THKA

社会福祉法人 東京ヘレン・ケラー協会

点字ジャーナル 2017年3月号

第48巻3号(通巻第562号)
―― 毎月25日発行 ――
定価:一部700円
編集人:福山 博、発行人:石原尚樹
発行所:社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会点字出版所
(〒169-0072 東京都新宿区大久保3−14−4)
電話:03-3200-1310 E-mail:tj@thka.jp URL:http://www.thka.jp/
振替口座:00190-5-173877

目次

巻頭コラム:グローバリズムへの反旗か? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
(インタビュー)藤井筑波技大教授に一枝のゆめ構想を聞く ・・・・・・・・・・・・・・・
5
(特別寄稿)ポスト相模原事件をいきる ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
20
近代盲人福祉史 (2)盲人保護法制定運動とその要求 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
28
ジャガイモ日記 (3)夢の続きを ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
33
続・ニカラグアにおける東洋医学教育 (14)はるかなシウナ育 ・・・・・・・・・・・・・
37
自分が変わること (93)サンプリングの効用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
41
リレーエッセイ:自動車運転体験に参加して ― 私の夢が叶った日 ・・・・・・・・・
46
アフターセブン(24)よく吠える犬を手懐けろ! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
51
大相撲、記録の裏側・ホントはどうなの!?
  (175)稀勢の里が悲願の初賜杯&横綱昇進を達成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
55
95%にもチャンスを (12)総理夫人のフィリピン国立盲学校ご訪問 ・・・・・・・・・・
59
時代の風:他人のiPS細胞移植臨床へ、JISにヘルプマーク、
  光合成で厚い心筋シート作製、口腔ケアで認知症予防 ・・・・・・・・・・・・・・・
63
伝言板:詠進歌来年のお題は「語」、ロービジョンサポートフェア、
  調布映画祭2017、写真教室 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
67
編集ログ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
71

巻頭コラム
グローバリズムへの反旗か?

 ご存じのように共和党ドナルド・トランプと民主党ヒラリー・クリントンによる米大統領選挙はデッドヒートの末、終始ダークホースと見られていたトランプの勝利で終わった。
 この選挙戦は10月中旬までは圧倒的にクリントンが優勢だったが、10月28日にクリントンの私用メール問題を米連邦捜査局(FBI)が再捜査すると発表すると、これをきっかけにクリントン優位が雪崩を打って、投票1週間前の支持率はまったく拮抗した。
 今回の米大統領選挙は、下品な女性蔑視の人種差別主義者の暴言大王か、クリントン財団を舞台に汚職と紙一重の寄付を募る腹黒い守銭奴かの究極の選択だった。そして、お互いに口汚く相手を罵倒し、世界中に恥をさらした。草食の日本では絶対ありえない、弱肉強食の米国ならではの醜聞だった。
 ところで、民主党候補者争いの予備選で、クリントンと接戦を演じたバーニー・サンダース上院議員はみるからに草食系で、クリントン財団の利益相反スキャンダルやクリントンのメール問題などは一切不問に付し、上品に政策論争のみで闘って散ったが、そのような清廉潔白な政治家は米国では不人気のようだ。
 その昔、「一億総中流」と呼ばれた平和で懐かしい時代があった。その後、バブルが崩壊して、グローバリズムの嵐がやってきて、わが国もあっという間に格差社会になった。
 このグローバリズムの旗振りをしたのは、英米だった。しかし、昨年英国はEUからの離脱を宣言し反グローバリズムへ舵を切った。クリントンではなくトランプを選んだ米国も反グローバリズムのはずだ。選挙期間中トランプは、テロの脅威、不法移民、自由貿易、そして、グローバリズムを口を極めてののしっていたのだから。
 本家本元の英米が反グローバリズムとなって、世界は、そして日本はこれからどうなるのだろうか?「米国が風邪を引くと、日本も風邪を引く」程度の相関関係は今もあるはずだが。以上、敬称略。(福山)

(インタビュー)藤井筑波技大教授に一枝のゆめ構想を聞く

 【1月14日(土)午後、一般財団法人一枝のゆめ財団設立総会・祝賀会が、東京都千代田区のアルカディア市ヶ谷(私学会館)において華々しく開催された。なにしろ理事長を矢野忠・明治国際医療大学特任教授が、副理事長を坂井友美・東京有明医療大学教授が、専務理事を藤井亮輔・筑波技術大学教授が務め、理事には竹下義樹日本盲人会連合会長、小田木宏江全国病院理学療法協会理事ほかが、評議員には笹川吉彦東京都盲人福祉協会理事長、杉田久雄全日本鍼灸マッサージ師会会長ほか、錚々たる人々が名を連ねているのである。
 設立総会で発起人を代表して挨拶した日盲連竹下会長は、「一枝のゆめ財団は、藤井先生が大きな夢を持って我々に働きかけられた。一人の発想から出発して社会が大きく変わることがある。あはき業界を今のまま放置するなら、30年後には国民から見捨てられるかも知れない。あはきは視覚障害者が支えてきた歴史的経緯もあるので、個人的な思いとして、視覚障害者がその改革の先頭に立つべきだと思う」と述べられた。
 一枝のゆめ財団の名称も藤井教授の発案で、仏教に深く帰依した聖武天皇(701〜756)が、天平15(743)年に奈良の東大寺大仏造立の詔を発し、「一枝の草、一把の土を以て像を助け造らん」と寄進を呼びかけた故事にちなんだものだということである。
 そこで本誌では、藤井教授に一枝のゆめ構想はどのようなところから発想されて、今後どのように展開しようとしているのかインタビューした。取材、構成は、本誌編集長福山博】
 福山:藤井先生が火付け役ということなので、一枝のゆめ構想が一体どこから湧いて、今後どのように展開するのか、先生の構想を率直に語っていただきたいと思います。
 藤井:一言で言えば、このまま手をこまねいているとあん摩鍼灸業界が低迷状態のまま立ち上がれなくなります。特に視覚障害者の業であるあん摩が雲散霧消しかねないという危機感がある。それが動機ですね。これは私だけでなく以前から多くの人たちが異口同音にそう言ってきました。私もその1人として危機感だけを募らせて何もしなくていいのか。今の我々は、先輩達の血と汗の結晶をずっと享受した世代です。我々が成果を食いつぶしてしまったので、我々の責任で次の世代に種を蒔いて果実をきちんと継承していく責任があるんじゃないかということが動機ですね。
 福山:先生は現在62歳ですよね。私は先生と同年齢で、東京ヘレン・ケラー協会に入職してこの春で40年になります。あの頃はあはきの黄金時代で、「三療の免許さえ取っておけば一生食いっぱぐれがない」と言われていました。ところが最近は生徒がなかなか集まりません。ヘレン・ケラー学院の定員は105名で、昔は入学希望者が非常に多くて、今も入試で学力が足りずに落ちる人もいますが、その昔は落とすための試験をしていました。なぜ、三療がこんなに敬遠されるようになったのですか?
 藤井:これまで全国規模の調査を3回やっていますが、調査をするたびに年収が減っています。2007年、2014年、2016年とやって、視覚障害業者の年収の中央値が2006年分が200万円、2013年分が180万円、2015年分が128万円で、この間に72万円も減っています。2万件の調査ですからほぼ実態を当てているでしょう。昔は三療で飯が食えたので夢がもてました。今は、「息子には継がせたくない」「紙屑同然の免許なら受験料や登録料の返還要求をしたい」などの電話がかかってきます。夢のない仕事になったのです。
 福山:先生は何とかしないといけないと思うだけでなくて1歩踏み出されました。それも1000万円も拠出されました。
 藤井:お金は、お金が喜んでくれる使い方ができれば、あとはどうでもいいんです。50代、60代の我々はいい思いをしてきたのだから、いま何かをしなければ、まず先輩達に申し訳ない。未来の人たちに対しても申し開きが立たないという思いからです。
 福山:三療の施術所は全国で8万5000カ所、コンビニの店舗数の1.7倍だと聞きましたが、無資格者についてはわかりますか?
 藤井:法律がないので統計は取れません。ただ我々がNTTのタウンページで調べたところ整体が1万4000軒、カイロが6,500軒、リフレクソロジー・アロマセラピーを合わせて約2万6000軒でした。ここにエステやリラクゼーションが入ると、無免許でマッサージを行う店舗は大体5万件ほどではないかと推測しています。矢野経済研究所の数字とだいたい符合します。
 福山:晴眼業者も困っているのですか?
 藤井:晴眼業者は完全に二極化しています。柔道整復師(柔整師)の免許を持っている鍼灸接骨院と鍼灸院で二極化しているのです。2013年分の柔整師と鍼灸師の両方の免許所持者の年収の中央値が800万円、鍼灸師のみが350万円です。2006年分より50万円減っています。今や晴眼対盲人という対立構造はとっくに過ぎて、免許を持っている業者と持っていない業者、柔整師の免許を持っている業者とそうでない業者が対立する構図です。
 福山:柔整師の不正行為が横行していますよね。
 藤井:もちろんそうです。やってはいけない慢性腰痛とか、肩こりの患者を根こそぎ地引網で引っ張っていますからね。
 福山:私は肩を骨折して2003年末から病院でリハビリを受けました。それと同時にフィットネスクラブで水泳をして、マッサージを受けていたところ、保険証を持ってきたら安くなると言われました。私は断りましたが、それなんかも完全に不正請求ですよね。
 藤井:ただ骨折であれば骨折の後遺症ということになりますが・・・。全身ですか?
 福山:はい、全身です。
 藤井:それは不正請求です。今は不正請求に対する取り締まりの効果も出て柔整師の年収も以前より減ってきました。
 福山:一枝のゆめ財団の目標は人材育成ですか?
 藤井:人材育成もそうですが、同時に三療って面白いんだよというそういう魅力を世間に、またこれから志す人に訴えたいのです。医療ケアのなかの三療の価値は、先ほどのやりがいと通じるのですが、施術効果もあるし、喜ばれるし、こういう魅力や価値を社会に向けて啓発する活動をしたいと思っています。人材育成と三療の魅力と夢の発信、この二つが大きな柱です。
 福山:一枝のゆめ財団は1月14日に発足しましたね。
 藤井:はい、生まれたのはそうですが、登記は3月を目指しています。登記上の住所は千代田区ですが、当面、実際の事務所は別に考えています。
 福山:IAVI(国際視覚障害者援護協会)に間借りするとか?
 藤井:そういう気持ちは全くありません。
 福山:IAVIであはき国家試験に合格した留学生を対象に卒後研修をやっていましたね。
 藤井:やろうとした経緯はあります。山口和彦氏が理事長のときでした。卒後研修の施術所を作ろうということになって、附属盲の足達先生などと一緒にプロジェクトを立ち上げました。ですが、8割方できた段階でクローズになっちゃったんです。
 福山:当時どこに施術所を置いたらいいのかという話になりましたね。
 藤井:最初はIAVIの船橋会館の駐車場を改造してやろうという話もあったのです。しかし、場所が悪いということで巣鴨駅周辺で探し始めたのですが、お金の問題で頓挫しました。そこのところが引っかかっていて、プラザ館構想の中に組み込めないかという思いから、IAVIの石渡博明理事長、新井愛一郎理事にも今回、設立発起人に名を連ねてもらったのです。
 福山:財団設立趣意書では視覚障害者のことが特に配慮されていませんね。
 藤井:そう言われますが、根っこのところで常に視覚障害者を意識しています。ただ、三療業全体を底上げしないと視覚障害業者だけを豊かにすることはできません。そういうスタンスなのです。
 福山:昨年8月に一枝のゆめ基金もできました。一枝のゆめクラブはどのような位置づけですか?
 藤井:ゆめクラブは賛助会員組織です。
 福山:今は一般財団法人ですが、公益財団法人にして募金活動をするのですか?
 藤井:一般財団法人は寄付金に対する減免税措置がないので、大口の寄付をしてくださる方から寄付が集まりにくい。そこで公益財団法人にしたいと考えております。
 福山:先生の夢である「三療プラザ館」は大きいので、10億円とか20億円かかりますね。
 藤井:もちろん、かかります。
 福山:三療プラザ館はターミナル駅の近くにオープンするのですか?
 藤井:視覚障害者や全国からのアクセスを考えるとターミナル駅の近くがいいと思っています。バブルの頃と違って、今は古い建物だと1坪2万円ですね。100坪のフロアを借りたって年間3,000万円です。もろもろ含めて1フロアなら1億あればできちゃう。2、3億集まれば、銀行から資金を借りられます。ビルとなると20億とか30億くらいになりますね。我々の仲間では、クリニックではなく病院にしようよという話も出ています。きちっとした医療センターとあはきの連携ですね。特に今は地域包括ケアシステムですから、連携するモデルをここで作りたいのです。
 福山:アミン(AMIN=アジア視覚障害者マッサージ指導者ネットワーク)でやっている国際支援活動を三療プラザ館でもやるのですか?
 藤井:そうした支援活動を、教育界でも、日盲委でもやっていますが、人様がやっているところに財団は入りません。もし欠けている部分があったり、隙間があったりすれば、そこを補っていきたい。
 福山:IAVIで国家試験に受かったけど、座学だけでは母国に帰っても何の役にも立ちません。それから、沖縄プロジェクトみたいなことも行いますか?
 藤井:考えていません。あの時点でアミンは必要でしたが、今はもう国際貢献というより、屋台骨が崩れている国内を何とかしないといけない。基本は国内の立て直しです。
 福山:三療社会学研究所は本来は、大学とか、研究機関でやるべき内容ですよね。
 藤井:今は、私と矢野先生が中心でやっているので、定年でやめてしまったらやる人がいなくなってしまうかも知れないのです。
 福山:役員は皆さん錚々たる方々ばかりですが、坂本一理事(KENYU代表取締役)とか、中山哲志評議員(サンライズ・ジャパン代表取締役)とか、舟木なみ評議員(エスタシオ代表取締役)は聞き慣れない名前のように思いますが?
 藤井:KENYUは栃木県の宇都宮市のデパート内でマッサージサロンなどを展開している会社で、社長の坂本さんは全盲の企業家です。サンライズ・ジャパンの社長は晴眼者ですがデイサービス、介護等で視覚障害者も雇用しています。エスタシオは国内やベトナムで手広く美容院を展開している会社で、社長が盲人マラソンの伴走者で、視覚障害者にとても理解がある方です。こういうふうに我々の財団には他業種からも多種多彩な人材が集まってくれ、本当に嬉しいかぎりです。そして、我々の発想だにしないアドバイスをしてくださいます。三療プラザ館を丸の内にと言い出したのは坂本さんです。
 福山:今年の4月から事業開始と聞きましたが?
 藤井:本格始動という意味では6月からですね。この1月から5月までが、6月以降の準備期間で、本当に実行可能なのかどうかも検討します。
 福山:事務局に昨年ロゴス点字図書館を定年退職された山添和夫さんがおられてびっくりしました。
 藤井:事務局長は全病理理事の佐藤功さんで、山添さんにはとくに点字資料を中心に補佐をしてもらう予定です。千代田区は登記上の事務所で、将来大手町に三療プラザを作れば、同じ区内なので何かと便利です。ほかの区に作るとなると登記料も別途数十万円かかりますからね。取りあえずは赤羽駅周辺で、商店街にも近い所に事務所を構えようと物件を探しています。赤羽は東京の北の玄関口で発展性がありますからね。
 福山:三療プラザには地域医療・ケアセンター、国際事業部、三療社会科学研究所、情報文化事業部がありますね。
 藤井:そうです。4部門ある中の中核施設が、地域医療・ケアセンターです。とりあえずは就労継続支援事業所(A型)を取って、そこから始め、ゆくゆくは一般の施術所も作り、完成形になればクリニックもしくは、病院が附属されます。そこは視覚障害者も晴眼者もともに働きます。三療社会科学研究所というのはシンクタンクのことです。
 福山:平成30年度竣工という計画ですね。
 藤井:公益財団法人を平成30年度中に取って、大口の篤志家とか、資産処分とかいう話が舞い込んでくれば、ちょっとしたビルのフロアを借りて、三療プラザ館という名称でやりたいですね。最短で東京オリンピックの頃になります。将来的には丸の内とか、大手町、東京駅八重洲口とかにビルを建てたいものです。
 福山:実際に手広く施術所をやっている方々の協力もあるわけですね。
 藤井:いろいろな方から協力のお申し出をいただいております。ただ、一度にできるわけではありません。なにしろ財産が少ないのですから、夢は大きくですが、実際には堅実にやって行きます。ロゴマークは三つの葉っぱですが、川渕大成君という昨年の第101回二科展デザイン部で準入選したうち(筑波技大保健学科)の学生にデザインしてもらいました。自由、寛容、堅実というキーワードとあん摩鍼灸を合わせてロゴマークをつくってもらいました。したがって社風の一つが「堅実」です。寛容とは、多様性と共に、人に対して寛容という意味です。自由とは、のびのびといろんな発想を出し合える空気が必要だということです。今の社会は息苦しいし、不寛容な社会になってきていますから、それに対するちょっとした抵抗ですね。
 福山:当面は募金活動からですね。目標は?
 藤井:まずは一般財団ですから、大きな規模じゃなくて、一枝のゆめクラブを早期に立ち上げて賛助会員になってくれる方の数を増やして行きたいです。設立時の寄付者は、一人10万円でしたが、クラブ会員の会費は未定だけど一口数千円を考えています。当面の運転資金として100万円を目標にしています。
 福山:堅実だと聞いて少し安心しました(笑い)。
 藤井:海のものとも山のものともわからない財団に、浄財をお寄せいただいた方々のお気持ちを考えると、そこはきちんとやらないと行けません。
 福山:1000万円も出して、奥さんからの反対はなかったのですか?
 藤井:賛成してくれています。子供もいませんし、お金は墓に持っていけませんからね。私は公務員が長く、税金のおかげで暮らしていますから、社会に還元しきれいさっぱりに・・・。
 福山:別の業界というイメージのあるお兄さん(藤井克徳きょうされん専務理事)も協力されていますね。
 藤井:兄は就職の初任が養護学校だったのでおのずとあはきから離れていきました。彼もあはきの免許を持っていますから、一線を画しているつもりはないと思います。理療科の教員になっていたら、たぶん私と似たようなことを考えたと思いますよ。
 福山:ぼんやりしていた一枝のゆめ構想が、私の頭の中でもはっきり像を結びはじめました。私も影ながら応援致します。本日は長時間どうもありがとうございました。

編集ログ

 2月2日付米紙『ニューヨークタイムズ』は、「アナキストはトランプの就任に必要な手段で対抗する」と題した記事を掲載し、全身黒ずくめのアナキスト(無政府主義者)集団が、野球のバットで銀行の窓を割り、高級乗用車に火を放ち、230人が警察に逮捕されたと2枚の写真付で大きく報じた。
 米国はいまだに国民の約半数が進化論を認めない宗教国家なので、このような時代錯誤的な集団がいまだに残っているのだろうか。
 彼らが忍者のような黒ずくめの服、帽子、サングラス、マスクなどを着用するのは、過激な行動・犯罪を誰がやったか特定できなくすることと、かならずしもアナキストだけではないてんでバラバラな小グループが大きな集団に見えるようにするためで、この戦術を「ブラック・ブロック(black bloc)」という。
 米国では100万人規模の反トランプデモが行われているので、過激派はごく少数で、迷惑がられてもいる。このため、日本ではほとんどの新聞が、激しい暴動が米国であったことを報じても、彼らがアナキストと名乗っていることは報じない(1月22日付「日経」は「アナキスト」と記載)。小さなアナキスト集団をいたずらに著名にしないためにも、あえて無視するというのもマスコミの見識だろう。
 一方、ドナルド・トランプ大統領を支持する白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン(KKK)」や、極右「オルト・ライト(オルタナ右翼)」はブラック・ブロックの参加者をナイフで刺したり、銃撃して重症を負わせたりしている。その逆にアナキストに袋叩きにされた極右もいるのだが、トランプ大統領の誕生以来、米国では破壊と暴力が大流行しているようである。
 もっとも、米国は独裁者を容認するような政治体制ではないので、大統領が悪魔に魂を売っていない限り、不毛で暴力的な混乱も徐々に収束するのではないかと思われるし、そう願っている。(福山)

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