****************************************************************************** LIGHT OF LOVE 愛の光通信 Overseas Program for the Blind- Plans and Reports No.65 2025.12 冬号・Winter 東京ヘレン・ケラー協会 海外盲人交流事業事務局 ****************************************************************************** *各みだしの前の行に「++」の記号がありますので、検索機能などでみだしを探す時にご活用ください。 ++ 視覚障害教育校紹介 ラボラトリー高校 (Laboratory Secondary School)  1956年に国立トリブバン大学本部校キャンパス内に設立されたラボラトリー高校(愛称・ラブ・スクール)は、ネパールの近代教育における先駆的な教育機関の一つです。学業における卓越性、革新的な教育方法、そして生徒の全人的な育成への取り組みで高い評価を得ています。長年にわたり、本校は質の高い教育の模範となり、生徒の知的、感情的、身体的な成長を重視する教育環境を築いてきました。現在、幼稚部から12年課程までの生徒約3,000名が学んでいます。  創立以来、ラボラトリー高校は、現代社会のニーズに応える教育の提供に重点を置いてきました。本校は、各部門専用の校舎、広い講堂、国際基準のサッカー場とクリケット場、バスケットボールコート、バドミントンホール、卓球ホールなど、最先端の施設を備えています。これらの施設は、学習体験を向上させるだけでなく、様々な課外活動やクラブ活動を通して、生徒たちのリーダーシップ、チームワーク、規律を育むことにも貢献しています。  本校が継続的に成功を収めている大きな理由の一つは、有能で資格を持ち、経験豊富な教職員と事務職員の存在です。献身的な専門家、プランナー、起業家で構成される運営委員会は、学校の卓越した水準を維持する上で重要な役割を果たします。彼らの尽力と保護者の支援のおかげで、本校は発展を続け、持続可能な運営を実現しています。その結果、ラボラトリー高校は毎年、全国各地から意欲的な生徒たちを惹きつけ、豊かな教育環境の中で学んでいます。本校は、創造性、批判的思考力、そして倫理観を育むために設計された革新的なカリキュラム、研修プログラム、そして教育手法を導入することで、生徒の全人的な成長を重視しています。教職員、生徒、保護者の間の団結、誠実さ、そして協力への重点は、学校の最も強力な強みの一つであり、教育における卓越性というビジョンに向けた継続的な成長と進歩を確かなものにしています。  ラボラトリー高校の最も特筆すべき点の1つは、キルティプルにあるラボラトリー高校内に設立された視覚障害者向けセクションです。このセクションは、視覚障害生徒のためのインクルーシブ教育を先駆的に導入することで、ネパールの教育史に新たな1ページを刻みました。  1965年に点字による学習が導入されたことは、教育におけるアクセシビリティと平等の時代の幕開けとなりました。以来、本校は視覚障害生徒と晴眼の生徒双方に平等な機会を提供することに尽力し続けています。  本校の包括的な教育方針は、プルナ・デヴィ・カンサカール氏のようなリーダーを生み出しました。彼女は1973年にネパールで初めて学校卒業資格試験(SLC)に合格した視覚障害のある女性です。また、ブヌ・ダハル氏も、アメリカで視覚障害者コミュニティ向けのキャリアコンサルタントとして国際的に活躍しています。彼女たちの功績は、多くの生徒たちにインスピレーションを与え続けており、機会が平等に与えられれば、障害は成功への障壁にはならないことを証明しています。 現在までに、ラボラトリー高校からは112名の視覚障害生徒がSLC(全国中等教育修了試験、現SEE)に合格しており、本校のインクルーシブ教育モデルの有効性が証明されています。 2025年度の全国中等教育修了試験(SEE)において、ネパール全国で上位15位以内に入った生徒のうち、ラボラトリー高校の視覚障害生徒4名、サンカルパ・アチャリヤ氏、サムヨグ・アチャリヤ氏、クリジャル・ブダマガル氏、そしてユジャン・マハルジャン氏が優秀な成績を収めました。ネパール盲人福祉協会(NAWB)は、第38回総会において、彼ら一人ひとりに1万ネパールルピーの賞金を授与しました。この賞金は、日本の下館ロータリークラブとカトマンズのカスタマンダップ・ロータリークラブからの寄付金によるものです。 現在、視覚障害者向け教育部門は、視覚障害教員を含む6名の専任教員によって支えられています。全盲のシタ・ギャワリ先生はコンピュータ技術と点字を、ラメシュ・スベディ先生は点字と音楽を教えています。弱視のナラヤン・ポウデル先生は点字を用いた指導法で数学を教えており、晴眼者のルクミナ・ネパール先生とサミタ・シャキャ先生は、授業や家庭学習における点字の書き写しをサポートしています。現在、52名の視覚障害生徒が在籍し、学業と生活技術の両面で指導を受けています。  本校は学業に加え、特に視覚障害生徒のために柔道訓練を通して、体力向上と自信の育成にも力を入れています。この取り組みは、生徒たちの心身両面の健全な成長を重視する学校の姿勢を反映しており、身体的、感情的、精神的な発達を促進することを目指しています。  包括性、革新性、そして全人的成長への献身を通して、ラボラトリー高校は、有能で自信に満ちた人材を育成するという使命を継続的に果たしており、ネパールの教育分野における真のパイオニアとなっています。 ++ 点字教科書発行実績  ネパールは2009年から5・3・2・2(小学校・前期中等・中等・後期中等)の学制から8・4(基礎・中等)の学制に移行し始め、2016年にようやく教育法が改訂されました。  わが国などではまず教育法が改定され、その後、制度改革が行われます。しかし、ネパールの場合は、学校のカリキュラムや学年制度を変更することが現場のニーズに即応する形で重要だったことと、ネパールの教育改革は、国際的な援助機関やNGOと協力して進める必要があるため、まず改革に着手し、法改訂は後から行う形が選ばれたのです。  教育法で変更された時に1年間の幼児教育(4歳児対象)も基礎教育の中に含まれることになったので、正式には9・4年の学制というべきかもしれません。  基礎教育の1〜3年生では、ネパール語、英語、算数、理科、保健体育、社会科、創造芸術、母語、ローカルコンテンツ(少数民族語)等を学びます。  基礎教育の4〜8年生では、ネパール語、英語、算数、科学技術、社会科と人間価値教育、保健体育、創造芸術、母語、ローカルコンテンツ等を学びます。  ネパール盲人福祉協会(NAWB)点字印刷所(Braille Press)は、当協会から1986年12月5日に横浜港からインドのカルカッタ(現・コルカタ)経由で送り出した点字製版機1台、点字印刷機2台、亜鉛版4,000枚、点字用紙22万4,000枚、製本道具一式等の3.5トンの資機材が、1987年6月22日にカトマンズのNAWB本部に届いて発足しました。  それから38年間点字教科書を発行してきました。これから小学校1年生用の点字教科書から順番に、どのような教科の教科書を、何カ所の視覚障害児童・生徒が学ぶ学校・施設に届けているか紹介します。 小学校1年生用点字教科書 私のネパール語1年 配布学校・施設数 64 配布部数計 256 私の英語1年 配布学校・施設数 64 配布部数計 256 私の算数1年 (自習教材) 配布学校・施設数 64 配布部数計 256 私の算数1年 配布学校・施設数 64 配布部数計 256 私の算数1年 (英語版) 配布学校・施設数64 配布部数計 256 私たちのサンスクリット語1年 配布学校・施設数 ― 配布部数計 ― ボート語〔チベット系民族語〕(※2)1年 配布学校・施設数 ― 配布部数計 ― 合計 配布部数計 1,280 ※1:ネパール語を母語とする国民は、全人口の約44.6%である。 ※2:ネパール政府は、少数民族の言語と文化の保護を目的に、母語教育を推進している。 ●サンスクリット語とチベット語は公式カリキュラムには含まれていない。 ●視覚障害当事者団体であるネパール盲人協会(NAB)も、点字教科書発行事業を行っている。 ++ NAWB点字教科書事業に関する財務報告書 2024/2025会計年度 収入と支出 収入 東京ヘレン・ケラー協会からの補助金 金額(NPR) 257,400.00 点字教科書の印刷費、ハードカバー製本費、輸送費 政府基金 金額(NPR) 5,100,000.00 点字教科書印刷費・製本費、表紙、全国への配送にかかる輸送費 NAWBの自己資金 金額(NPR) 80,000.00 参考図書の印刷と配布 計 5,437,400.00 視覚障害生徒が通うすべての学校への点字書籍の印刷および配布 支出 視覚障害教師のための点字図書(英語、数学、理科、社会) 数量 250 冊 単価 960.00 合計金額(NPR) 240,000.00 点字書籍、ハードカバー印刷・流通、輸送費 数量 ネパール全土で1〜10年生の視覚障害生徒が学ぶ80校 合計金額(NPR) 5,100,000.00 NAWB基金 数量 160冊の参考書(子供向け点字絵本) 合計金額(NPR) 80,000.00 計 5,437,400.00 ++ 今日のネパール ヘナ(Henna)  ヘナによる白髪染めは、髪の表面をコーティングして色をつけるためダメージが少ないので、最近は日本でも一部の美容院で施術されており、費用は1万円程度かかる場合が多いようです。  ネパールでは新婦が結婚式に「ヘナ」の葉を乾燥させて粉末状にしたペーストで肌に模様を描く「ヘナタトゥー」というボディアートをよく行います。  「ヘナ」のなかには、きれいに早く染めるために1〜2%のジアミン色素などの化学成分が配合されているものがあり「ケミカル・ヘナ」といって、100%のナチュラル・ヘナと区別されます。かゆみなどのジアミン・アレルギーのある人は、ケミカル・ヘナは避けましょう。  カトマンズのダルバール・マルグ(王宮通り)にあるアンナプルナ・アーケード3Fの美容院「アンナプルナ・サロン」では、ヘアーカットとヘナ染めで2500ルピー(2024年12月)でした。  なお、「ヘナ」は2020年にユネスコの無形文化遺産に登録されています。 ++ ネパールの甘い生活 グジャ(Gujia)  餃子のような形をしたグジャは、ホーリー祭やディワリ祭で作られる甘い団子で、全体的に濃厚な甘みがあります。  中には、固形状の濃縮乳「コア(Khoa)」やドライフルーツなどが詰められており、これを小麦粉の生地で包み、バターオイルの「ギー(Ghee)」で揚げて、甘い砂糖シロップに浸して完成です。 ++ 寄附のお願い  ネパールにおける視覚障害者支援、とくに教育の充実をはかるために寄附をお願い致します。  寄附金のご送金は[郵便振替:00150-5-91688]をご利用ください。 寄附金に対する減免税措置  東京ヘレン・ケラー協会は、所得税法施行令第217条第1項第5号に掲げる社会福祉法人です。当協会に対するご寄附は、所得税法第78条第2項第3号及び租税特別措置法第41条の18の3、法人税法第37条第1項及び第4項の規定が適用され、税法上の特典が受けられます。 ****************************************************************** 発行:社会福祉法人 東京ヘレン・ケラー協会 海外盲人交流事業事務局 〒169-0072 東京都新宿区大久保3−14−4 TEL:03-3200-1310 FAX:03-3200-2582 https://www.thka.jp/ E-mail:kaigai@thka.jp  ******************************************************************