THKA

社会福祉法人 東京ヘレン・ケラー協会

点字ジャーナル 2022年3月号

第53巻3号(通巻第622号)
―― 毎月25日発行 ――
定価:一部700円
編集人:福山 博、発行人:奥村博史
発行所:社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会点字出版所
(〒169-0072 東京都新宿区大久保3−14−4)
電話:03-3200-1310 E-mail:tj@thka.jp URL:http://www.thka.jp/
振替口座:00190-5-173877

目次

巻頭コラム:ブースター接種で汚名返上 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
3
(特別寄稿)座して死を待つつもりなのか?
  ― 理療教育再興の道を考える
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5
(特別寄稿)全国盲学校野球大会史 ― 青春の1ページを忘れぬうちに ・・・・
19
ネパールの盲教育と私の半生(9)カトマンズの大学へ進学 ・・・・・・・・・・・・・
28
カフェパウゼ フライ麺アレルギーの教訓 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
33
祈りと琵琶と 琵琶盲僧の世界(3)琵琶盲僧の歴史 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
36
西洋医学採用のあゆみ(12)西洋医学の採用とあはき法の制定 ・・・・・・・・・
41
自分が変わること(152)本当の先生にはがきを出す  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
46
リレーエッセイ:3 . 顕彰会の理事長になって  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
51
アフターセブン(84)ちはやふる ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
56
大相撲、記録の裏側・ホントはどうなの!?
  (235)長野県から227年ぶり!大関御嶽海誕生 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
60
時代の風:指圧師学校新設制限 合憲判決、障害者理解深める
  「フミダスドーガ」を名古屋市が制作、HTLV-1感染による
  バセドウ病の急激な視力低下 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
64
伝言板:劇団銅鑼公演、詠進歌 来年のお題は「友」、
  視覚障害者音楽教室 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
68
編集ログ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
71

巻頭コラム
ブースター接種で汚名返上

2月2日に新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種を完了した。2回目の接種が去年の7月2日なので、まさにこの日から接種できるというドンピシャのタイミングであった。
 新型コロナワクチン接種については昨年7月号の本欄に、「鬱陶しい区のワクチン接種予約」と題し、東京都杉並区による予約システムを「たちの悪い住民いじめである」と書いた。というのは、予約電話はつながらないし、インターネットによる予約日は54日後だったからである。それで結局、予約をキャンセルし自衛隊の大規模会場に切り替えたほどだった。
 しかし、今回は違った。杉並区はしっかり汚名返上を果たしたと言っていいだろう。今回、3回目の接種券は1月25日に杉並区から届いたので、翌日、インターネットで予約した。その際最短で接種できるのは2回目接種から7ヶ月後の2月2日なので、それがだめなら3日、4日、5日……と順に送っていく方針を決めて決行した。
 するとすぐに2月2日に浜田山病院での予約がとれた。同じ杉並区とはいえ同病院は、自宅から電車を乗り継いで1時間10分もかかった。ちなみにグーグルマップで調べたら、徒歩でも1時間10分で行けるようで、車なら20分で行ける近さである。
 浜田山病院に着くと本館横の仮設テントで手際よく受付をしてくれ、接種が終わるまでかかった時間は約30分だった。それから机の上に広げられた十数個のタイマーを駆使して正確に15分計って、経過観察終了時の問診が行われた。そのとき「熱が出たらバファリンなどの市販の解熱剤を飲んでください」と言われた。
 同日、就寝前に腋下体温を測ったら36.4℃だった。翌朝、ベッドの中で同様に体温を測ったら37.1℃だった。正午頃、職場で非接触式体温計で額を測ったら36.7℃、すかさず持参の体温計で腋下を測定したら37.4℃だったが、午後3時半に計り直したら36.7℃に落ち着いていた。あとは注射跡が一晩だけ少し痛かっただけだった。(福山博)

(特別寄稿)
座して死を待つつもりなのか?
― 理療教育再興の道を考える ―

一枝のゆめ財団専務理事・筑波技術大学名誉教授 藤井亮輔

プロローグ

 理療教育の凋落を象徴する動きが続いている。まず、ヘレン・ケラー学院が2021年度からの入学者募集を停止した。続いて、大阪北視覚支援学校(旧・大阪市立盲学校)の本科保健理療科が2022年度から、筑波大学附属視覚特別支援学校(附属盲)の鍼灸手技療法研修科が2023年度から、それぞれ入学者の募集を停止する。偶発的な出来事とは思えない。生徒数の減少を背景としたドミノ倒しの前触れとみるべきだろう。
 気がかりなのは、ただならぬ事態が進行しているのに当事者団体である全国盲学校長会(校長会)、日本理療科教員連盟(理教連)、筑波大学理療科教員養成施設などから危機感が伝わってこないことだ。筆者の知る限り、日本視覚障害者団体連合の竹下会長が校長会、附属盲、筑波技術大学に呼びかけ4者懇談を重ねているが、それを除けば組織だった具体的な動きは見えてこない。むろん、どの団体も「何とかせねば」の思いや焦りは一様に強いはずだ。模索を続けているところもあるかもしれない。ただ、残された時間を考えれば、それだけでは座して死を待つことに等しい。
 しかるべき団体のリーダーシップの下、組織横断的な協議体を早急に立ち上げ根本的な課題(後述)に切り込んだ議論と行動を起こさなければ理療の世界は早晩、「茹でガエル」と化してしまうのではないか。
 教育界や盲界の動きをチェックする側のメディアには伝達媒体にとどまらず、「物言う公器」となって世論を後押ししていただきたい。
 後述するが、このまま推移したとすれば、10年もしないうちに保健理療科の多くが消滅の危機に瀕するだろう。理療科の斜陽化も加速する。理療が廃れば盲教育全体が萎えていくのは自明だ。その先に、行き場を失った「失業盲人」が累々と増えていく光景が目に浮かぶ。仕事は暮らしを支えたり他者から承認されたり社会に貢献したりしていく中で、生きがいや幸福感と深く結びついている。理療にはその趣が強い。それゆえ、理療の荒廃は視覚障害者の福祉や尊厳の地盤沈下に直結するということに、想像力を働かせてほしい。
 理療教育はどこに向かって進むべきか。この命題を解く鍵は当事者団体の手の中にある。みなで知恵を出し合えば何かが見えてくるはずだ。今年がその画期の年になることを切望する。折しも、本年は理療科を産み落とした「あはき法」の制定75年目に当たる。
 今回、本誌のご厚意で理療再興の議論に一案を投ずる機会をいただいた。深みも幅もない春の小川ほどの拙稿で僭越この上ないが、「隗より始めよ」の警句に免じてお許し願いたい。

1.在籍者数の実態と数年後の予想

 本論に先立ち、生徒減少の深刻さを示すデータを共有しておきたい。校長会と理教連の資料を基に計算したところ、2002年度から2021年度までの19年間で、本科保健理療科(本保)は5分の1に、専攻科保健理療科(専保)は約半分に、専攻科理療科(理療科)は3分の1に、それぞれ在籍者を減らした。激減である。
 詳しく見てみよう。
 まず、同期間における理療課程全体(本保・専保・理療科)の減少率は63%だった(1635人→603人)。
 課程別にみると、本保が78%減(336人→74人)で最も高く、理療科が66%減(992人→340人)で続いた。専保は02年度以降、一時増加したため減少幅は小さかったが、それでもピークの06年度比で46%減(353人→189人)であった。
 心配なのは減少速度が加速傾向にあることだ。昨年度からの1年間で本保は10%、専保は9%、理療科は13%も減っている。
 本保に限ってみると、設置44校(132学級)の1学級当たり平均生徒数は0.6人に満たない。その結果、生徒が1人も在籍していない「0人学級」が75学級(57%)を占める。さらに、3学年に生徒が1人もいない「0人課程」が8校(18%)にのぼる。前掲の大阪北視覚支援学校の本保もその一つである。
 今の減少幅(年1割減)で推移したとすれば、本保の50人割れは4年後、専保の100人割れは7年後、理療科の200人割れは6年後と見込まれる。
 この数字は1学級の平均(現在の学級数で換算)が本保は0.4人、専保は0.9人、理療科は1.2人を割り込むラインに当たる。
 本保では「0人課程」を抱える学校が更に増え募集停止の連鎖が進むだろう。専保と理療科の平均値も「0人学級」が続出する水域を意味しており、「0人課程」も出始めかねない。10年先、15年先は推して知るべし、である。

2.生徒減少問題の背景

 この問題は全日本盲学校教育研究会でもたびたび取り上げられてきたが、「学校マター」の空気が濃くあって、事例報告や情報交換の域を出なかった。「生徒集め」は各学校の自助に委ねられてきたわけだが、各校の懸命の努力も叶わず、凋落を止めることはできなかった。自助では解決し難い、いくつもの社会的要因や構造的問題が理療教育の求心力を弱めてきたからだ。
 社会情勢の変化としては、インクルーシブ教育の流れと少子化が視覚障害者の大学進学率を格段に上げたこと、IT化の進展等で一般職に就く視覚障害者が増えたこと、雇用行政や支援体制の強化等で中途失明者の職場復帰や再就職が進んだことなどが挙げられる。
 一方、構造的問題としては、資格試験が国家試験になって視覚障害者の合格率が急落したこと、マッサージの診療報酬点数の低迷や経営環境の悪化等で卒業後の夢や理療の魅力を語ることが難しくなったことなどが挙げられる。また、理療教育の認知率の低さや盲学校への根強い偏見も生徒募集の負の圧力になってきた。
 これらの要因が複雑に絡み合い、相乗りしながら理療教育の求心力は弱くなっていったのだが、根を穿てば、本保の生徒減はあマ指師国家試験合格率の急落と深く関わりながら、理療科のそれは大学進学率の上昇の影響を強く受けつつ進行してきた。
改正あはき法(1988年公布)の厚生省健康政策局医事課編著『逐条解説 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律・柔道整復師法』(以下、『逐条解説』)を紐解くと、これらの事象が、法改正時に積み残した二つの宿題を放置してきたことで生じたツケであったことがわかる。理療再興を考える際の「かなめ石」となるので再確認しておきたい。

3.二つの宿題

 改正法は資格者の資質向上とともに教育内容の充実を旨としていたから、試験の受験資格を、それまでの、あん摩マッサージ指圧(あマ指)2年以上、はり・きゅう4年(高卒者は2年)以上から一律、高卒3年以上に引き上げた。
 この議論の過程で関係団体間の合意を見なかったのは、@中学卒課程を残すか、Aはり、きゅう二科とあん摩・はり・きゅう三科の併科の修業年限をどうするかの2点だった。
 結局、@は、「当分の間」を付し、時限立法(附則第18条の2)で視覚障害者に限り、「中学校卒業でよい」こととし、Aは、「学識経験者等により今後検討」を付帯して決着した(『逐条解説』の総説)。
 関係団体は、法改正の趣旨に反することと大量の国試不合格者が生まれる懸念から中卒課程の存続にこぞって反対したが容れられず、国試不合格者問題(後述)の火種となった。
 また、関係団体は単科も併科も一律3年では道理に合わないとして、3科併科(理療科)の修業年限の4年を主張するも、やはり受け入れられず、その後の理療科の発展(高等教育化等)を困難にする遠因となった。
 厚生省前医事課長だった阿部正俊氏(厚生省老人保健福祉局長を経て、自由民主党参議院議員2期)が「少々無理をしている点もなくはない」と前掲の『逐条解説』の序文で述べているのは、この二つの「無理」を通したことを指しているのだろう。
 時の判断の是非は置くとして、問題はこれらの宿題を30数年間も放置してきたことだ。行政の不作為は免れないが、議員立法を思えば、この間、無関心と黙認を決め込んできた当事者団体の責任は重い。筆者自身もいつしか「不作為」の共犯者の一人になってしまった。
 なお、「当分の間」の時限について、当時、国との折衝役の一人であった、時任基清理教連法制部長(故人)は、「みな10年ほどを念頭」と筆者に語っていたことを付記しておく。

4.附則18条の2に潜む不条理

 国家試験が始まると予想に違わず、知事試験下で9割以上を維持していた視覚障害者のあマ指師試験合格率は6割から7割に低迷する。中でも、中卒課程卒業者の合格率は5割前後に急落した。
 その結果、再受験を試みても合格できない本保既卒者の累積数は、第10回国試(01年度)を終えた時点で卒業者全体の17%、第15回国試終了時点で22%(藤井ら)に達していた。今は4割を超えていると思われる。
 この問題が附則18条の2に根ざしていることは明らかだ。本条項は、「中学校卒業でよい」課程を残す特例を定めた上で、彼らに高卒養成者と同じ試験を「受けることができる」という特例を重ねた法律である。
 一見、救済法に映るが、当事者にとってこれほどの不条理はあるだろうか。中卒養成者に高卒養成者の試験を強いる不条理が、また次の不条理を生むという構図だ。その実態は以下のようである。
 本保は「高等部本科」に属しているため高卒認定に必要な単位も履修しなければならない。限られた3年間でそれを可能にするための「カラクリ」として、国試受験に必須の専門領域の単位を高卒課程より10単位も「少なくできる」特例を設けている(認定規則備考)。
 しかし、出題範囲は高卒養成者と同じだから時間を減らした分、学習内容を浅くせざるを得ない。そもそも、健康の保持増進を行う能力を養う「保健理療」の学習目標(学習指導要領)には「治療」が含まれないから、教科書は高卒課程のそれより薄く簡易な内容になっている。一方で、試験の難易度は上がる傾向にあり学習する内容との格差は広がるばかりだ。こうして、特例の上塗りでは隠しきれなくなった不条理の「ひび割れ」が、国試不合格者問題の素顔なのである。

5.理療教育が進むべき道(私案)

5-1 中卒課程

 よって、中卒課程を再興するには附則18条の2を視覚障害者の真の救済法に改めることが絶対条件となる。その方向性を考える上で保健師助産師看護師法(保助看法)が参考になる。
 同法第6条は中卒養成の准看護師に都道府県知事試験を課している。国家資格である看護師と比べ履修単位が少なく簡易な内容であることに配慮した措置で、これが本来の資格試験の在り方である。
 したがって、中卒課程を今後も残すのであれば准看護師に倣い、本則が定める国家試験とは切り離した知事試験を設け、合格者には、あん摩マッサージ指圧師の指導の下で施術を行うことができる「准あん摩師」ないし「保健あん摩師」の免許を創設する。その養成課程としては、早期就業を望む中途失明者に配慮した、修業年限2年の別科を本保に代わって置いてはどうか。国試対策に専念できる分、中失者に歓迎されるだろう。
 ただ、この「安全ネット」で救いきれない視覚障害者を救済するには、一定の条件の下、無試験であん摩施術者になれる特例制度の検討も必要だろう。大切なのは、「たとえ、心臓が右にあると答えても上手に揉むことができる視覚障害者」(芹沢勝助先生談)も救える道を模索することだ。

5-2 理療科

 理療科が蘇生する道は統廃合しかない。40年も前から指摘されてきたが、その検討はいよいよ待ったなしの段階に入った。統廃合の基本形は、拠点校として、各ブロックに1校ずつ4年制の高等理療科(仮称)を置くイメージだが、まずは、近隣校どうしの合併協議を急いでほしい。
 とくに、筑波技術大学の鍼灸学専攻と附属盲鍼灸手技療法科との合併は必須だ。同じ目的の国立校が定員割れのまま併存し続けることに納税者の理解は得られまい。
 ブロック校は、当面、特別支援学校に位置づけるが、実績を積んで大学を目指す学校があってもいい。いずれにせよ、4年目は免許を取得した学生に臨床研修に特化した教育を提供する。不合格者の再教育の場を兼ねることもできる。
 2019年度時点で大学には理療科の3倍近い887人の視覚障害者が在籍している。魅力あるカリキュラムを編成できれば受験生の流れは変わるだろう。
 一方、各校に置かれている治療室は現地で総合支援法に基づく就労移行支援施設(臨床研修センター)として発展させブロック校の学生の臨床実習や卒後研修のニーズに応えてはどうか。つまり、拠点校を除く改組後の盲学校の理療課程には別科と専保と臨床研修センターが置かれることになる。教員の過配問題を回避する上でも一考に値すると思うのだが。
 いずれにせよ、統廃合や改組の話はボトムアップ型で進められるべきだが、まずは、校長会と理教連が大きな方向性を打ち出さなければ実効性は乏しいだろう。理教連の組織改革(ブロック割り)で両者の協議の枠組みはできている。

エピローグ

 冒頭で述べた「茹でガエル」の話は故・皆川春男先生(元・盲学校長会会長)が折に触れて語っておられた。温室に身を置く教育公務員の惰性を戒める教えだったと思う。理療は今なお、日本が世界に誇れる教育文化の一つだが、その矜持が音を立てて崩れ始めている。
 この文化を創り上げた源泉は連綿と継承されてきた教育の力だった。その復権を願い、僭越を承知の上であえて苦言を含め私案を述べさせていただいた。忌憚のないご意見、ご批判をいただければ幸いである。

編集ログ

 3回目のコロナワクチンを接種した後に、医師から「熱が出たらバファリンなどの市販の解熱剤を飲んでください」と言われ驚いた。2回目のワクチン接種後に発熱があった去年の7月2日に、厚労省推奨の「アセトアミノフェン」(カロナール)を薬局に買いに行った。だが売り切れだったので、薬剤師にいわれるまま別の厚労省推奨の解熱剤を購入した。たしかに当時、厚労省が接種後に服用できる解熱剤の成分として示していたのは、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェンであった。このためそのとき対応した薬剤師は、アスピリンが主成分のバファリンを除外した。
 だが最近、ネットで調べてみたら、ワクチン接種後の発熱や痛みは一時的なものであり、コロナウイルス感染症を発症しているわけではないので、ロキソニンでもバファリンでもイブでも市販の解熱剤ならなんでもいいとあった。「アセトアミノフェン」は、赤ちゃんからお年寄りまで広く使われている解熱剤なので、もっとも無難な選択肢として、厚生労働省が真っ先に推奨したので、市中から消えたようである。
 最近「オミクロン株は高齢者を狙い撃ちしている」というような雑誌記事を見かけるので、高齢者である私などは震え上がる。しかし、2月4日現在、この2年間で新型コロナウイルスでわが国で死んだのは1万9069人で、毎年1万人の死者が出る季節性インフルエンザとそう変わらない。だから安心というつもりは毛頭ないが、売らんかな主義で、とくに週刊誌はいたずらに煽ることはやめて欲しいものだ。
 あの偉大な米国では、過去28日間に5万9,754人が死んでおり、日本の人口は米国の38%なので、これは日本の2万2,706人に相当する。それでもニューヨークに住む友人は、ワクチン接種証明証とマスクを携帯すればどこにでも行くことができ普通に生活しているという。
 わが国政府は国民の顔色をうかがい右往左往するだけで、欧米の知見をまったく生かしていないのではないか。私もスマホにワクチン接種証明証を入れているが、まったく宝の持ち腐れである。(福山博)

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