愛の光通信    2018年夏号通巻50 2018.7    LIGHT OF LOVE    Overseas Program for the Blind - Plans and Reports    ISSN 0913-3321    東京ヘレン・ケラー協会 海外盲人交流事業事務局  2017年12月18日(月)、在ネパール日本国大使館にて、小川正史駐ネパール日本国大使(右端)とネパール盲人福祉協会(NAWB)クマール・タパ会長による「草の根・人間の安全保障無償資金協力」に関する署名式(詳細は2ページ)が開催された。 ●視覚障害教育と地震復興事業調査2017 海外盲人交流事業事務局長 福山博  日本盲人福祉委員会(日盲委)の財政支援を受けて、筆者は2017年12月15日〜2018年1月1日の旅程でネパールに出張した。主な目的は、当協会が支援している統合教育校の視察と「ネパール地震2015」復興事業に関する調査であった。  12月17日(日)午前11時ネパール盲人福祉協会(NAWB)本部にて会議があり、まず、朝妻書店からの寄贈文房具の最後となる第3弾をNAWBに引き渡した。その後、ネパール滞在中のスケジュール調整を行ったが、この期におよんで宿泊先の変更を伴うスケジュール変更がNAWB側より提案されていささかうんざりした。これまで5回変更しており、これが6回目だったのである。  当方からは「2017年3月に日盲委(NCWBJ)からネパールの災害救援対策調整委員会(Disaster Relief Response Coordination Committee: DRRCC)へ20万円(Rs.183,804.93)を送金しているはずだが、その会計報告がまだ日盲委に提出されていない。いつその会計報告を日盲委に送るのか明確にせよ」と追求。NAWBタパ会長から「今週中(12月23日まで)には必ず送る」旨の言質をとる。なお、実際には、同報告は1月3日(水)にNAWBから日盲委宛メール送信された。     在ネパール日本国大使館での署名式  NAWBが在ネパール日本国大使館宛に、2017年度「草の根・人間の安全保障無償資金協力」に申請していた総額82,257米ドル(約946万円)にのぼる点字教科書発行用点字プリンタおよび付属装置(Braille printers and ancillary equipment)の供与が認められ、その署名式が12月18日(月)午前11時からカトマンズ市にある同大使館において、ネパール駐箚特命全権小川正史大使とNAWBクマール・タパ会長によって行われた。  同署名式には、NAWBと同大使館の橋渡しをおこなった筑波大学カマル・ラミチャネ准教授とNAWB役職員、そして同申請に当たってNAWBに推薦状を出した関係で、東京ヘレン・ケラー協会を代表して筆者も招待され立ち会った。  本署名式はネパール国内での関心も高く、国営放送のネパールテレビジョン(NTV)や民放の24ニュース、政府系ネパール語日刊紙『ゴルカパトラ』をはじめとしたネパールのマスコミが多数取材に来ており、同日から翌日にかけてネパール国内で大きく報じられた。     統合教育校の視察  大使館で署名式のあった12月18日(月)の午後、NAWBラトナ・カジ・ダンゴール教育課長と共にトヨタ・ランドクルーザーでラボラトリー高校を午後2時過ぎに訪問した。  同校では、強度の弱視児マニシャ・ギリ7年生(12歳)に会ったが、とても元気だった。リソースティーチャーも、「成績も良好で、まったく問題ありません」と言っていた。  同校は男子生徒用寄宿舎だけが地震で被災し、平屋建の講堂を間仕切りして臨時寄宿舎として現在も使っていた。被災地の中でも同校の被害は軽い方なので、再建のための優先順位は低いようだった。  次いで、午後3時過ぎにナムナ・マチンドラ高校に行って、シュリスティ・スベディ9年生(17歳)とルパ・タマン6年生(13歳)に会った。ルパ・タマンの成績は申し分ないということだった。  同校の目下の課題は校舎の再建だがいつになれば着工できるのか不明なので、トタン板で仮設教室を強化して、現在は取りあえず落ち着いていた。     ネパール地震2015から復興の兆し  12月19日(火)午前7時、筆者は旧知の筑波大学ラミチャネ准教授、NAWBダンゴール教育課長と共にNAWBウジワラ・タパ運転手が運転するトヨタ・ランドクルーザーで、ネパール地震の震源地であるゴルカ郡の尾根上にある12年制の学校(幼稚部、小学校1年生から高校3年生までの一貫教育)であるアマル・ジョティ・ジャンタ高校を訪問した。  同校の職員室や事務室のあった校舎本館など、古い建物は、2015年4月25日の地震で壊滅的な打撃をうけた。同校は辺鄙な山の中にあるが、首相や大臣等を輩出した有名校であるためインド共和国政府の財政支援により、高校2・3年生用の校舎を建設していた。地震発生時には完成しており、実はあの地震の1カ月後に竣工式が予定されていた。  地震の影響でその新しい校舎壁面には無数の亀裂が生じたが、その後の建築士による被災調査で、同校舎の建物構造への被害はまったくなかったので、通常の授業に使って差し支えないとの太鼓判が押された。それでも2016年の12月に同校を訪れたときは、新校舎はまだ使われていなかったが、2017年12月19日に訪問したときは、壁に亀裂があるまま使っていた。  同校では唯一、視覚障害者用2階建寄宿舎だけがまったく地震の被害を受けなかったので、同校の事務室は地震直後から寄宿舎の2階に引っ越して今もそのままだった。なお、同寄宿舎は京都に本部を置く日本ネパール教育協力会が建設した。  このように、同校は震源地にありながら、校舎全壊という最悪の事態からは逃れることができたため校舎再建の優先順位は低く、再建の見通しはまったくついていないと副校長はため息をついていた。  案内してくれた副校長によると、ゴルカ郡では約500教室が被災し、ゴルカ郡庁が校舎建設の優先順位を決め、今年度国際協力機構(JICA)の財政支援により、29の校舎が建設予定だということだった。このほか、デンマーク国際開発援助(DANIDA)等の諸外国国際開発機関等も活動を開始したので、時間はかかるが校舎はいずれ再建されるだろうとの見通しを述べていた。  1月29日の午後、日本ネパール協会の主催で東京で行われた小川大使による報告会の説明では、ネパール政府による復興庁設立の遅延やインドによる輸出制限等により地震被災からの復興は大幅に遅れた。教育機関に関する日本政府の支援は、円借款等によりアジア開発銀行(ADB)との協調融資で140億円をプレッジ(誓約)しており、被災地全土でJICAは283校を補修予定で、2016年5月から第1期83校の再建工事を行い一部は完成したということであった。  ところで建築費を確保しても、必ずしもすぐに着工できるとは限らないのがネパールの難しさである。耐震を考慮した校舎建設ができる業者は限られており、厳しい気候のため建設できる期間は、雨期の5〜9月を除き、しかもダサイン祭・ティハール祭が行われる10月の1カ月を除いた期間に限定されるからである。それにも関わらず、仮設校舎が一応整備されていることもあって、学校には生徒の歓声と共にネパールらしい朗らかで楽観的な空気が流れていた。  ジャンタ高校では、当協会が支援するミナ・ブージェル19歳とロジーナ・ギミレ18歳に会った。視覚障害学生はみんな元気で熱心に勉強しているようだった。なお、同校の全盲生徒は全員サングラスをかけている。  12月20日(水)には、バラ郡のドゥマルワナ高校を訪問した。学校運営委員会の議長が代わっていたので自己紹介と事業の説明を行った。新たな議長の名は、ラジェンドラ・プラサド・バッタライ氏で、高位カーストである。  東京ヘレン・ケラー協会は1993年から同校を支援しており、筆者もその年から同校を繰り返し訪問しているので特別の思い入れがある。同校が地域社会と密着して発展している姿を見るのは嬉しい限りである。同校では、旧知の全盲の教員クリシュナ・ティミルシナ氏から『UEBハンドブック』の点字版を発行して欲しいと陳情された。  同校の奨学生ラム・バハドール・ガレ1年生(10歳)の成績は「優」、クリシュナ・シャー・スナー1年生(11歳)の成績は「優」、チャンダ・カチワダ8年生(14歳)の成績は「良」、サンジャリ・マヤ・ガラン(30歳)とチャンパ・チョーダリ7年生(16歳)の成績は「良」であった。  12月23日(土)、ルパンディヒ郡のシャンティ高校を訪問した。NAWBの都合による予定変更で、同校へはネパールの公休日にあたる土曜日の訪問になったが、校長ほか関係者が集まっていた。  ネパールの組織は完全な上意下達方式であるため学校長の権力が非常に強い。以前の校長はやる気がなくて土曜日に学校に出勤することなどなかったが、現在の校長は意欲のあるやり手で校舎の建て替えも進んでいた。同校で全盲の教員ティカラム・ブーサル氏から『UEBハンドブック』の点字版を発行して欲しいと陳情された。  同校の奨学生は、ナラヤン・タルー(16歳)とサリタ・バニヤ10年生(17歳)で、二人とも元気で何の問題もないということであった。  12月25日(月)ネパール第2の都市ポカラにあるアマルシン高校を訪問した。同校では2016年12月、ラダ・タパという9年生の女子生徒が、母親が危篤という知らせで帰郷しており会えなかった。結局、母親が死亡したため、年末にある試験を受けることができなかったとその時は説明を受けた。  しかし、それから1年後の2017年12月の説明では、彼女は病気のため長期欠席で試験を受けていないと説明された。まったく不可解な話である。アマルシン高校として、どれだけ突っ込んだ事情を把握しているかは別として、生徒のプライバシーについてはこれ以上詮索しないで欲しいということであった。  12月27日(水)午前11時半NAWBにて会議を開催した。『UEBハンドブック』の点字版の発行を次年度事業で実施する必要があるだろうということでNAWBと当方の意見が一致した。そこで今後は見積書の数字を見ながら、具体的に話しを詰めることになった。  別途、NAWBから遠隔地にある統合教育校のリソースティーチャーを対象としたUEBセミナーを開催したいので、財政支援をして欲しいというリクエストがあった。  当協会は、UEBを含めた点字に関しては、それなりの知識を持つリソースティーチャーを対象としたナショナルセミナー事業を通じて、この2年間協力してきた。しかし、その下の細かい研修は、UEBの解説だけでなく、点字一般、リソースティーチャーの養成にまで踏み込まなければ研修の実をあげることはできない。それはリソースティーチャーの教員養成を実施する国家的な教育機関が行うべきであって、当協会が協力・実施する事業ではないとしてはっきり断った。 ●UEBナショナルセミナー2017 NAWB事務局長 オム・バム・マッラ  NAWB主催の2017年度統一英語点字(Unified English Braille: UEB)ナショナルセミナーが、2017年12月14・15の両日、カトマンズのNAWB本部会議場で開催された。  2日間のセミナーには、NAWBと、当事者団体であるネパール盲人協会(NAB)、カトマンズ市役所、ネパール障害者連合(NDFNepal)の代表者・役職員と、全国各地の統合教育校からリソースティーチャーなど33人が参加した。  NAWBクマール・タパ会長がすべての参加者を歓迎し、2日間のUEBセミナーの意義について「英語圏の8カ国はすでにUEBを採用しており、このセミナーではすべての英語圏同様、このUEBを採用することにより英文学を、英語圏の視覚障害者と同様に読むことができるようになる」と説明した。本セミナーはタパ会長と、前NAWB事務局長でネパールにおける点字の第一人者であるホーム・ナット・アルヤール氏を講師に実施された。  UEBセミナーの2日目に、参加者全員にUEBについて尋ねると、全参加者がUEB使用と普及への連帯を示し、視覚障害学生や関係者とUEBの重要性について話し合うことを約束した。  本セミナー閉会式の主賓は、カトマンズ市ハリ・プラバ・カディギ・シュレスタ副市長と、カトマンズ市11区ヒラ・ラル・タンドゥカール区長だった。  セミナー参加者を代表して、ゴルカ郡にあるサラスワティ高校の全盲教師ラビ・ダワディ氏は、「参加者は2日間学んだことを共有し、政府はUEBをすぐに承認してUEBに従って点字図書を用意する必要がある。これによりネパールの盲人は英語教材を簡単に読んで学ぶことができる。また、リソースティーチャーが不足しており、すべての統合教育校の教育力が低下しているので、政府はすぐに我々の必要性を満たす必要がある」と述べ、最後にこの機会を与えてくれたNAWBとセミナー講師に感謝した。  この場を借りて主賓は、副賞2万ルピーのついた「シバラジ・マッラ記念賞」を、2016年度NEB(+2 レベル)国家試験において視覚障害学生の中で最高点を得たジバン・アチャヤ氏に贈った。また、副賞が1万ルピーの「ガウリ-トゥルシ賞」を2016年度NEB(+2 レベル)国家試験において視覚障害女子学生の中で最高点を得たサビトリ・ポーデル氏に贈った。  同様に、シュレスタ副市長は、東京ヘレン・ケラー協会の財政支援で、ホーム・ナット・アルヤール氏によって書かれ、NAWBが発行した『UEBハンドブック』を紹介した。  閉会式の議長であるNAWBタパ会長は、閉会式での貴重な存在である主賓の、カトマンズ市シュレスタ副市長とカトマンズ市11区タンドゥカール区長に感謝を表明し、すべての参加者に対し、それぞれの分野でUEBを普及するように訴えた。  セミナー参加者は、UEBを承認し、全国各地に普及することを誓い合った。  閉会式の最後には、セミナー参加者にUEB参加証明書が授与された。 ●中国からの亡命者の訴え  2012年4月、中国当局により山東省の自宅に軟禁されていた全盲の人権活動家が足を3カ所骨折しながら20時間以上かけて壮絶な脱出を行い米国に亡命する事件があった。その当事者である陳光誠氏が、アムネスティ・インターナショナル日本の招きで2017年10月18日〜11月7日の旅程で来日し全国8カ所で講演し、当協会へも訪れた。  陳光誠氏は、1971年11月12日に山東省の貧農の家に生まれ生後5カ月のとき高熱を出して失明。18歳の時に臨沂市盲学校に入学し、高等部は青島盲学校に進み、その後、南京中医薬大学で鍼術と按摩を学び2001年に卒業した。その間の1994年には、障害者である自身は免除されているはずにも関わらず課税され父が支払っていた事実を知り、不当課税を訴えて1997年に当局に認めさせた。  2000年には製紙工場の汚水により深さ2〜3mの井戸に頼る飲料水が汚染され、村人が病気になっていることを知り、英国政府の資金を得て、深さ160mの井戸を掘り当て各家庭に水道を設置した。  こうして大学卒業後も彼は鍼灸師としてではなく、在野の法律家として活動し、2003年には北京の地下鉄が法律上は障害者無償を謳っているにもかかわらず料金を徴収したことを訴え勝訴。この年、ラジオ番組を通じて知り合った英語教師の晴眼女性と結婚するが、新婚旅行は米国だった。というのは陳氏の活動を知った米国務省が1カ月のプログラムに同氏夫妻を招聘してくれたのだ。  彼の運命を狂わせるのは2004年夏、地元の臨沂市当局が中国の人口抑制策「一人っ子政策」の徹底を決定して、すさまじいまでの強制堕胎、強制避妊手術を実行したことに始まる。陳氏夫妻はこの事件を2005年春から調査し、メディアに公開した。  臨沂市当局は、その報復として夫妻の自宅監視を開始し、2006年にはまったくの冤罪で逮捕し、陳氏は4年3カ月という異例に重い判決で服役。しかし国際社会での彼の知名度は上がり、2006年には米タイム誌が選ぶ「世界を形作る100人」に選ばれ、2007年にはアジアのノーベル賞と呼ばれるマグサイサイ賞を受賞した。  2010年9月9日に刑期を終えて出所した後も、陳氏は自宅で軟禁状態におかれ、監視員らから激しい暴行・虐待・迫害をうける。  2011年2月には、インターネットで事情を知った市民やジャーナリストが多いときには50人ほども彼が住む村を訪れるが、村の入り口で暴力を受けて阻止された。彼の友人知人も「籠の鳥」の隠語で彼を呼び、救出を試みるがことごとく失敗。奇跡の脱出は、陳氏に言わせれば、「それまで何回も脱出を試みて失敗してきたが、たまたま偶然が重なって成功しただけだ」という。  陳光誠氏が中国を離れた5年前と比べても最近の中国の人権を巡る状況はますます悪く、息苦しくなっており、服役中にノーベル平和賞を受賞した作家で人権活動家の劉暁波氏が肝臓がんで死亡したように事実上殺害されているケースもある。  近年の中国が破竹の勢いで発展しているのは、その前がひどかったからだ。しかも中国の統計数字は偽造されており、政府が成長率を6%と決めるなら、結果がどうあれ6%アップにするしかない。北京や上海では高級車が通り、豪華で綺麗な建物が見えるが、一方では隠されているすさまじい貧困や劣悪な建物がある。  人権や言論状況の改善には、インターネットの情報と中国の民間に広がる庶民の力に加え、国際社会の役割が重要。民主的で自由な国家を建設できないまま中国が強国化すれば、全世界の災難になる。遠い所で起きているように見える人権侵害に無関心でいれば、問題は拡大し自分たちにも悪影響を及ぼす。  札幌、盛岡と講演してきたが、学生だけでなく一般市民も熱心に聞いてくださった。関心をもち、少しでも支援の気持ちがあることを表明するだけでも大きな力になる。経済大国・日本には「人権大国」としての役割も担って欲しいと、陳氏は強い期待を寄せた。 ●2017年度事業報告(平成29年4月1日〜平成30年3月31日)  ネパール盲人福祉協会(NAWB)を財政的・技術的に支援し、統一英語点字(UEB)普及のためのナショナルセミナーを2017年12月14・15の両日カトマンズのNAWB本部会議場で開催した。  2日間のセミナーには、全国各地の統合教育校のリソースティーチャーを中心に、NAWBと当事者団体であるネパール盲人協会(NAB)、カトマンズ市役所、ネパール障害者連合(NDFNepal)の代表者・役職員など33人が参加した。本セミナーはUEBのルールを遵守して、ネパール点字の権威であるホーム・ナット・アルヤール氏(元NAWB事務局長)とNAWBのクマール・タパ会長を講師に迎えて行われた。  安達禮雄育英基金、正雄育英基金、順子女子育英基金の3基金による奨学金給付事業を継続実施した。NAWBから、給付対象を従来の「第1〜10学年」から「第1〜12学年」に変更して欲しい旨の要請があり、3基金の設立者の了解を得て承認した。  当協会職員有志によるNAWBバラCBR事業現地スタッフの遺児3人を援助する「クリシュナ君遺児育英基金」と「クリシュナ+2育英基金」の事業管理に協力した。  上記事業の管理等を行うため、2017年12月15日(金)〜2018年1月1日(月)の日程で福山博事務局長がネパールに出張した。12月18日(月)には、在ネパール日本国大使館において「草の根・人間の安全保障無償資金協力」の署名式があり、当協会はこの件で推薦状を発行している関係で福山事務局長が参列した。  事業報告集である『愛の光通信』を2017年7月(48号)と2017年12月(49号)に発行した。 ●2018年度事業計画(平成30年4月1日〜平成31年3月31日)     1. 統一英語点字普及事業  ネパール盲人福祉協会(NAWB)は、2016年12月と2017年12月に「統一英語点字(UEB)ナショナルセミナー」を開催した。その際には活字版の『UEBハンドブック』のみを作成した。全盲のリソースティーチャー等から点字版を作成して欲しいとの要望があるので協力する。     2. 育英基金事業  安達禮雄育英基金と正雄育英基金は小学1〜12年課程の男女の視覚障害児童・生徒を対象に、順子女子育英基金は小学1〜12年課程の女子の視覚障害児童・生徒を対象にした奨学金である。これらは寄付者、ネパール盲人福祉協会(NAWB)、当協会の3者が覚書を交換し、ネパール政府社会福祉協議会(SWC)に届け出ている事業である。この3事業が覚書に添って、滞りなく実施されるようモニターする。     3. フォローアップ事業  NAWBの点字教科書発行を中心とした事業に対して、フォローアップのための側面的支援を実施する。これは、当協会が長年実施してきた事業が無に帰さないように、平成16年度から継続して実施している事業である。     4. 国内事業  広報・募金活動は、NAWBから事業報告等が提出されることを条件に、『愛の光通信』を年2回発行し、例年通り実施する。  日本障害者リハビリテーション協会に事務所を置く、障害分野NGO連絡会(JANNET)の一員として、障害分野の国際協力を行う他施設・団体と情報交換・交流を深める。 ●平成29(2017)年度 資金収支計算書 (自)平成29年4月1日 (至)平成30年3月31日     (収入)  以下、勘定科目:予算(A)、決算(B)、差異(A)−(B)、備考の順。単位は円。 経常経費寄附金収入:630,000、617,525、12,475   経常経費寄附金収入:630,000、617,525、12,475 その他の事業収入:400,000、400,000、0   補助金事業収入:400,000、400,000、0、日本盲人福祉委員会からの補助金100,000円、毎日新聞東京社会事業団からの助成金 300,000円 受取利息配当金収入:0、0、0   受取利息配当金収入:0、0、0 その他の収入:10,000 、10,000、0   雑収入:10,000、10,000、0 事業活動収入計(1):1,040,000、1,027,525、12,475     (支出) 人件費支出:120,000、120,000、0   職員給料支出:120,000、120,000、0 事業費支出:1,066,000、1,065,498、502   海外援護費支出:800,000、800,000、0   海外出張費支出:266,000、265,498、502 事務費支出:205,000、202,164、2,836   旅費交通費支出:0、0、0   事務消耗品費支出:0、0、0   印刷製本費支出:96,000、95,040、960   通信運搬費支出:50,000、49,380、620   会議費支出:0、0、0   手数料支出:21,000、19,744、1,256   租税公課支出:0、0、0   諸会費支出:35,000、35,000、0   雑支出:3,000、3,000、0 事業活動支出計(2):1,391,000、1,387,662、3,338 事業活動資金収支差額(3=1−2):△ 351,000、△ 360,137、9,137 当期資金収支差額合計(4=3):△ 351,000、△ 360,137、9,137 前期末支払資金残高(5):2,707,885、2,707,885、0 当期末支払資金残高(4+5):2,356,885、2,347,748、9,137 ●牛車の歩み  ネパールの地方を巡る場合は4WDでないと行ける場所が極端に制限される。しかも実際には4WDでも通れない悪路もあり足止めを喰う。そこをゆっくりとだが、意外に軽妙に牛車が進んで行く。普通の4WDはタイヤの半分くらいまでの深さの川しか渡れない。その点牛車の車輪は大きいので、かなりの深さまで渡れる。川の前で立ち往生するわれわれを尻目に、牛車がゆっくり、しかも軽妙に渡って行く。 ●寄付者ご芳名(五十音順・敬称略)平成29年4月1日〜平成30年3月31日 温かいご支援ありがとうございました!   (個人) 阿佐博、安藤生、石田隆雄、磯公美子、今泉新治、植竹清孝、上野伊律子、遠藤利三、大橋東洋彦、岡本好司、貝元利江、勝山良三、加藤万利子、川田孝子、菊井維正、楠本睦子、小泉周二、小出隆家、古賀副武、小島亮、後藤晴子、小森愛子、近藤光枝、酒井久江、坂入隆、坂齊勝男、指田忠司、佐藤達夫、白井雅人、杉沢宏、杉田安男、鈴木俊勝、鈴木雅夫、鈴木洋子、染矢朝子、高橋恵子、田中徹二、田中正和、当津順子、長岡英司、中原章雄、生井良一、橋本幸信、林紘子、原田美男、樋渡敏也、富久縞博、藤元節、本間昭雄、前山博、増野幸子、松井繁、松浦健三、松本大、御本正、宮下浩子、茂木幹央、森栄司、森山朝正、山口節子、吉田 重子、渡辺直明、渡辺勇喜三   (団体等)  岐阜県立岐阜盲学校生徒会、一歩の会 岩野英夫、有限会社大本印刷、小林動物病院、古和釜幼稚園、園田鍼灸院、株式会社高垣商店、有限会社ヤマオー事務機 ●海外交流事業記録(2017/4〜2018/3)  5月19日:IAVI留学生キルギスのシリン・ジョロベコワさんが来訪、点字出版所と学院を見学  5月27日15時15分〜17時30分:JANNET総会(戸山サンライズ)  5月31日:IAVI評議員会  7月:『Light of Love(愛の光通信)』No.48発行  7月22日:世界の視覚障害者を語るフォーラム(高田馬場)、講師はFTCJ石田由香理氏  7月29日:日朝聾友好会イベント(東京都障害者福祉会館)  9月13日:韓国視覚障害者図書館協会来訪、点字出版所見学  10月26日:陳光誠氏来訪・インタビュー  10月29日:陳光誠氏講演会参加(明治大学)  11月7日:WBU次期常務理事ホセ・マリア・ビエラ氏インタビュー(サンルート高田馬場)  11月10日:WBU第2副会長ドナティラ・カニンバ氏インタビュー(サンルート高田馬場)  12月:『Light of Love(愛の光通信)』No.49発行  12月15日〜2018年1月1日:ネパール出張(福山)  1月12日:IAVIの緊急会議  1月19日:IAVIの留学生であるミャンマーのテイン・チョウ・リンさん(19歳)と、台湾の蔡静如<ツァイ・チンル>さん(33歳)が、新井愛一郎理事の案内で来訪、点字出版所見学  1月24日:鄭知勲<チョン・チフン>(韓国ヨジュ・ラファエルの家前施設長)・李英美<イ・ヨンミ>(国立ソウル盲学校教頭)夫妻、高梨和憲氏(社会福祉法人愛光相談員)、通訳の4氏が来訪、点字出版所見学  1月29日:駐ネパール小川大使との昼食報告会(煌蘭丸の内店)参加 ●チウラ、タルカリ、チョエラ  焼き米の「チウラ」は、籾付の米を茹でてから、天日で乾燥させたものを、さらに煎ってから潰して、殻をとりのぞいたもの。未熟米の活用法として、昔は日本でも各地で作られていた保存食。  チウラの上にジャガイモがメインの野菜のカレー煮「タルカリ」と水牛肉をあぶった「チョエラ」を添えたら、カトマンズのネイティブで高度な文化を誇るネワール族の軽食となる。 ●バックパッカーの味方  NAWBの相談役はネパール人だが和食が大好きで、にぎり寿司が美味しい「こてつ」や、老舗の「古都」がお気に入りだ。一方、バックパッカーに人気なのが丼物に定評がある「桃太郎」と「絆」。カトマンズで和食を供するレストランは30軒以上あるので、食事時にガラガラな店を避ければ、インド方面で食事に困っていた人々は、天国に来たのかとばかり欣喜雀躍すること請け合いである。 ●募金のお願い  ネパールにおける視覚障害者支援、とくに教育の充実をはかるために募金をお願い致します。  寄付金のご送金は下記口座をご利用ください。 郵便振替:00150−5−91688 ●寄付金に対する減免税措置  東京ヘレン・ケラー協会は、所得税法施行令第217条第1項第5号に掲げる社会福祉法人です。当協会に対するご寄付は、所得税法第78条第2項第3号及び租税特別措置法第41条の18の3、法人税法第37条第1項及び第4項の規定が適用され、税法上の特典が受けられます。 ●編集後記 本誌で紹介しました小川正史駐ネパール日本国大使(65)がこのたび4年半余に及ぶ任期を終えられました。後任には元農林水産省技術総括審議官であった西郷正道<サイゴウ・マサミチ>大使(61)が赴任されました。  人事異動といえば、5ページの「UEBナショナルセミナー2017」を書いたオム・バム・マッラ氏が1月31日付で突然退職しました。  若すぎて経験不足でしたが、優秀だったので期待されていただけに残念です。  後任の事務局長には、韓国で博士号を取得したマリカ・プラサイ博士(50)が就任されました。  彼女はこれまでも様々なNGOで活動されており、実の姉が視覚障害者であることから、以前からNAWBの理事を務めてこられた方です。(H・F) 発行:社会福祉法人 東京ヘレン・ケラー協会海外盲人交流事業事務局 〒169-0072 東京都新宿区大久保3−14−4 TEL : 03-3200-1310   FAX : 03-3200-2582 http://www.thka.jp/ E-mail: XLY06755@nifty.com  ※迷惑メールが増えています。当協会宛のメールには、適切な「件名」をお書き添えください。