東京ヘレン・ケラー協会会報 青い鳥 第14号 2009年6月19日発行 発行人:藤元 節 編集人:石原 尚樹 発行:広報委員会 社会福祉法人 東京ヘレン・ケラー協会                      〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-20 本部、ヘレン・ケラー学院 電話 03(3200)0525 FAX 03(3200)0608 点字図書館 電話 03(3200)0987 FAX 03(3200)0982 点字出版所・盲人用具センター・海外盲人事業交流事務局 〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-4 電話 03(3200)1310 FAX 03(3200)2582 -------------------------------------------------- インデックス: ●国際ピアノコンクール優勝・辻井伸行さんの快挙に思う ●新入生は11人 ●平成20年度事業報告 ●平成21年度事業計画 ●平成20年度法人貸借対照表 ●平成20年度事業活動収支計算書 ●平成20年度資金収支計算書 ●首相の名は「ネパール」 ●平成20年度賛助金 広がった支援の輪 ●点字出版所再生のために ― 所長就任のご挨拶 ― ●学院卒業式 7人が新しい門出 ●新評議員に山内修氏 ●60周年に向けて新ロゴマーク制定 ●サポートグッズフェア2009春 オーデコに人だかり -------------------------------------------------- ●国際ピアノコンクール優勝・辻井伸行さんの快挙に思う   創立60周年を期し飛躍の年に 負の遺産一掃、障害者福祉をレベルアップ    理事長 藤元 節(たかし)  「これで、音楽家として出発点に立つことが出来た。次に待ち構えている山を一つひとつ乗り越えられるよう、頑張りたい」。バン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝した辻井伸行さんは、NHKテレビのインタビューで、こう話しました。私はモーツァルトの難曲「黒鍵」を見事に弾きこなす映像を見ながら、14年も前にヘレン・ケラー記念音楽コンクール(当時の名称は全日本盲学生音楽コンクール)の舞台を提供していたことに、思いを馳せました。  このとき小学1年生の辻井さんは、大学生まで合わせたピアノの部で、第1位をさらっています。彼が「東京へレン・ケラー協会主催の音楽コンクールで第1位になり、目は見えなくてもピアノは、やれるものだと自信を持つことができた」と述懐したのは、昨年4月の日韓交流コンサートでのことでした。  「音楽家志望の視覚障害を持つ児童・生徒の登竜門に」を掲げ、和波孝禧さん、武久源造さんら多くの才能を送り出したこの音楽コンクールが、いまも十分に機能していることを実感し、辻井さんを中核にして来年の60周年記念事業を展開できないかと、模索を始めたところです。  来年は、協会創立から正真正銘の満60年。点字出版所、へレン・ケラー学院とも厳しい経営環境の下にありますが、悲観も楽観もしていません。どんな企業でも60年も過ぎれば経年疲労を起こします。点字出版所は、新年度のスタートと同時に大幅な人事異動を伴う大胆な組織改変と意識革命に踏み切り、へレン・ケラー学院も、職員と講師陣の熱意と同窓会の協力で再生5年計画が一歩ずつ前進し、国家試験では前例のない好成績を重ねて注目を集めています。  私に残された任期満了の来年6月11日までに、長年にわたる「負の遺産」を完全に清算し、協会に課された視覚障害者福祉のレベルアップに職員が安心して取り組むことができる素地を作れるよう、万難を排して取り組みます。 ●新入生は11人  ヘレン・ケラー学院の平成21年度入学式・第1学期始業式は4月8日、3階ホールで行われた。5年課程6人、3年課程5人の新入生を迎え、学生総数は38人になった。  3年課程の林行俊さんが新入生を代表して「社会に貢献するための資格を得るために、勉学にはげみます」と誓いの言葉を述べた。   藤元節学院長は「今年は昨年に引き続き、あん摩マッサージ師の現役合格率が100%となり、2年連続達成となった。これまでにない好成績を収めたが、過信することなく、学生諸君は気を引き締めて勉学に望んでほしい」と挨拶した。 ●平成20年度事業報告  〔ガイドヘルパー養成研修事業〕5年目に入り、6、10、2の各月の3回(各土日の4日間)実施した。実技重視と充実した講師陣の評価は高く、自治体からの受講生委託の増員もあって、毎回、定員を上回る応募があった。3回で計74人(通算15回で366人)がガイドヘルパー(視覚障害者移動支援従業者)の資格を手にした。  〔ヘレン・ケラー学院〕新入生は5年課程10人、3年課程3人で、学生総数は36人。5年課程1年と3年の各1人が病気などで退学した。21年2月の第17回国家試験では現役9人があん摩マッサージ指圧師に2年連続全員合格、はり師、きゅう師も7人中6人が合格する好成績を収めた。3年をめどに教育を通じて障害者を支援するソシエテ ジェネラルの協会への協力がスタートし、弱視者対策を重点に拡大読書器や人体模型購入などの機器整備に着手、さらに奨学寄付金により私費生の授業料減免などを行う就学支援金会計を設けることができた。  〔点字図書館〕東京都補助金額は微増にとどまったが、積極的な寄付・賛助金の呼びかけで多額の寄金が集まり余裕のある運営ができた。またソシエテ ジェネラルの助成により大型デュプリケータを購入したほか、図書館だより「あい」の発行を年4回から6回に増やし、利用者への情報提供環境はさらに改善された。録音図書貸し出しはテープからデイジーへの移行が急速に進み、自舘製作についても懸命に対応した。「サポートグッズフェア」は本年度から主管を盲人用具センターに譲り、図書館は運営のノウハウとアイデアを担当して、8月20日と3月18日の2回開催。各回とも予想を超える来館者で名実共に協会の主要イベントに成長した。8月のフェアでは「ヘレン・ケラー女史の肉声」が聞けるコーナーを新設し、3月にはフェアと並行して、ベテラン歩行訓練士による「見えにくい人のための相談会」を開いた。  〔点字出版所〕中期経営改善計画第2年度は総選挙実施を見込んで事業計画を策定し、修正しないまま予算を執行したため、経営に大きな打撃を与える結果を招いた。2月に実施した職員全員アンケートで、「人事崩壊」が危ぶまれる状況が浮き彫りにされ、新年度を期してトップ更迭を含む大幅な人事異動と組織改変、さらに人件費の見直しと新規受注獲得に向けた態勢づくりなど、真の再生を図るための施策を実施することになった。  選挙関係では、選管へのDM郵送効果もあり、知事選挙を含む22の選挙で点字版「選挙のお知らせ」や「氏名等一覧」を作成。官庁からは「家庭教育手帳」、「裁判員パンフレット」等を受注した。点字図書では、久々に発行した点字図書「やさしく読み解く裁判員のための法廷用語ハンドブック」がベストセラーとなった。続いてソシエテ ジェネラルからの助成金で「大地震から家族を救う方法」全2巻を作成し、平成21年度の新学期に間に合うよう、点字図書館、盲学校など167カ所に配布した。  〔盲人用具センター〕音声血圧計を初めて日点用具事業課に卸して、予想以上の成果を上げた。当協会及び外部の展示会にも積極的に参加し、販路拡大へのきっかけとなるつながりが出来た。ホームページ直接注文ができるシステムの開発が課題として浮かび上がった。  〔海外盲人交流事業〕4年目となる毎日新聞東京社会事業団の寄託によるネパール視覚障害児奨学金事業をネパール盲人福祉協会(NAWB)と共同で統合教育校7校(対象47人)で実施した。バラCBRセンターの3年計画最終年の改修工事を行った。故安達禮雄氏の遺族からの寄付金でNAWBに「安達禮雄育英基金」を創設。また、匿名希望の本事業後援者から父親の遺徳を顕彰して「正雄育英基金」を次年度に創設してほしいと寄付金が寄せられた。事業管理等のため8月21日〜9月3日の間、福山博事務局長がネパールに出張した。 ●平成21年度事業計画  ヘレン・ケラー学院は、平成24年度を最終年度とする学院再生計画2年目に当たり、前年の東京メトロ副都心線西早稲田駅開業によって埼玉県の委託生枠を満たすことができたので、本年度は東京都を最重点地域として、入学希望者の掘り起こしに全力を挙げる。また、委託生制度のない地域や授業料を実費負担する学生のために新設した「就学支援金制度」の拡充・定着に力を入れる。また、国家試験で、現役受験生のあん摩マッサージ指圧師3年連続100%合格達成に加え、はり師、きゅう師も全員合格を目指し、きめ細かな受験指導を行う。  点字図書館は、デイジー図書作成作業の効率をさらに高めるための機器導入を進める。また、IT関連・パソコン指導の充実を図るために必要なソフト導入を実現できるよう、助成団体に積極的に働きかける。  点字出版所は、中期経営改善計画最終年度に当たって、総務課、業務課、経理課を総務課に統合するなどの抜本的組織改変と定期昇給凍結などの人件費抑制策と大胆な査定実施によって、組織運営の健全化を図る。至上命題である民需拡大を実のあるものにするため、再組織する「企画推進係」を中心に、社会性や地域貢献性の強い民間企業、公益団体に幅広く提案し、着実にフォローする。機器導入については、懸案の固型点字印刷機に代わる最新型エンボス点字印刷機導入の資金面でのめどがついたので、遅くとも平成22年度にはフル稼働できるよう、点字出版所の総力を挙げて取り組む。  以上、3施設を中核として事業を進めるが、要員配置の総合的な見直しは必須であり、情報・生活支援など、調査を進めてきた事業を含めて、新規事業の成否についても、結論を急ぐ。 ●平成20年度法人貸借対照表    平成21年3月31日現在(単位:円) 【資産の部】  勘定科目、当年度末の順  **************  流動資産 66,474,415  (現金預金) 36,963,228  (未収金) 16,996,850  (貯蔵品) 11,078,668  (前払金) 1,193,535  (その他の流動資産) 242,134  **************  固定資産 645,567,829  **************  基本財産 166,384,308  (建物) 26,626,832  (土地) 99,757,476  (基本財産特定預金) 40,000,000  **************  その他の固定資産 479,183,521  (建物) 1  (構築物)  215,887  (機械及び装置) 10,273,730  (器具及び備品) 9,563,460  (措置施設繰越特定預金) 1,000,000  (その他の積立預金) 457,654,000  (その他の固定資産) 476,442  資産の部合計 712,042,244 【負債の部】  勘定科目、当年度末の順  **************  流動負債 12,228,909  (未払金) 5,056,626  (預り金) 962,983  (前受金) 3,146,100  (賞与引当金) 3,063,200  **************  固定負債 70,622,000  (退職給与引当金) 70,622,000  **************  負債の部合計 82,850,909 【純資産の部】  基本金 17,849,770  **************  国庫補助金等特別積立金 22,472,138  **************  その他の積立金 388,032,000  (人件費積立金) 30,000,000  (施設整備等積立金) 111,300,000  (その他の積立金) 246,732,000  **************  次期繰越活動収支差額 200,837,427  (次期繰越活動収支差額) 200,837,427  (うち当期活動収支差額) △21,659,459  **************  純資産の部合計 629,191,335  **************  負債・純資産合計 712,042,244 ●平成20年度事業活動収支計算書 (平成20年4月1日〜平成21年3月31日) 単位:円 【事業活動収支の部】  措置費収入 37,302,550  授業料収入 32,773,200  事業収入 167,658,558  経常経費補助金収入 11,028,500  寄付金収入 18,413,245  雑収入 6,962,821  引当金戻入 9,756,000  国庫補助金等特別積立金取崩額 4,877,341  **************  事業活動収入計 288,772,215  人件費支出 227,832,728  事務費支出 20,185,876  事業費支出 47,949,817  減価償却費 9,571,068  引当金繰入 7,522,200  **************  事業活動支出計 313,061,689 【事業活動収支差額】 △24,289,474 【事業活動外収支の部】  受取利息配当金収入 2,628,585  会計単位間繰入金収入 768,741  経理区分間繰入金収入 42,000  **************  事業活動外収入計 3,439,326  会計単位間繰入金支出 768,741  経理区分間繰入金支出 42,000  資産評価損 △1,432  **************  事業活動外支出計 809,309  **************  事業活動外収支差額 2,630,017  ************** 【経常収支差額】 △21,659,457 【特別収支の部】  施設整備等補助金収入 1,491,000  施設整備等寄付金収入 0  固定資産売却益 0  国庫補助金等特別積立金取崩額 0  **************  特別収入計 1,491,000  基本金組入額 0  固定資産売却損・処分損 2  国庫補助金等特別積立金積立額 1,491,000  **************  特別支出計 1,491,002  **************  特別収支差額 △2 【当期活動収支差額】 △21,659,459 【繰越活動収支差額の部】  前期繰越活動収支差額 188,984,886  当期末繰越収支差額 167,325,427  基本金取崩額 0  基本金組入額 0  その他の積立金取崩額 35,312,000  その他の積立金積立額 1,800,000 【次期繰越活動収支差額】 200,837,427 ●平成20年度資金収支計算書 (平成20年4月1日〜平成21年3月31日) 単位:円 【経常活動による収支】  措置費収入 37,302,550  授業料収入 32,773,200  事業収入 167,658,558  経常経費補助金収入 11,028,500  寄付金収入 18,413,245  雑収入 6,962,821  受取利息配当金収入 2,628,585  会計単位間繰入金収入 768,741  経理区分間繰入金収入 42,000  **************  経常収入計 277,578,200  人件費支出 227,832,728  事務費支出 20,185,876  事業費支出 47,949,817  会計単位間繰入金支出 768,741  経理区分間繰入金支出 42,000  **************  経常支出計 296,779,162  経常活動資金収支差額 △ 19,200,962 【施設整備等による収支】  施設整備等補助金収入 1,491,000  施設整備等寄付金収入 0  固定資産等売却収入 0  **************  施設整備等収入計 1,491,000  固定資産取得支出 4,181,015  **************  施設整備等支出計 4,181,015  施設整備等資金収支差額 △2,690,015 【財務活動による収支】  借入金収入 0  積立預金取崩収入 35,312,000  その他の収入 0  **************  財務収入計 35,312,000  借入金元金償還金支出 0  積立預金積立支出 4,681,000  流動資産評価減等による資金減少額等 △1,432  **************  財務支出計 4,679,568  財務活動資金収支差額 30,632,432 【当期資金収支差額合計】 8,741,455 【前期末支払資金残高】 48,567,251 【当期末支払資金残高】 57,308,706 ●首相の名は「ネパール」 〜『愛の光通信』2009年6月号より  ネパール制憲議会は、本年5月23日、議会第3党の統一共産党のマダブ・クマール・ネパール前書記長(56)を新首相に選出した。  ネパール氏は、当協会が支援するジュッダ校のあるロータート郡ゴール町出身で、バラモン(僧侶)階級の家に生まれた。本来の姓はウパディアだが、ネパールやインドではバラモン階級であることがすぐに分かるため、カースト制度に反対する意味から「ネパール」と改名した。  1995年5月31日に当協会が郵政省国際ボランティア貯金の配分金を受けて建設したドゥマルワナ校寄宿舎の落成式には、当時副首相で、なおかつ外務大臣兼国防大臣の要職にあったネパール氏が主賓として列席した。  視覚障害教育にも理解を示し、なにより古参政治家らしからぬ「素朴で正直な人柄」であるため、ネパール盲人福祉協会(NAWB)関係者の中には、支持政党に関係なく熱烈なファンが多い。  昨年(2008)8月中旬に来日し、国際協力機構(JICA)、日本共産党本部、外務省を訪問し意見交換を行った他、ネパールのポカラ市と姉妹都市関係にある長野県駒ヶ根市を親善訪問している。<http://www.thka.jp/kaigai/reports.html> ※(写真)6人の男性、中央に白装束のネパール氏、右端に当時のNAWB会長ラウト氏(新築なったドゥマルワナ校寄宿舎屋上にて・1995年5月31日撮影) ●平成20年度賛助金 広がった支援の輪  平成20年度から始まった当協会賛助会員制度は、好調なスタートを切り、初年度は法人全体で90万5千円の賛助金をお寄せいただきました。あつく御礼申し上げるとともに21年度も引き続き賛助会員制度を維持発展させてまいりますので、いっそうのご支援をよろしくお願い申し上げます。  平成20年度賛助会員は以下の方々です。(敬称略・順不同)  橋本三郎、愛宕洋志、帰山良子、小谷政夫、山崎登志夫、山口智永子、根本陸朗、石原直美、関喜之助、戸村善多、斉藤紀年夫、鈴木克己、渡辺亨、一家恵理、大岩妙子、戸原武己、藤根輝男、畑千尋、長野一郎、小池輝勇、山田安男、西村秀夫、豊田智子、谷口旭、田中秀臣、前田資子、山内経、原田秀夫、福島ふさ子、宇野昭三、古池竹之、広瀬学、浦田實、金本ヒナ子、栗原作衛、経塚良未、清水奈美江、福田夏子、福田拓馬、千坂満昭、白木幸一、桜井芳夫、田代芙美、磯崎治子、山谷靖彦、平林寿美子、丸山進弘、古館太陽、(株)TNK、南雲貞雄、秋山由美子、鈴木八重子、高橋安太郎、志賀信明、神作悦穂、菅聆子、伊藤勇、新井定一、岩原克巳、石田元治、鎧啓子、大島千恵子、野田和夫、東島桂、野口孝明、七戸圭昭、高山米子、沢田文子、稲付修身、田中英子、小泉利治、小泉まり子、黒澤絵美、辛島寛、愛宕道正、早見尚三、町田克夫、佐川日出機、長谷川清、安斎東樹、河野武男、小林豊美、二階堂義孝、平原皓一郎、植田員弘、後藤充子、篠崎照美、相良政孝 ●点字出版所再生のために ― 所長就任のご挨拶 ―    点字出版所長/福山 博  3月25日の協会理事会で、迫修一の後任として、4月1日付で点字出版所長を命じられました。私の後任の編集課長は、田辺淳也が『ライト&ライフ』編集長を兼務しながら務めます。当分の間、『点字ジャーナル』編集長は私が兼務しますが、戸塚辰永が編集課主任(デスク)として、記事の取材や編集を総括いたします。  「活字離れ」同様「点字離れ」がいわれて久しくなりますが、当点字出版所も「出版不況」とは無縁ではなく、きわめて厳しい経営環境にあります。点字出版は典型的な労働集約型事業で属人性も極めて高く、その弊害として、職場内のコミュニケーション不足による不協和音も聞かれ、早急に改善しないと、人事崩壊を起こしかねない危険な状況にあります。  そこで、4月1日付で組織再編を行い、従来の業務課、経理課を総務課(藤永昇課長)に統合しました。総務課には業務係、経理係、企画推進係、総務係を置き、事務のスリム化と事業のスピード化を図ります。また、これに伴い大幅な人事異動も断行しました。  また、本年度は東京都議選や総選挙もあり「点字選挙公報」の受託印刷も行いますが、あえて定期昇給は凍結し、人件費も大幅に圧縮します。そして、(財)JKA(旧日本自転車振興会)の補助金を受けて、今年度中に独・ブレイルテック社製の点字印刷機を導入し、生産システムを増強・刷新します。  とはいえ、まだ不慣れで右往左往しているのが現状ですが、施設長の重責を担いましたうえは、鋭意専心、事業発展のために精励いたす所存でございます。  なにとぞ倍旧のご指導・ご支援を賜りますよう、心からお願い申し上げます。 ●学院卒業式 7人が新しい門出  ヘレン・ケラー学院は3月16日、平成20年度卒業式・第3学期終業式を3階ホールで行った。  5年課程の3人と3年課程の4人の計7人に卒業証書、5年課程の6人に修了証書が授与されたあと、大橋伸明さん(3年)、矢作俊一さん(同)、柴原里美さん(1年)、山口朋世さん(同)、木村修子さん(同)の計5人に優等賞、星野博子さん(5年)と井上喜子男さん(3年)に努力賞が贈られた。  藤元節学院長が「卒業生はプロの医療人として評価される存在になってほしい」と式辞を述べた。続いて、来賓の祝辞、小栗誠夫学友会長の送辞、寺下貴治さん(5年)の答辞があり、「蛍の光」の合唱で式を閉じた。 ●新評議員に山内 修 氏  東京へレン・ケラー協会は5月27日の理事会で、3月末で退任した迫修一評議員の後任としてヘレン・ケラー学院専任講師の山内修氏を委嘱することを承認した。任期は平成22年6月11日まで。 ●60周年に向けて新ロゴマーク制定   11月から1年間、随所に活用  来年創立60周年を迎える東京ヘレン・ケラー協会は、期間限定の新たなロゴマークを創作した=図。これは著名なデザイナーであり、現在使用している「THKA」の英文字を使ったロゴを制作した斉藤茂男さんに依頼したもの。「60」という数字を抱くように協会のシンボルの青い鳥をあしらい、「ランプの灯をかかげ続けて60年」の文字を加えた斬新なデザインになった。  使用期間は今年11月から来年いっぱい。この間、各種封筒やホームページ、その他さまざまな場面に登場させて、記念すべき年を印象づけていくことにしている。 ●サポートグッズフェア2009春 オーデコに人だかり   裁判員制度は身近なテーマ 講演を傾聴  視覚障害者向けの機器や用具、便利グッズなどを集めた当協会の展示会「サポートグッズフェア2009春」は、3月18日、協会3階ホールで開催。最終的な来場者数は、昨年8月開催の123人の最高記録をさらに上回り、157人という盛況だった。  今回の開催でとくに目玉と位置づけたのは、(株)アイプラスプラスが開発した額感覚認識システム「オーデコ」の出展と、5月21日にスタートを控えた裁判員制度の講演会だった。オーデコは、広島・石川・仙台など全国各地から「見に行きたい」という問い合わせがあり、期待の大きさが窺えた。実際、当日はアイプラスプラスのブース前には開場と同時に、二重にも三重にもなる人だかりができた。整理券を配布するなど対応に追われたが、順番待ちは閉会の午後4時まで続き、延べ65人の来場者が体験した。  裁判員制度の講演会は、制度開始を2カ月後に控えていたが、全国各地で実施されている説明会に参加していた人も多く、当日の参加者は15名に留まった。参加者は、講師に迎えた最高裁判所主任書記官の話に熱心に耳を傾け、質疑応答では時間を大幅に越えて、不安や疑問点を質問していた。  今回は、平日の開催にもかかわらず多くの方に足を運んでいただいた。その理由としては、前述した内容のほかにも関心の高かった出展企業と企画を用意したこと、そして、当協会発行の雑誌・ホームページでの告知以外に、他施設・団体のメーリングリスト等を通じ、繰り返し告知を行ったので、サポートグッズフェアが浸透してきたと考えている。今後も、新たな企画を用意したり、関心の高い製品を出展することで、小さい規模ながら注目される展示会として継続していきたい。  〈出展企業〉(株)アイプラスプラス、(株)アサクラメガネ、(有)アットイーズ、(株)アメディア、(株)NTTドコモ、KGS(株)、シナノケンシ(株)、(株)タイムズコーポレーション、(株)日本インシフィル  〈特別参加団体〉NPO法人ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパン、社会福祉法人日本点字図書館、社会福祉法人日本盲人会連合、NPO法人モンキーマジック  〈協賛〉ソシエテ ジェネラル ※(写真)人気の「オーデコ」ブースでのNHK取材陣による撮影の様子。 ---------- “視覚障害者と共に” 社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会 ホームページもご覧ください。 http://www.thka.jp