愛の光通信    2021年夏号通巻56号    LIGHT OF LOVE    Overseas Program for the Blind - Plans and Reports    ISSN 0913-3321    東京ヘレン・ケラー協会 海外盲人交流事業事務局 ●NAWBからナマステ!  ナマステ!(※1) ネパール盲人福祉協会(NAWB)から東京ヘレン・ケラー協会(THKA)と関係者の皆様にごあいさつ申し上げます。  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の「第2波(※2)」が発生している状況下で、皆様がご無事であることを願っております。  COVID-19がネパールで日々急増しているため、政府はカトマンズをはじめとするネパール60郡に対してロックダウンを再び実施しました。  学校やすべての民間企業は閉鎖され、移動や集団行動も制限されています。そのため、私たちは自宅で仕事をしています。今の状況は本当に難しく、予測できません。  COVID-19のパンデミックという不確実な状況下で、皆様が安全を確保し、守られていることを願っております。  現在、私たちは電話で遠隔地の視覚障害生徒の安否を確認していますが、今のところ全員無事です。このような状況下ですが、NAWBはできる限りの方法で、すべての関係者をサポートすることに真剣に取り組んでいます。  私はCOVID-19が終息し、状況が正常に戻ったあかつきに、ネパールに皆様をお迎えできることをとても楽しみにしています。  THKAの役・職員、そして私たちに関係するすべての人々に「ナマステ!」とお伝えください。敬具   2021年5月7日   NAWB常務理事パワン・ギミレ(※3)  (※1)「ナマステ」とは、おはようございます。こんにちは、こんばんは、さようなら等、今日では何にでもつかえる万能のあいさつの言葉です。しかし本来は、「あなたに敬礼しますとか、あなたに服従します。ヒンドゥーや仏教に帰依します」という重い意味を持つ宗教的な用語で、このあいさつをするときは、胸の前で両手を合わせて合唱します。したがって、ネパール人でもイスラム教徒らはナマステとは言いません。  (※2)日本では2021年春のCOVID-19の流行を第4波といっていますが、ネパールでは第2波と称しています。  (※3)NAWBパワン・ギミレ常務理事(無給)は、ネパール陸軍の現役の少佐(Major)ですが、マオイスト(毛沢東主義派)との内戦で失明したため、現在は陸軍で傷痍軍人のためのスポーツを担当しています。  そのかたわらネパール盲人クリケット協会を組織して会長を務め、英国に本部を置く世界盲人クリケット(World Blind Cricket Limited)の財務担当理事(Treasurer)も務めています。 ●「ビクラム歴2077」コロナ下NAWBの1年 NAWB常務理事/パワン・ギミレ  【昨年のネパール会計年度(ビクラム歴2077年)は、西暦2020年4月14日〜2021年4月13日でした。  NAWBはこの1年間、COVID-19にすっかり振り回されました。関連するその前後の期間を含めて、ギミレ常務理事から下記のような報告がありました。以下、敬称略】  2020年3月20日〜11月21日:ネパール全土の学校が政府の命令で閉鎖された。  3月20日〜12月31日:ネパール全土の学校附属寄宿舎が政府の命令で閉鎖された。  3月24日〜7月21日:ネパール全土がロックダウンとなり、全国の道路から車や人影が消えた。  2020年の10年課程終了時にネパール全土で一斉に実施される学校教育修了試験(SEE)では、合計64人の視覚障害学生が受験し62人が合格した。NAWBは男女の最優秀成績者に「L.N.プラサド賞」を授与した。  4月2日:カスタマンダップ・ロータリー・クラブは、Aグレード以上の成績を収めた15人の視覚障害学生に各1万ルピーを授与した。また、日本の下館ロータリー・クラブとカスタマンダップ・ロータリー・クラブは共同で、2021年度用点字カレンダーの印刷費用、5万ルピーをNAWBに寄贈した。  4月13日:NAWBの常務理事がベベック・ポーデルからパワン・ギミレに交代した。  9月10日:東京ヘレン・ケラー協会から33万7,500ルピーが送金されたので受領した。  10月:クリシュナ基金卒業生アルチャナ・ムキーヤは、NAWB点字出版所で働きながら、マイルストーン・インターナショナル・カレッジの経営学科(BBS)の3年に在籍。  10月:クリシュナ基金奨学生ローシャン・ムキーヤは、サマジック大学情報処理科(B.SC.CSIT)の3年に在籍。  10月2日:ロックダウンのためNAWB本部は在宅勤務を採用。コンピュータ・オペレータのヘマント・ブージェルがPCR検査でCOVID-19陽性と確認され、自宅隔離を経て、10月20日に陰性となった。  10月8日:点字入力者のアルチャナ・ムキーヤがPCR検査でCOVID-19陽性と確認され、自宅隔離を経て、10月19日に陰性となった。  2021年1月3日〜:NAWBは香港のカドリー慈善財団(Kadorie Charitable Foundation)の支援を受けて、11・12年生のネパール語、社会、英語の点字教科書を発行し、11・12年生が学んでいる全国の学校に配布した。また、点図の参考書も発行して配布した。  盲学校のリソース・ティーチャーのための研修教本を作成した。同様に米国国際開発庁の助成金を受けてハンディキャップ・インターナショナル・ネパールとワールド・エデュケーションの協力の下、リーディング・フォー・オール・プロジェクトを通じて、視覚障害生徒のための教育・学習教材が開発された。本事業は2021年5月14日に段階的に終了する予定だったが、ロックダウンのため一部の事業は遅れた。  1月末:クリシュナ基金奨学生プジャ・ムキーヤが12年課程を修了して、同基金を卒業した。 2月:プジャ・ムキーヤがリッツ工科経営大学の経営管理学科(BBA)に入学した。  2月2日:NAWBの敷地内にあるネパール地震2015で被災したゴパル寺院の再建が開始された。  2月9日〜12日:日本盲人福祉委員会(NCWBJ)の財政支援を受けて、NAWBは5校、計139人の視覚障害学生へ、点字用紙、点字器(点筆付)、三角定規・分度器・コンパスセットなどや点字参考書、点図参考書などの教材を配布した。  本事業はパワン・ギミレ常務理事とラトナ・カジ・ ダンゴール教育課長が各学校を訪問して実施した。 3月24日と25日:NAWB本部で160人の視覚障害大学生に点字用紙を150枚ずつ配布した。  4月29日にネパールでCOVID-19の第2波が発生したので政府はロックダウンを発表し、NAWB職員は自宅勤務となった。NAWB管理職のラトナ・ラル・マハールジャンとパウジャ・バハドール・カルキの2人がPCR検査でCOVID-19陽性と確認され、自宅隔離を経て、2人とも陰性となった。  5月4日:カトマンズをはじめとするネパールの60郡でロックダウンが開始され、現在、ロックダウンのため、すべての学校が閉鎖されている。政府は、6月15日から、オンライン授業で新学期を開始すると発表した。 ●ジャヌカさんの死を悼む 元NAWB事務局長/ホーム・ナット・アルヤール  【もはや26年前の話になるが、国際視覚障害者援護協会(IAVI)の招待で、1994年4月に都立八王子盲学校普通科3年に編入したネパール女性ジャヌカ・プラサイさんを、憶えている読者の方がおられるかも知れません。 小誌2013年7月号(通巻40号)に、「ネパールとわたしとのつながり」と題して、八王子盲学校の小島(現・大森)純子先生に、彼女との交流の様子とともに紹介していただきました。  そのジャヌカさんが今年の1月9日に亡くなりました。享年54でした。これから先は彼女を良く知るアルヤールさんによる追悼文です。】  ジャヌカさんは1995年4月、八王子盲学校専攻科理療科に進みましたが、理療科3年の夏休みにネパールに帰省して、家族の問題のために勉強を続けることができず、結局、同校を中退しました。  彼女は鍼灸マッサージを学ぶために来日したのですが、3年間の日本滞在中に日本語をはじめとして多くのことを学び、知識や経験を積むことができ、その後のネパールでの生活に大いに活かすことができました。  ジャヌカ・プラサイさんは、1966年4月17日に、7人きょうだいの長女として、ネパール東部の丘陵地帯で生まれました。ネパール東部は、紅茶の産地として有名なインドのダージリンと隣接しており、ネパール側も紅茶の産地で、古くから開発の進んだ恵まれた地域です。ちなみにダージリンの原住民の多くはネパール語を母語とします。  ジャヌカさんは生まれつき全盲でしたが、教育を受ける環境には恵まれていました。彼女の郷里の中心都市である人口12万人のダーランにはネパール唯一の盲学校があったのです。彼女は1年生から7年生まで、プルバンチャル・ギャンチャクシュ盲学校で教育を受けることができました。  7年課程を修了後、彼女は首都カトマンズに隣接するキルティプルにあるラボラトリー高校に入学しました。  同校はネパールで最高の教育環境が整った同国初の公立寄宿学校として、1956年に米国の支援を受けて国立トリブバン大学教育学部の実験校として設立されました。  同校は現在も視覚障害者のための統合教育にも力を入れています。ジャヌカさんは同校で学校教育修了(SLC)試験に合格して、高校(10年課程)を卒業しました。  彼女はその後、カトマンズのトリブバン大学教育学部(マヘンドラ・ラトナ・キャンパス)に進学し、ネパール語を専攻して教育修士号を取得しました。  その後、前述したように来日し、八王子盲学校を中退して、彼女は1996年8月18日にトリブバン大学講師である全盲のクマール・タパさんと結婚し、ジャヌカ・プラサイ・タパとなりました。  ジャヌカさんとクマールさんの自宅は、カトマンズの東7kmに位置するラリトプル郡のマハ・ラクシュミにあります。  自宅から徒歩5分ほどのルブ高校は、晴眼者が通う普通の10年課程の公立高校で、統合教育は実施されていませんので、視覚障害生徒はいません。 彼女は2011年6月11日にネパール語の非常勤講師として同校に勤務。そして2018年に教員職務試験に合格して、同校の正規のネパール語教師になりました。  タパ夫妻は一男一女に恵まれ、長女のクスンさんは22歳で大学を卒業して、ネパール結核予防会でプロジェクト・アシスタントとして働いています。そのかたわら彼女は、大学の修士課程で社会学を専攻しています。  長男のプラサン君は16歳で、その昔SLC試験といっていた10年課程の修了試験を現在は中等教育試験(SEE)というのですが、それに合格し、自宅近くにある日本の高校2・3年に相当する「プラス2」課程のカレッジでITを学んでいます。  ジャヌカさんの趣味は音楽で、ギターを弾くのが好きでした。また教師のかたわら4年間NAWBの理事を務めていました。  彼女は全盲ではありましたが、教師としての優れた指導技術を持っていました。このため、ネパール政府教育科学技術省(Ministry of Education, Science and Technology)から「優秀教師賞」を贈られています。  また、カトマンズにあるカスタマンダップ・ロータリー・クラブからは、「優秀な女性」として表彰されたこともあります。  残念なことに15年前に彼女は糖尿病と高血圧と診断されました。そして薬を使って生活を維持し、食習慣を気にしていたにもかかわらず、2020年8月11日に学校で倒れました。  新型コロナウイルスによるパンデミックの時期で、ネパールでも感染が拡大していました。すぐに、彼女は治療のためにラリトプル郡のパタン病院に運ばれ、そこで3週間治療を受けました。同病院で彼女はCOVID-19陰性 と診断されましたが、同病院では彼女の病気が治ることはありませんでした。  そこで、ネパールで最高の医療水準をほこるカトマンズにあるトリブバン大学ティーチング・ホスピタルに転院しました。この病院は、日本のODAによって建設された近代的な病院です。  その後、彼女は同じカトマンズにある神経疾患の専門病院にも入院しました。しかし、すべての努力は無駄でした。ついに偉大な女性は、2021年1月9日に亡くなりました。  安らかに眠れマダム・ジャヌカ・プラサイ・タパ、あなたの業績は長く私たちに記憶されます。(『点字ジャーナル』2021年3月号より転載) ●盲人トレッカーヒマラヤBCに立つ  兵庫県の竹中千雄(タケナカ・カズオ)氏は、「中途失明者で社会的にも多くの差別を受け、人生に失望していたとき、追い打ちをかけるように医師から盲腸癌の宣告を受けたが、奇跡的に手術室から生還した。そこで、これからは死んだつもりで生きてやろう」と考えられました。  そして悪いのは自分の目だけであり、盲人としての限界に挑戦したいと、盲人トレッカーとしてアンナプルナ内院4,130mのベースキャンプ(BC)に挑戦されました。  その時のことを同氏は、電子書籍(Kindle版)『盲人トレッカーヒマラヤBCに立つ―― アンナプルナ内院4,130mベースキャンプに挑戦』として2013年12月に上梓されました。  同書で竹中氏は「『どうして目も見えないのに、山頂から見える眺望の良さが分かるんですか』と聞かれ、目で見たものは忘れるが、肌で感じたものは意外と忘れないものだ。肌にしみいる冷気、登山靴から足の裏に伝わる大地の感触。花の匂い。小鳥のさえずり、雪解けの川の流れの音などは今でもはっきりと自分の脳裏にこびりついている。  そんな感触の一つひとつを僕と一緒に味わってみませんか。またこの本を通じて、貧困な国と比べて、わが国のような贅沢三昧しか知らない日本人の在り方を、もう一度反省しながら読んでいただければ幸いです」と記されます。  こうしてネパールの貧しい現実にも触れた竹中氏は、当協会の事業に賛同され、昨年6月15日に、多額のご寄附をくださいました。  そして、同氏はその直後7月31日にお亡くなりになりました。  謹んで竹中千雄氏のご冥福をお祈り致します。 ●COVID-19に罹患して     アルチャナの場合  アルチャナ・ムキーヤは、クリシュナ基金の奨学金を受けて12年課程の高校を卒業し、現在はNAWBに勤務しながら大学で経営学を修めている。  彼女に昨年の10月5日発熱があり、翌6日に熱は下がったものの鼻水が出るようになった。それに先立ちNAWBのアルチャナが働く部署からCOVID-19の患者が出て、NAWBは10月3日から閉鎖されていた。  アルチャナは濃厚接触者に相当したので、10月7日にネパール・メディシティ病院に行き、PCR検査を受けたところ、8日に陽性と判定された。同病院は2017年にカトマンズの隣町ラリトプル(パタン)に設立された病床数700余の近代的な設備とスタッフを持つ国際水準の民間総合病院である。  とはいえネパールでの PCR 検査では50% 以上の陽性率が報告され、医療崩壊しているので、PCR検査で陽性になっても入院できるわけではない。  このため、アルチャナは自宅で静養することになったが、彼女の部屋にはPCR検査で陰性であった妹2人のベッドもある。幸い22歳と若いため元気で、食事もしっかり摂り、アルチャナはマスクをつけてひたすらベッドに横になり、ウコンを湯に溶いた「ウコン茶」を1日5回飲むように、医師に処方された。沖縄では健康のためにウコンのお茶「うっちん茶」を飲み、ハウス食品からは「ウコンの力」という機能性飲料が発売されている。漢方薬でもあるのでウコンは健康によさそうだが、COVID-19への即効性は期待できないだろう。だが、若いからであろうアルチャナは重症化しないで完治した。     アルヤール夫妻の場合  元NAWB事務局長で、退職後は当協会のネパールにおけるボランティアとして活動していただいているホーム・ナット・アルヤールさん(64歳)が、奥さんのミーナさんとともに、4月29日にPCR検査を受けたところ夫婦ともに陽性と判定された。  アルヤール夫妻は、インドで生産している英製薬大手アストラゼネカ製ワクチン「コビシールド」を3月10日と4月28日に接種した。この1回目と2回目の接種間に夫妻はCOVID-19に感染したようだ。  アルヤールさんは5月11日にメールで次のように連絡してきた。「妻と私の健康状態が劇的に改善しました。妻は感染してから寝付いたため家事はすべて私が行っていましたが、今日から妻が食事を作っています。ただカトマンズはいま非常に危険な状況です」。  5月14日PCR検査を受けたところ夫婦ともに陰性と判定された。アルヤールさんによると「妻は少し胸が痛いと訴えたが、医師はそれはCOVID-19の後遺症なので2・3日で解消されるということでした」と述べた。  アルヤール夫妻の今回の罹患と回復は、COVID-19ワクチンは1回目の接種だけでもかなりの効果が期待できることを裏付けたと思う。  アルチャナが罹患したのはCOVID-19の従来型だと思われるが、アルヤール夫妻が罹ったのはインド型ではなかったかと推測する。  医療崩壊しているネパールで、友人夫妻たちが悪い感染症にかかり、ワクチンをまったく接種していなかったらと思うと背筋が寒くなる。  先に紹介したNAWBパワン・ギミレ常務理事は43歳だが、すでにアストラゼネカ製ワクチン「コビシールド」を2回接種していた。  日本のワクチン接種が諸外国より遅れた原因の一つはワクチン審査が特例承認制度を活用したとはいえ、国内治験を経たため2〜3ヶ月を要し、危機にもかかわらず迅速に対応できなかったためである。そもそも世界中で先行接種しているワクチンを、わが国厚生労働省は承認しないという選択肢があったのだろうか。  いずれにしても日本でもワクチン接種が飛躍的に進むことを願うばかりである。(福山博) ●2020年度事業報告(令和2年4月1日〜令和3年3月31日)  安達禮雄育英基金、正雄育英基金、順子女子育英基金の3基金による奨学金給付事業を実施した。  当協会職員有志によるNAWBバラCBR事業現地スタッフの遺児3人を援助する「クリシュナ君遺児育英基金」と「クリシュナ+2育英基金」の事業管理に協力した。  従来は、以上の事業管理等を行うためネパールに出張してきたが、特にカトマンズでCOVID-19が猖獗を極めており、NAWBの受入体制も整っていなかったので今回は中止した。  事業報告集である『愛の光通信』(54号)を2020年7月、同誌(55号)を2020年12月に発行した。 ●2021年度事業計画(令和3年4月1日〜令和4年3月31日)     1.育英基金事業  正雄育英基金は小学校から高校まで(第1〜12学年)の男女の視覚障害児童・生徒を対象に、安達禮雄育英基金は小学校から大学(4年間)までの男女の視覚障害児童・生徒・学生を対象に、順子女子育英基金は小学校から高校までの女子の視覚障害児童・生徒を対象とした奨学金である。これらは寄附者、ネパール盲人福祉協会(NAWB)、当協会の3者が覚書を交換し、ネパール政府社会福祉協議会(SWC)に届け出ている事業である。この3事業が覚書に添って、滞りなく実施されるようモニターする。     2.フォローアップ事業  NAWBの点字教科書発行を中心とした事業に対して、フォローアップのための側面的支援を実施する。これは、当協会が長年実施してきた支援が無に帰さないように、2004年度(平成16年度)から継続して実施している事業である。     3.国内事業  広報・募金活動は、NAWBから事業報告等が提出されることを条件に、『愛の光通信』を年2回発行し、例年通り実施する。  日本障害者リハビリテーション協会に事務所を置く、障害分野NGO連絡会(JANNET)の一員として、障害分野の国際協力を行う他施設・団体と情報交換・交流を深める。 ●ダルバートの食べ方  10年ほど前からわが国でもネパールレストランが雨後の筍のように増えてきた。それ以前はネパール人の経営であっても「インド料理」と称することが多かったが、最近は店頭にネパール国旗を掲げて「ネパール料理」を強調する店も増えてきた。  それにともない、日本でも「ネパールセット」などの名称で、ダル・バート・タルカリ(ネパール定食)を出す店が増えてきた。従来はネパール人対象だったようだが、日本人の注文も増えてきた。  ところが「日本人は、食べ方を知らない人が多い」とレストランのマネージャーは苦笑する。  野菜サラダは別に食べるとして、それ以外はとにかく、韓国料理の「ビビンバ」のように、すべてよく混ぜて食べたらいいのである。  レストランのマネージャーも客に教えたらいいのにと思うが、「よけいなことを言って気を悪くされても困る」と遠慮するのがネパール人である。 ●2020(令和2)年度 資金収支計算書  (自)2020年4月1日  (至)2021年3月31日 (収入)   以下、勘定科目:予算(A) 、決算(B) 、差異[(A)−(B)]、備考の順。単位は円。 経常経費寄附金収入:1,130,000、1,137,310、△7,310   寄附金収入(※1):1,130,000、1,137,310、△ ,310 その他の事業収入:300,000、300,000、0   補助金事業収入(※2):300,000、300,000、0 受取利息配当金収入:0、0、0   受取利息配当金収入:0、0、0 その他の収入:17,000、17,100、△100   雑収入:17,000、17,100、△100 事業活動収入計(1) :1,447,000、1,454,410、△7,410  ※1竹中千雄氏からの寄附金は、会計処理の都合により2021年度に計上  ※2毎日新聞東京社会事業団からの助成金     (支出) 人件費支出:120,000、120,000、0   職員給料支出:120,000、120,000、0 事業費支出:300,000、300,000、0   海外援護費支出:300,000、300,000、0   海外出張費支出:0、0、0 事務費支出:247,000、246,382、618   旅費交通費支出:0、0、0   事務消耗品費支出:5,000、4,542、458   印刷製本費支出:97,000、96,800、200   通信運搬費支出:83,000、82,345、655   手数料支出:27,000、26,918、82   租税公課支出:0、777、△777   諸会費支出:35,000、35,000、0   雑支出:0、0、0 事業活動支出計(2):667,000、666,382、618 事業活動資金収支差額(3=1−2):780,000、788,028、△8,028 当期資金収支差額合計(4=3):780,000、788,028、△8,028 前期末支払資金残高(5):2,664,684、2,664,684、0 当期末支払資金残高(4+5):3,444,684、3,452,712、△8,028 ●ネパール政府鉄道(NGR)  内陸国ネパールの玄関口は、インド国境のビルガンジである。1990年頃、その玄関口の露天を冷やかしているとレールにつまずいた。日本の在来線の狭軌は1067mmだが、それより狭い軽便鉄道の軌間762mmのレールだったが、今は撤去されてない。  この鉄道は1927年に設立され、私たちがかつてCBRを実施したバラ郡のアムレフガンジからビルガンジを経由して、インドのラクソール間47kmを結んだネパール政府鉄道(Nepal Government Railway)であったが、1965年に閉鎖されてもはや跡形もない。 ●寄附者ご芳名(五十音順・敬称略)2020年4月1日〜2021年3月31日 温かいご支援ありがとうございました!   (個人) 青木貞子、朝妻洋子、安達麗子、在田一則、安藤生、石田隆雄、岩屋芳夫、植竹清孝、上野伊律子、遠藤利三、大垣内勇、大橋東洋彦、岡本好司、貝元利江、勝山良三、加藤武司、加藤万利子、川尻哲夫、川田孝子、菊井維正、楠本睦子、黒見恵美子、小泉周二、甲賀佳子、肥塚美和子、古賀副武、小島亮、小長谷厚子、小林義文、小林良子、小森愛子、近藤光枝、斎藤惇生、酒井久江、坂入操、坂本留美、佐々木信、佐藤達夫、白井雅人、杉沢宏、鈴木洋子、高橋恵子、竹中千雄、田中正和、田村栄子、當津純一、鳥山由子、長岡英司、生井良一、新阜義弘、野津虎雄、長谷川ミユキ、林紘子、原田美男、樋渡敏也、富久縞博、本間昭雄、前山博、増野幸子、松井繁、三宅正太郎、宮下浩子、茂木幹央、森栄司、森山朝正、山田あき子、横大路俊久、渡辺勇喜三   (団体等) NPO法人点訳・音声訳集団一歩の会、小林動物病院、学校法人聖明学園古和釜幼稚園、有限会社ヤマオー事務機 ●海外交流事業記録(2020/4〜2021/3)  4月19日:ホーム・ナット・アルヤール氏(以下、アルヤール氏)に『点字ジャーナル』6・7月号(通巻601・602号)用原稿「新型コロナウイルスとネパールの視覚障害者の生活」を執筆依頼  4月23日:月刊『新ノーマライゼーション』2020年5月号(通巻448号)のために依頼された原稿「ネパールにおける教育事業とCBR―― 東京ヘレン・ケラー協会の国際協力」を出稿  6月15日:IAVI評議員会に参加  7月:『Light of Love(愛の光通信)』No.54発行  7月27日:アルヤール氏に、上記「新型コロナウイルスとネパールの視覚障害者の生活」の原稿料を送金  10月12日:クリシュナ基金からCOVID-19治療費・PCR検査費、オートバイ教習所費(2人分)等のために7万ルピーを送金  11月10日『JANNETメールマガジン』2020年11月号のために依頼された原稿「ネパールにおける教育事業とCBR―― 東京ヘレン・ケラー協会の国際協力」(ダイジェスト版)を出稿  11月15日10時半〜正午:日本ネパール協会主催オンラインセミナー、鈴木インディラさんによる「在日ネパール人、今と昔」に参加  12月:『Light of Love(愛の光通信)』No.55発行  1月13日:アルヤール氏に『点字ジャーナル』3月号(通巻610号)用原稿「ジャヌカさんの死を悼む」を執筆依頼  3月17日:クリシュナ基金から予備費として10万ルピーを送金  3月26日:アルヤール氏に、上記「ジャヌカさんの死を悼む」の原稿料を送金  3月27日午前11〜12時半:日本ネパール協会主催オンラインセミナー、JICAネパール朝熊由美子所長による「コロナ禍におけるネパールの現状と課題」に参加 ●『協会のあゆみ』PDF/TXT/点字をHP(https://www.thka.jp/about/history.html)で公開中 ●オレンジ・トランペット・バイン  原産地はブラジルなのだが、冬のネパールでとても目立つこの花は、「オレンジ・トランペット・バイン(Orange trumpet vine)」という。  トランペットのような形をした橙色や赤い小花が10数本まとまって小枝から咲かせるノウゼンカズラ科ピロステギア属の蔓性常緑低木で、バイン(vine)とは英語で蔓のことで、カエンカズラ(火焔葛)、フレーミングトランペット、ピロステギア・ベヌスタ、ピロステギア・ウェヌスタともいう。 ●校内のバナナ農園  日本で一番食べられている果物はバナナだが、そのほとんどは輸入に頼っている。しかも日本で流通しているバナナの9割は、キャベンディッシュという品種だ。ネパールにもこの品種はあるが、圧倒的に多いのは小ぶりで甘いモンキーバナナだ。しかもバナナの花はタルカリ(野菜のカレー炒め)やアチャール(漬物)にして食べ、葉っぱは食器代わりになり重宝する。  バナナはネパールの生活とは切っても切れないので、敷地内にバナナ農園を持っている学校さえある。 迷惑メールが増えています。当協会宛のメールには、適切な「件名」をお書き添えください。 ●寄附のお願い ネパールにおける視覚障害者支援、とくに教育の充実をはかるために寄附をお願いいたします。 寄附金のご送金には下記口座をご利用ください。 郵便振替:00150−5−91688 ●寄附金に対する減免税措置  東京ヘレン・ケラー協会は、所得税法施行令第217条第1項第5号に掲げる社会福祉法人です。当協会に対するご寄附は、所得税法第78条第2項第3号及び租税特別措置法第41条の18の3、法人税法第37条第1項及び第4項の規定が適用され、税法上の特典が受けられます。 ●編集後記 COVID-19パンデミックへの対応は、日本は自粛を呼びかけるソフトなものですが、ネパールはロックダウンの違反者には警棒を振るうハードなものです。  しかし、内陸国の悲しさで、COVID-19はインドから洪水のように押し寄せてきました。 NAWBの本部職員は20数人しかいないのに、4人も感染したことをみても、ネパールのコロナ禍のすさまじさがわかります。  「若者は重篤化しない」といわれ本年3月28日・29日の水掛け祭り(ホーリー)は浮かれて大変な人出だったそうです。  そしてインド株が蔓延し、若者も多数亡くなりました。  ただワクチン接種は、日本よりネパールがかなり先行しているのは、危機感の違いでしょうか。(H・F) 発行:社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会海外盲人交流事業事務局 〒169-0072東京都新宿区大久保3−14−4 TEL:03-3200-1310   FAX:03-3200-2582 http://www.thka.jp/   E-mail: XLY06755@nifty.com  ※迷惑メールが増えています。当協会宛のメールには、適切な「件名」をお書き添えください。