愛の光通信    2022年夏号通巻58号    LIGHT OF LOVE    Overseas Program for the Blind - Plans and Reports    ISSN 0913-3321    東京ヘレン・ケラー協会 海外盲人交流事業事務局  巻頭写真のキャプション:購入したマスクと手指消毒薬を前に、左よりネパール盲人福祉協会(NAWB)パワン・ギミレ(Mr. Pawan Ghimire)常務理事、ラトナ・カジ・ダンゴール(Mr. Ratna Kaji Dangol)教育課長、ラトナ・ラル・マハルジャン(Mr. Ratna Lal Maharjan)事務局長(詳細は5ページ) ●2021年度教育事業等の報告 NAWB教育課長/ラトナ・カジ・ダンゴール  ネパールで、ようやく新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が一時収束した今年(2022年)2月17日〜22日、ネパール盲人福祉協会(NAWB)パワン・ギミレ常務理事と私は、NAWBバラ支部と統合教育各校を訪問して、東京ヘレン・ケラー協会(THKA)が関係する事業を視察した。  まず、私たちはTHKAが1992年に建設したバラCBRセンターを2月18日に訪問し、NAWBバラ支部長と会い、同支部が運営するバラ眼科診療所の活動について話し合った。  これまで同診療所に眼科医等を派遣していたビルガンジのケディア眼科病院が昨年から事業を縮小した。このため現在はロータート郡のビジョンヘルスセンターの支援を受けて眼科クリニックを運営している。現在、眼科診療所には医師2人と検眼医1人がいて、1日に30〜40人の患者を治療している他、年間約800人に白内障手術を実施している。  バラ支部長との会談の後、私たちは、安達禮雄育英基金(4人)、純子女子育英基金(7人)、正雄育英基金(2人)の奨学生の教育状況を視察するため学校訪問プログラムを実施した。  同日、私たちはバラ郡のドゥマルワナ校を訪問し、校長と全盲のリソース・ティーチャーであるクリシュナ・ティミルシナと面談した。  生徒は授業にきちんと参加し、晴眼生徒との関係も良好で、授業中の規律もきちんと守られていた。寄宿舎は新しくペンキが塗りなおされており、清潔な男女別の部屋、台所、シャワールーム、点字参考書等を備えた図書室もある。  奨学生のクリシュナ・シャー・スナーは5年生、チャンダ・カティワダは12年生、チャンパ・クマリ・チョーダリは12年生に在籍していた。  同様に、私たちは2月20日にルパンディヒ郡マニグラムのシャンティ・ナムナ校を訪問し、校長と全盲のリソース・ティーチャーであるティカラム・プーサルなどと面談した。  COVID-19一時収束後の奨学生で12年生のニール・バハドゥールの教育状況やその他の子供たちの教育に関する問題について質問し、素直で誠実で勤勉な生徒であることが分かった。現在、同校には全盲の男子生徒が16人、女子生徒が11人在籍しており、全校生徒は2,540人以上である。  その後、私たちは安達禮雄育英基金の奨学生で国立トリブバン大学教育学部2年ミナ・ブージェルに会おうとしたが、彼女が学ぶポカラ・キャンパスは、政府がCOVID-19の感染率が低いので授業を再開すると発表していたにもかかわらず授業が再開されていなかった。このために彼女は実家に帰っており、会うことができなかった。  ナムナ・マチンドラ校はNAWB本部に非常に近いため、NAWBのスタッフはこの学校をたびたび訪問する。COVID-19一時収束後の授業再開に伴い、私は母校でもあるこの学校を訪れた。  そして現在10年生として在籍し、しっかり勉強している奨学生のルパ・タマンの教育状況を知った。また、私はリソース・ティーチャーと会い、視覚障害児にとっての機会と課題について話し合った。  ネパール地震2015で被災した同校は、日本のJICA(国際協力機構)の支援により視覚障害児のための寄宿舎が再建されており、22人の少年と10人の少女が生活していた。(以上、敬称略) ●点字と早期読解指導研修 ―― リソース・ティーチャーを対象に15日間 ―― NAWB教育課長/ラトナ・カジ・ダンゴール  昨年(2021年)11月10日〜24日、NAWBは、ネパール西部に位置するバンケ郡ネパールガンジのホテル・マルチ・ナンダンにおいて、点字教育に関する10日間の点字指導と5日間の早期読解指導を内容とする研修をバンケ郡(Bankey)、スルケット郡(Surkhet)、ダン郡(Dang)、カスキ郡(Kaski)、パルサ郡(Parsa)、ダンガディ郡(Dhangadhi)の6郡から派遣されたリソース・ティーチャー16人を研修生に実施した。  本研修は、視覚障害児のための統合教育校におけるリソース・ティーチャーの教育能力を高めることを目的に、米国国際開発庁(USAID)と国際NGOであるハンディキャップ・インターナショナルの資金援助を受けて実施した。  @視覚障害児はネパールでは小学校に入学する前にリソース・ティーチャーから点字を学ぶが、適切な手順と教育方法で点字指導ができるように本研修では10日間のプログラムを実施した。講師はTHKAの現地ボランティアで、元NAWB事務局長のホーム・ナット・アルヤール氏。彼はTHKAの財政支援で、2016年と2017年に発行したネパール語による点字教材2タイトルをテキストに指導した。  A点字を覚えた視覚障害児は点字を読むことができるが、だからといってその意味がわかっているかどうかは別問題である。読んで理解することは、すべての学習の基礎なので、児童が点字を読んでしっかり理解する力をつける必要がある。教師がその指導をするための早期読解プログラム(EGRP)研修が5日間にわたり行われた。  ちなみにUSAIDはネパールにおけるEGRPに5年間で5,380万米ドル(68億2,076万4,000円)の資金を投じて事業を展開している。 ●クリシュナ基金9月に完了! Krishna Scholarship's Mission is Complete  アルチャナ・ムキーヤ(Archana Mukhiya)は1998年11月25日生まれで、現在NAWB点字出版所で点訳の仕事をしながら、カトマンズの隣町であるラリトプル(パタン)にあるマイルストーン国際大学(Milestone International College)経営学科(BBS)の4年生で、今年の8月に大学を卒業する予定である。彼女は現在23歳で、今年の4月に婚約し、本年11月に結婚する。就学前教育(幼稚園)から高校(12年課程)卒業まで、彼女はクリシュナ基金の奨学生だった。  ローシャン・ムキーヤ(Roshan Mukhiya)は1999年8月6日生まれで、カトマンズの隣町バクタプールにあるサマジック大学(Samajik College)情報処理学科(B.SC. CSIT)の4年生である。現在22歳で、インターネットを提供する会社でアルバイトをしている。今年の8月から9月にかけて彼は大学を卒業する予定だ。彼は、幼稚園から大学卒業まで、つまり現在もクリシュナ基金の奨学生である。  したがって、ムキーヤきょうだいに対するクリシュナ基金による支援は、今年の9月に完了する。  プジャ・ムキーヤ(Puja Mukhiya)は2001年7月30日生まれで、ラリトプルにあるリッツ工科経営大学(Ritz College of Engineering and Management)経営管理学科2年生で、現在20歳である。今春まで医療資材会社で経理の仕事をしていたが、職場での上司によるセクシャルハラスメントに加え、授業時間帯の関係もあって退職せざるを得なくなった。彼女は幼稚園から高校卒業までクリシュナ基金の奨学生だった。  なお、前記3きょうだいは、今年の9月まで生活資金の一部をクリシュナ基金から受けることになっている。  アーラティ・ムキーヤ(Aarati Mukhiya)は2002年6月29日生まれの19歳。現在カトマンズにあるクマリ・アカデミー(Kumari Academy-KEBS)の高等部12年生(+2の2年生)で、ホテルマネジメントを勉強している。彼女は4歳のときにスペインのバルセロナに本部を置く国際NGOであるアミックス・デル・ネパール(Amics del Nepal)が運営する孤児院で成長した。その後彼女は、2016年春にバラ郡にあり次女のプジャが当時通っていたカレーヤ・ブライトランド・イングリッシュ・スクールに転校し、寄宿舎に入寮した。彼女は2018年春から2022年春までは、3人のきょうだいと、カトマンズのアパートで生活を共にしていた。彼女は現在カトマンズにある私立の女子寮に入寮し、菓子包装のアルバイトをしながら高校に通っている。(以上、敬称略) ●COVID-19対策用に手指消毒薬とマスクを提供  日本盲人福祉委員会(日盲委)の助成を受けて、東京ヘレン・ケラー協会(以下、当協会)は2021年11月1日に、NAWB宛、三菱UFJ銀行を通じてマスクと手指消毒薬の購入費として6万円を送金した。なお、送金手数料1万2,000円は当協会が負担した。  11月26日、パワン・ギミレ常務理事、ジョティK.C.理事(Mr. Jyoti K.C.)、スニータ・タパ理事(Ms. Sunita Thapa)により、10年課程修了試験(SEE)、12年課程修了試験、および大学での試験に優秀な成績で合格した視覚障害学生を表彰するための式典が、カトマンズのNAWB本部で開催された。従来、この催しは夏に開催されるNAWB総会の時に行われるが、昨年はコロナ禍のために対面での総会自体開催されなかった。このためコロナ禍が収まったこの日を選んで行われた。  この日は表彰式に続いて、参加した30人以上の視覚障害学生それぞれに、使い捨てマスク1箱(50枚)とKN95立体保護マスク(1枚)、それにSRケア手指消毒薬(500ml)1本を贈呈した。  マスクと手指消毒薬の残りの在庫は、近い将来他のニーズのある人たちにも同様に配布する予定である。また、NAWBの職員の安全も重要だと考えているので、マスクと手指消毒薬は同様に職員にも配布された。  なお、報告書には「NAWBは、ネパールの視覚障害者の安全を非常に重要視してくださっている東京ヘレン・ケラー協会と日盲委に心から感謝し、今後も同様の支援を期待している」とのメッセージが最後についていた。  マスクや手指消毒薬の価格はネパールでも日本と大きく違わない。つまり高卒初任給が月1万円そこそこのネパールでは比較的高価なのだ。そこで本事業は、多くの視覚障害者と接触する機会の多いNAWB職員の安全を考慮して企画した事業である。しかし、NAWBは視覚障害学生にも自主的に配布したので、当協会はこれを前向きに評価した。 ●2021年度事業報告(令和3年4月1日〜令和4年3月31日)  ネパール盲人福祉協会(NAWB)の点字教科書発行を中心とした教育事業に対して、教科書や点字雑誌製作用の点字用紙や点字製本用材料等を提供して、事業継続のための側面的支援を行った。  安達禮雄育英基金、正雄育英基金、順子女子育英基金の3基金による奨学金給付事業を実施した。  当協会職員有志によるNAWBバラCBR事業現地スタッフの遺児3人を援助する「クリシュナ君遺児育英基金」と「クリシュナ+2育英基金」の事業管理に協力した。  従来は、以上の事業管理等を行うためネパールに出張してきたが、特にカトマンズで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猖獗を極めており、NAWBの受入態勢も整っていなかったので2020年度に続き今回も中止した。  日本盲人福祉委員会(日盲委)の助成を受けて、COVID-19対策用手指消毒薬とマスクをNAWBに提供した。  事業報告集である『愛の光通信』(56号)を2021年7月、同誌(57号)を2021年12月に発行した。 ●2022年度事業計画(令和4年4月1日〜令和5年3月31日)     1.育英基金事業  正雄育英基金は小学校から高校まで(第1〜12学年)の男女の視覚障害児童・生徒を対象に、安達禮雄育英基金は小学校から大学(4年間)までの男女の視覚障害児童・生徒・学生を対象に、順子女子育英基金は小学校から高校までの女子の視覚障害児童・生徒を対象にした奨学金である。これらは寄付者、ネパール盲人福祉協会(NAWB)、当協会の3者が覚書を交換し、ネパール政府社会福祉協議会(SWC)に届け出ている事業である。この3事業が覚書に添って、滞りなく実施されるようモニターする。     2.フォローアップ事業  NAWBの点字教科書発行を中心とした事業に対して、フォローアップのための側面的支援を実施する。これは、当協会が長年実施してきた事業が無に帰さないように、2004年度(平成16年度)から継続して実施している事業である。     3.新型コロナウイルス感染防止対策  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が再拡大する中、もともと医療インフラの脆弱なネパールでは、病床や医療用酸素の不足といった「医療崩壊」が深刻化している。しかも1人あたりのGDPが約1,126米ドルであるため、マスクや手指消毒薬等COVID-19防止対策用品が、相対的に高価で充分に使うことができない。そこで、NAWB職員等のCOVID-19防止対策用にマスクや手指消毒薬を支援する。     4.国内事業  広報・募金活動は、NAWBから事業報告等が提出されることを条件に、『愛の光通信』を年2回発行し、例年通り実施する。  日本障害者リハビリテーション協会に事務所を置く、障害分野NGO連絡会(JANNET)の一員として、障害分野の国際協力を行う他施設・団体と情報交換・交流を深める。 ●海外交流事業記録(2021/4〜2022/3)  6月25日:障害分野NGO連絡会(JANNET)オンライン総会に参加  7月:『愛の光通信』(56号)発行  10月1日:ホーム・ナット・アルヤール氏に預けてあるクリシュナ基金の予備費10万ルピーから2万ルピーを、ダサイン祭のためバラ郡に帰省するムキーヤきょうだいのために支出連絡を代行  10月4日:フォローアップ事業として点字教科書製作のための材料費等をNAWBに送金  11月1日:マスクと手指消毒薬の購入費をNAWBに送金  12月:『愛の光通信』(57号)発行 ●ゴータマ・ブッダ国際空港の開港  国際空港を「国際線定期路線が就航する空港」と定義するならば、日本には成田、羽田、中部、関西、福岡、新千歳および那覇の7つの国際空港がある。  一方、ネパールにはこれまでカトマンズのトリブバン国際空港しかなかった。盆地に加え大気汚染のためカトマンズにはとくに晩秋から冬にかけてはよく濃霧が発生し、そのたびにカトマンズ発着の航空便は欠航になる。  ただでさえ山々に囲まれて離着陸が難しいのに、視界不良では早々と離陸を諦めて欠航となる。だが着陸は、他のネパールの国内空港では滑走路が短すぎて不可能なので、インドのコルタカ(カルカッタ)空港やデリー空港、そしてバングラデシュのダッカ空港へダイバート(代替着陸・目的地外着陸・緊急着陸)しなければならなかった。  このため無理もあったようで、1992年から2018年までに、トリブバン空港では7回の離発着事故が起きており、合計396人が死亡し、22人が負傷している。  そこで政府は、インド国境沿いのタライ平野にもう一つ国際空港があれば、そちらにダイバートすることでリスクを軽減することができると考えた。  1958年に開業したバイラワ空港は、ルンビニ県ルパンディヒ郡バイラワにあり、この市は1967年に市政が施行された。  バイラワの西隣にあるルンビニ村は、釈迦(ゴータマ・シッダールタ)生誕の地として世界的に有名である。そこで1977年に政府は同市の名称をシッダールタナガルに、バイラワ空港をゴータマ・ブッダ空港(GBA)に改称した。  そして国際空港に格上げするために既存のGBAを拡張する工事が2015年に開始された。  当初の計画では2017年12月に完成する予定であった。しかし2015年にネパール地震が発生し、その後はマデシ(インド系ネパール人)による暴動が頻発しインド国境が封鎖された。この影響で空港の工事も延期。そしてコロナ禍により再延期になり、本年5月16日に開港した。  日本では釈迦の誕生日である「花祭り」は4月8日とされている。しかし、釈迦の誕生日は国により、使うカレンダーが違うので、その多くは4〜5月の別々の日取りで行われる。ネパールでは、5月の満月の日に祝われ、今年のその日「ブッダ・ジャヤンティ(Buddha Jayanti)」は5月16日である。碌でもないことが続いたので、仏陀釈尊の法力にすがろうというのだろうか。  ちなみにGBAからカトマンズへはバスで約9時間の道のりである。 ●2021(令和3)年度 資金収支計算書  (自)2021年4月1日  (至)2022年3月31日 (収入)  以下、勘定科目:予算(A) 、決算(B) 、差異[(A)−(B)]、備考の順。単位は円。 経常経費寄附金収入:2,586,000、2,635,484、△49,484   寄附金収入(※1):2,586,000、2,635,484、△49,484 その他の事業収入:360,000、360,000、0   補助金事業収入(※2):360,000、360,000、0 受取利息配当金収入:0、0、0   受取利息配当金収入:0、0、0 その他の収入:0、0、0   雑収入:0、0、0  事業活動収入計(1):2,946,000、2,995,484、△49,484  ※1竹中千雄氏からの寄附金を含む  ※2日本盲人福祉委員会および毎日新聞東京社会事業団からの助成金     (支出) 人件費支出:120,000、120,000、0   職員給料支出:120,000、120,000、0 事業費支出:360,000、360,000、0   海外援護費支出:360,000、360,000、0   海外出張費支出:0、0、0 事務費支出:296,000、294,647、1,353   旅費交通費支出:0、0、0   事務消耗品費支出:2,000、1,944、56   印刷製本費支出:97,000、96,800、200   通信運搬費支出:82,000、81,873、127   業務委託費支出:40,000、39,900、100   手数料支出:40,000、39,130、870   諸会費支出:35,000、35,000、0   雑支出:0、0、0 事業活動支出計(2):776,000、774,647、1,353 事業活動資金収支差額(3=1−2):2,170,000、2,220,837、△50,837 当期資金収支差額合計(4=3):2,170,000、2,220,837、△50,837 前期末支払資金残高(5):3,452,712、3,452,712、0 当期末支払資金残高(4+5):5,622,712、5,673,549、△50,837 ●石鹸で手をきれいに洗いましょう!  ネパールの設備の整った学校に張ってあったポスターには、「お友達へ、石鹸で手をきれいに洗いましょう!」と書いてあった。しかし、こんなポスターを掲示できる公立校は例外で、1,000人以上も生徒がいるのに、手洗いできる井戸は一基という学校も珍しくない。  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をはじめとする感染症対策には、石鹸を使った手洗いが必要不可欠だが、世界では10人に3人、つまり約23億人が、自宅に水と石鹸で手を洗う設備がない。  ネパールなどの後発開発途上国の状況はさらに深刻で、10人に6人以上が基本的な手洗い設備を利用できていないと、ユニセフ(国連児童基金)は、警鐘を鳴らしている。 ●寄附者ご芳名(五十音順・敬称略)2021年4月1日〜2022年3月31日 温かいご支援ありがとうございました!   (個人) 芦田賀寿夫、在田一則、安藤生、飯田光江、石田隆雄、石原尚樹、磯公美子、岩屋芳夫、植竹清孝、上野伊律子、遠藤利三、大垣内勇、大西正広、大橋東洋彦、岡本好司、貝元利江、加来典子、勝山良三、川尻哲夫、川田孝子、菊井維正、楠本睦子、黒見恵美子、小泉周二、古賀副武、小林良子、小森愛子、斎藤惇生、坂入操、坂本留美、指田忠司、佐藤達夫、白井雅人、杉沢宏、鈴木洋子、高橋恵子、竹中千雄、田中徹二、田中正和、当津順子、長岡英司、新阜義弘、西山春子、林紘子、原田美男、樋渡敏也、譜久島和美、富久縞博、藤元節、本間昭雄、増野幸子、松本大、三上洋、三宅正太郎、横大路俊久、渡辺直明、渡辺勇喜三   (団体等)  NPO法人点訳・音声訳集団一歩の会、欧文印刷株式会社、小林動物病院、学校法人聖明学園古和釜幼稚園、有限会社信和ハウス、株式会社高垣商店、有限会社ヤマオー事務機 ●エベレストホテルの災難  1987年に設立された160の客室を持つ五つ星のエベレストホテルは、カトマンズのトリブバン国際空港から市内に向かって3kmの距離にある。カトマンズ中心部を結ぶ幹線道路に面しているので、外国からの賓客は、かならずと言っていいほどその前を通る。しかも中国が1993年に無償で建設した巨大な国際コンベンションセンターもすぐ近くにあるので一際目立つ。  ネパールは2008年5月、制憲議会で共和制導入を議決し、約240年続いたシャー王朝は幕を閉じた。それに至るまでは、国王による強権統治が行われたので、それに反対し民主化を求める大規模なデモが連日ネパール全土で頻発した。  カトマンズでの反国王デモ隊のルート上にこのホテルがあったため、行きがけの駄賃代わりに興奮したデモ隊は、容赦なく石つぶてを投げ込んだ。このため、同ホテルの道路側下層階にある客室の窓ガラスは粉々になっていた。  ネパール地震2015では、政府の監視チームが立ち入り禁止の「赤いステッカー」を張り、カトマンズで唯一、当局により閉鎖されたホテルとなった。その後、大規模な改修工事が行われていた矢先の2018年2月には、創業時からのオーナーであるインド人のマシュクール・アーマッド・ラリ会長が、身から出たさびとはいえ麻薬密輸容疑で逮捕された。  2020年は政府が200万人の観光客を誘致する「ネパール観光年」というキャンペーンを行うことになっていたので、それに間に合うように同ホテルは2019年10月に再開した。ところが、コロナ禍によりこのキャンペーンは早々と中止され、同ホテル、否、ネパール観光業は閑古鳥が鳴いている。 ●沙羅の木の葉の皿  ネパールのお祭りやパーティに欠かせない「沙羅の木の葉の皿」は、日本で紙皿を使うような感覚で普段使いされる。  サラノキは日本ではサラソウジュとも呼ばれるフタバガキ科サラノキ属の常緑高木。ただ、日本の寺院に聖樹として植わっている木のほとんどは、本種ではなくナツツバキである。  このサラノキの葉数枚を、縫うようにして重ね、型押しして、深皿にして、路傍の市場でとても安価で販売している。  使い終わったらそのまま山羊の餌にもなるので、紙皿よりもはるかにエコであること間違いなし。 ●手作りレモン石鹸  ホテルが過当競争状態のカトマンズでは、あの手この手で差別化をはかる。中流ホテルなのにバスルームにはちょっと高級な手作り石鹸が置いてあった。  ネットで調べたその石鹸のうたい文句は、「爽やかで自然な香りがするレモンは、優れた防腐力を持ち、ニキビを硬化させるのに役立ち、輝く肌を提供し、老化を遅らせます」。  協会がネパールで活動を始めた1980年代には「工業製品こそ高級、手作り品なんて!」と鼻で笑われたので、隔世の感がある。 ●寄附のお願い  ネパールにおける視覚障害者支援、とくに教育の充実をはかるために寄附をお願い致します。  寄附金のご送金は下記口座をご利用ください。 郵便振替:00150−5−91688 ●寄附金に対する減免税措置  東京ヘレン・ケラー協会は、所得税法施行令第217条第1項第5号に掲げる社会福祉法人です。当協会に対するご寄附は、所得税法第78条第2項第3号及び租税特別措置法第41条の18の3、法人税法第37条第1項及び第4項の規定が適用され、税法上の特典が受けられます。 ●編集後記  クリシュナ基金(4ページ参照)とは、その昔NAWBと協会が共同で実施したバラCBR事業のスタッフで早世したクリシュナ・ラル・ムキーヤの遺児3人に教育の機会を提供するために協会有志が2005年に組織した事業。  ただ同基金は任意団体であるためNAWBへの送金も困難でした。  そこで協会は同基金から送金手数料を預かってNAWBへの送金代行を行いました。  また、現地調査の折にはNAWBの車に遺児3人を乗せて三女が入所する孤児院に毎年連れて行きました。  同基金はこの9月で任務を完了します。  両親がいないので、これからも社会の壁があると思うのですが、きょうだいで力を合わせて、荒波を乗り越えて欲しいものです。(H・F) 発行:社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会海外盲人交流事業事務局 〒169-0072東京都新宿区大久保3−14−4 TEL:03-3200-1310 FAX:03-3200-2582 https://www.thka.jp/   E-mail: XLY06755@nifty.com  ※迷惑メールが増えています。当協会宛のメールには、適切な「件名」をお書き添えください。