院の卒業生)。新型コロナ感染拡大の状況をにらみながら本格稼働した7月中旬以降、患者数は延べ400人以上に上る。また、点字名刺は600枚を受注した。 ●人事          【点字出版所】〔採用〕 <昨年8月1日> 生熊素万(印刷課) ●編集後記  新しい年を迎えました。2023(令和5)年は、どういう年になるのでしょうか。ロシアの侵攻によるウクライナ国民の惨劇はいつまで続くのでしょうか。政府は新型コロナウイルス感染症を5月に2類相当から5類へ引き下げるそうですが、感染拡大は大丈夫なのでしょうか。記録的な諸物価の高騰はいつ収まるのでしょうか。当協会の点字出版所にも資材などの値上がりが重くのしかかっています。  いろいろと不安の種は尽きませんが、そうそう嘆いてばかりもいられません。  ヘレン・ケラー女史の名言の一つにこうあります。「世界は苦痛に満ちていますが、それを克服することにも満ちています」。さあ、顔を上げて、困難に向き合いなさい――という励ましに勇気づけられます。(塚本泉) ●広報委員会 委員長:塚本泉(業務執行理事・点字出版所長) 委員:福山博(点字ジャーナル編集長) 委員:大久保美智子(ヘレン・ケラー学院) 委員:戸塚辰永(点字出版所編集課) 委員:佐久間朋(点字出版所製版課) 委員:和泉枝里(点字図書館) ++ ●【付録】 防災だより 第1号 2023年1月16日発行  点字出版所防災委員会は塚本泉・点字出版所長を委員長に、清水鉄夫・防火防災管理者(防災主任)、各課の防災委員5人、オブザーバー職員(事務局)の計8人で昨年7月から活動しています。  東京都は大規模災害発生時の交通インフラの混乱を避けるため、「帰宅困難者対策条例」を施行しています。条例では大規模災害時には人命救助に必要な72時間はむやみに移動せず、職場に1〜3日間程度待機をする一斉帰宅の抑制を呼びかけています。そこで防災委員会では、災害発生時の職場待機に備え、点字出版所として用意すべき備蓄品・防災備品の見直しを行っております。今号では現在点字出版所として用意している防災備蓄品を下記の通りお知らせします。  また、防災備品の内容については、各々必要となる品目、数量がさまざまです。点字出版所防災備蓄品リスト及び個人で準備したい防災備品リストをご確認の上、ご自身に必要な品目、数量等についてもご検討いただき、いつ起きるかわからない災害に備えて防災意識をもって自らも積極的に準備をお願いいたします。  ■点字出版所防災備蓄品(2023年1月現在)  保存水:500ml 144本 2l 12本 ※1人あたり1日(3l)分を確保。今後推奨とされる1人3日分(9l)を備蓄予定  アルファ米(61食)・缶入りパン(24缶) ※1人あたり2.5食分。今後推奨とされる1人3日分(9食)を備蓄予定  おやつ:ようかん50本・ビスコ5缶(1缶あたり5枚入り6パック)・クラッカー6缶(1缶あたり6枚入り6パック)※1人あたり0.5食分  毛布:29枚(未使用15枚・クリーニング済14枚)  ヘルメット:白4個(配布先は所長・防災主任・初期消火隊2名)、黄色4個(配布先は編集課触読校正者)  防災ずきん:10組(3組の配布先は編集課晴眼者手引き避難時用)  簡易トイレ:1箱(100セット入)※凝固剤で1人あたり約3回分  簡易トイレ本体:1個※追加購入検討  除菌シート:1個(100枚入)  ボディシート:2個(1個あたり30枚入)  応急処置セット(解熱鎮痛剤・マキロンなど)※出版所で用意できるものはあくまで一般的なものです。医師から処方されている薬・飲み慣れた市販薬があれば日頃よりご自身で常備するようにしてください。  モバイルバッテリー:アンドロイド用2台、アイフォーン用1台(いずれも乾電池式)※個数は有限、自身の機種にあったものを各自準備しておくとよい  ハンディラジオ:1台  懐中電灯:11個  乾電池単2(乾電池):20本  割り箸(100本)・木製スプーン(25本)※各自でもスプーン等用意を  ■各自で準備しておきたい防災備品  防災用品と呼ばれるものは多種多様です。また、点字出版所で準備しているものでも個々人で必要な分量は違ってきます。下記に備えておきたい防災備品を例示しますので、備えの参考にしてください。点字出版所の備蓄品のみに頼らず、自ら積極的に防災意識をもって準備して下さい。【下記リストは出版所の備蓄品と同じものもあります】    ・避難時出版所内滞在用(机やロッカーなどに備えておくとよいもの)                    非常食:水(水筒)、手間なく食べられるもの  身体保護:使い捨てカイロ、履き慣れた歩きやすい靴、エマージェンシーシート、レインコート、着替え(動きやすいもの)、下着  衛生用品:マスク、消毒グッズ、汗拭きシート、生理用品、歯磨きセット、ジッパー付きバッグ、携帯トイレ、消臭袋  ・携帯したい防災グッズ(帰宅時等持ち歩けるようにポーチなどにまとめると便利なもの)  情報:モバイルバッテリー、充電用ケーブル、イヤホン、防災情報アプリ  身体保護:メガネ・コンタクト  安全確保:簡易ライト、防犯ブザー・ホイッスル  非常食:水、手間なく食べられるもの  衛生用品:常備薬(おくすり手帳)、応急処置セット  貴重品:小銭を含み現金、身分証明証、緊急連絡先  防災委員会では、防災に関して職員の皆さんに知っておいてほしいこと、共有しておきたい情報について「防災だより」でお知らせしてまいります。 ++ --------- “視覚障害者と共に” 社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会 ホームページもご覧ください。 https://www.thka.jp ----------