6月20日の毎日新聞朝刊「おんなの気持ち」に「幸福の青い鳥」と題した投書が載りました。
投稿者は埼玉県春日部市に住む82歳の女性。「小学生の孫がヘレン・ケラーの話を始めたので、戦後間もない小学生時代を思い出しました。日本に来たヘレン・ケラーにおいしいクッキーをいただいたことが忘れられない」といい、このとき「ヘレン・ケラーの歌(幸福の青い鳥)」を歌ったそうです。
70年を経て「(歌詞を)半分くらいしか覚えていません」。ところが、趣味の短歌の会で出会った同年代の方が、北海道の小学校で習ったというこの歌を今も暗唱できることを知り、ご自身も改めて覚えることができた ―― というお話です。
1948年8月29日に再来日したヘレン・ケラー女史が滞在した59日間、全国各地の人々が女史とのふれあいを胸に刻んだ事実を表すエピソードです。「貴重な思い出」(投稿者)として、こうして語り継がれることに女史の偉大さを思わずにはいられません。
この来日を機に、女史の名を冠して設立された財団、後の東京ヘレン・ケラー協会の運営に関わる責任の重さと、協会を構成するヘレン・ケラー学院、点字出版所、点字図書館のスタッフの熱意をひしひしと感じます。
来年はヘレン・ケラー女史生誕140年、当協会創立70周年という節目を迎えます。その歩みに思いをいたすとともに、新しい時代に向かって、この意義ある協会のさらなる発展のために微力を尽くす所存です。
どうぞよろしくお願いいたします。
東京ヘレン・ケラー協会理事長
奥村 博史