愛の光通信    2005年冬号 通巻25号    LIGHT OF LOVE    Overseas Program for the Blind - Plans and Reports    ISSN 0913-3321 東京ヘレン・ケラー協会 海外盲人交流事業事務局  (写真:NAWB本部職員 新装なった正門より) ●毎日奨学金事業スタート ―― 会計年度2005〜2009 ――  地図:奨学金対象校 ◆目的  就学適齢期にあるにもかかわらず、貧困のため、就学の機会を得られないネパールの視覚障害児に対して奨学金を提供することにより、学校教育(第1〜10学年)を受けさせ、自立への道筋をつけると共に、将来のリーダー養成を図る事業である。 ◆背景  ネパール政府中央統計局の2003年度の調査によると、ネパールの一人当たりのGDPは約269米ドル(年収約3万円)であり、アジアの中でも最も貧しい国の一つである。  そのネパールにおける視覚障害者数は、正確には確認できないが、世界保健機関(WHO)によって実施されたサンプル調査によるとネパールの総人口の0.84%に相当すると見積もられている。現在のネパールの総人口は2400万人であるから、視覚障害者数は約20万人(日本は約30万人)である。そのうち就学適齢期の児童は、ネパール盲人福祉協会(NAWB)の推計によると少なく見積もっても、約2万人(日本は4千人弱)といわれている。そして、このうち実際に学校教育を受けている視覚障害児童は約600人に過ぎない。  このようにネパールにおける視覚障害者数が、相対的に極めて多いのは、その大半が貧困家庭に集中しており、劣悪な衛生環境や栄養状態に起因するケースが非常に多いためである。また、世界で唯一ヒンズー教を国教とするネパールでは、因果応報思想が「障害は前世の悪業の報い」として、単純化して未だに広く信じられている。そして、この迷信に救いようがないのは、貧しい障害者自身がそれを信じ込んでおり、日々の生活の中で自らを呪っていることにある。  因習を打破し、障害者が自立した生活を営むためには、教育を受けることにより、啓発され、自らを解放する以外に方法はない。  ネパールにおける視覚障害者教育は、まだ25年程度の歴史しかない(日本は100年以上)。それでも、実際に10年の学校教育課程を終えてSLC(学校教育修了試験)に合格すると、小学校の教員になるための正規の資格が与えられ、すでに数十人におよぶ視覚障害を持つ教員が誕生しているのである。 ◆事業の概要  @毎日新聞東京社会事業団から向こう5年間にわたって、寄託される年間100万円の資金を、東京ヘレン・ケラー協会は、本奨学金事業を実施するために、ネパール盲人福祉協会(NAWB)に送金する。なお、本事業はネパール政府社会福祉協議会(SWC)の承認の下に実施する。  ANAWBは、90万円に相当する資金を、視覚障害児47名の1年間(休日をのぞき、実際は10カ月間)の学費(主に教材費)・生活費(食費、被服費等)を賄うための奨学金として、当該児童が就学する統合教育校に直接送金する。  BNAWBは、10万円に相当する資金を事務経費として活用し、事業が円滑に進捗するように当該統合教育校(7校)を管理・指導する。  CNAWBは、東京ヘレン・ケラー協会に対して、年に1回、写真を添えた事業報告書を提出する。 ●ネパール視覚障害児奨学金事業対象校と奨学生数  以下、番号、学校名、所在地、毎日奨学生、政府支援の順。  @アマルジョティ・ジャンタ校(Amarjyoti Janta Secondary School)、ゴルカ郡ルインテル村(Luintel, Gorkha)、7人、8人  Aシャンティ校(Shanti Model Secondary School)、ルパンディヒ郡マニグラム村(Manigram, Rupandehi)、7人、13人  Bジュッダ校(Juddha Secondary School)、ロータート郡ゴール町(Gaur, Rautahat)、7人、13人  Cドゥマルワナ校(Nepal Rastriya Higher Secondary School, Dumarwana)、バラ郡ドゥマルワナ村(Dumarwana, Bara)、7人、13人  Dパシュパティ校(Pashupati Higher Secondary School)、シラハ郡ラーハン町(Lahan, Siraha)、10人、0人  Eバスビティ校(Shree Secondary School, Basbhitti)、マホッタリ郡バスビティ村(Basbhitti, Mahottari)、5人、0人  Fアダーシャ校(Adarsha Secondary School)、バクタプール郡ティミ町(Thimi, Bhaktapur)、4人、0人  毎日奨学生合計47人、政府支援合計47人  ※上記の統合教育校はすべて公立校で、ドゥマルワナ校とパシュパティ校は第1〜12学年(小・中・高校)の一貫教育校で、それ以外は第1〜10学年の一貫教育校である。といってもネパールのことであるから全学年進級試験があることはいうまでもない。これは小学校1年生から2年生に上がるときも例外ではない。 ● 毎日奨学金と政府奨学金をめぐる二つの偶然  2005年度から毎日新聞東京社会事業団の助成により、「ネパール視覚障害児奨学金事業(毎日奨学金)」が、スタートすることになった。そして、これはまったくの偶然なのだが、時を同じくして当協会が長年支援してきた統合教育校4校に、政府の支援(政府奨学金)がおりることになった。10年以上も前から、毎年ネパール盲人福祉協会(NAWB)は、これらの統合教育校への支援を教育省にねばり強く訴えてきたが、それがようやく実を結んだのである。しかも、毎日・政府両奨学金の対象者も共に47人で、これもまったくの偶然である。  政府奨学金が突然支給されることになった背景には、次のようなネパールならではの、のっ引きならない事情があった。  2005年2月1日、ギャネンドラ国王は既成政党の政治家が腐敗し、国民の利益を無視したなどとして、突然直接統治を宣言。強権を発動してデウバ内閣を総辞職させ、自らを首班(議長、首相は不在)とする内閣を発足させた。そして2月5日に閣議を招集し、国民の批判をかわす目的で汚職摘発のための特別委員会を15日以内に設置することや下層階級や体の不自由な学生らを対象に学用品の無償配布や奨学金支給を決定した。  こうしてNAWBは、昨秋から着々と計画してきた「毎日奨学金」と共に、政府による突然の僥倖に、嬉しい悲鳴をあげながら、この春すっかり振り回されたのであった。 ●事務局長交代のお知らせ  本年10月1日付で、海外交流事業事務局長が竹内恒之から福山博に替わりました。  なお、竹内は海外交流担当理事として、引き続き事業の推進にあたります。 ●アダーシャ校を訪問して (写真:アダーシャ校の教室)   毎日奨学金の対象校となった7校のうち、6校は典型的な地方の公立校である。そして1校だけが、カトマンズ盆地内にある首都圏の公立校だ。カトマンズの中心部から東に向かって車で30分ほど行ったところに、ティミという焼き物の町がある。国道からこの町に入る道は狭く、ジープでなければ登り切れないような急勾配なのは、この町が中世の城郭都市の姿を今に伝えているからである。建物は民家を含めて、ほぼレンガ造りの三階建てで統一されており、その中を道路が迷路のように張り巡らされている。  そんな一画にアダーシャ校はあるのだが、レンガ造りの町に、テニスコートほどの校庭も含め、すべてがレンガでこぢんまりと固められており、異常な圧迫感を覚えた。  同校は幼稚部から第10学年までの一貫教育校で、登録学生は1226人。そして、実際に毎日通学して来る学生は1150人位であろうとのことであった。そのうち視覚障害の生徒は10人で、4人は通学していたが、6人は寄宿生。寄宿生のうちの4人が毎日奨学生である。同校の教員は39人で、職員は6人。幼稚部と小学1年は各1クラスだが、他の学年は2クラス(2〜10学年)、1クラスの生徒数は、50〜86人であるという。日本とほぼ同じサイズの教室に、左右に男女別で、5人がけの長机が8列ずつ、都合16列あった。したがって、86人のクラスでは、5人がけの長椅子に6人が座っていたのだが、これはネパールの子供達が小柄で、痩せているから収まるのである。それにしても究極の狭苦しさだ。しかしながら、どの教室にも天井扇(シーリングファン) があり、熱気をかき回していたのは、さすが首都圏の学校である。  毎日奨学金の対象校7校のうち、早くからノミネートされていながら、実は最後まで決まらなかったのが、このアダーシャ校である。問題の一つはこの狭苦しさで、何しろ男子のベッドルームとは名ばかりで、レッドクロス・ルーム(赤十字室)と呼ぶ昼間は保健室として使われている部屋に仮住まいしている有り様だった。ネパールの公立校における問題は、校長の資質に帰す場合が多いが、同校ではむしろリソースティーチャー(視覚障害児担当教員)の指導力が疑問視されているようであった。しかし、これに関しては現地の公機関が監督・指導するということで、NAWBとの間で決着したようである。このため、我々が同校を視察したときも、バクタプール郡教育事務所の課長が終始同席していたのであった。 (写真:左端からNAWBアルヤール事務局長、バクタプール郡教育事務所課長、シュレスタ副校長、ラミチャネ筑波大院生《全盲で同校出身者》、右端は当協会海外盲人交流事業事務局長福山博) ●水不足と集中豪雨  2005年の夏は例年にない水不足で、ネパールでは田植えが1カ月も遅れ、夕立で降った雨を集めた田から順次田植えを行うという有り様。7月下旬になってもまだ田植えが終わっていなかった。いつもなら轟音をたてて流れている大河も干上がり、無数の情けない水たまりになっていた。  一方、現地のテレビや新聞では、インド最大の都市ムンバイ(旧ボンベイ)で雨が降り続き、洪水・土砂崩れが続出して、高級乗用車が流れ、交通網が完全に麻痺している模様を連日大きく報道していた。そして、その後死者はついに1000人を超えた。ちょうどその頃、日本列島で起きていた集中豪雨と水不足のまだら模様が、インド亜大陸でも規模を大きくして起こっていたのだ。 ●2005年度事業計画(平成17年4月1日〜平成18年3月31日)  昨年度よりネパールにおける事業は、ネパール盲人福祉協会(NAWB)との合意に基づき原則として募金収入に応じた小規模な側面的支援に留めることにした。これは、当協会が長年実施してきた事業が無に帰さないようにフォローアップするためのものである。とくにネパールにおける点字教科書発行事業は、昭和61年(1986)に当時のNAWB点字出版の担当者をわが国に招き、研修を実施して人材を育て、その後点字製版機・印刷機を現地に送り、点字印刷所を立ち上げた経緯もあり、点字教科書発行が滞らないよう支援する。  これとは別に、本年度からの新規事業として、毎日新聞東京社会事業団の支援を受けて、「ネパール視覚障害児奨学金事業」を向こう5年間、平成21年度まで実施する。この事業は、貧困のため就学の機会を得られないネパールの視覚障害児に対して奨学金を提供することにより、学校教育(第1〜10学年)を受けさせ、自立への道筋をつけると共に、将来のリーダー養成を図る事業である。  本年度は視覚障害児47名の1年間(休日をのぞき、実際は10カ月間)の学費(主に教材費)・生活費(食費、被服費等)を賄うための奨学金を、NAWBを通して、当該児童が就学する統合教育校に送金する。  広報・募金活動は、NAWBから事業報告書等が当事務局に提出されることを条件に、事業報告集である『愛の光通信』を年2回発行し、例年通り実施する。 ●奨学金と盲教育開発事業 ―― 人さらいに間違えられて ――  毎日新聞東京社会事業団の支援による「ネパール視覚障害児奨学金事業」がスタートしたことを、ある方に話したら、数年前に完了した統合教育事業を再開したのかといわれた。どちらも目的が、視覚障害児の就学なのでそのように誤解されたのだが、実際はまったく違う事業で、それは児童一人当たりの総事業費をみればあきらかだ。  奨学金事業が約1万9000円、従来の統合教育事業はその最終年(2003年度)が3万8000円、事業費が最大であった1998年度に至っては5万2000円であった。なぜ、これほど違うかというと、今年度からの事業が「奨学金事業」なのに対して、完了した事業が「盲教育校開発事業」であったからだ。奨学金事業にかかる費用の大部分は視覚障害児の寮費、つまり、食費を含めた生活費である。一方、盲教育校開発事業はそれに、統合教育校のリソース・ティチャー(視覚障害児担当教諭)、寄宿舎の寮母、用務員等の人件費、寄宿舎の建設費、光熱費等を含む一切の運営費なども負担した。しかも事業がスタートした頃は、これに視覚障害児を捜し歩き、その親を説得するための宿泊・交通費、リソース・ティチャーをカトマンズの大学で研修させるための教育費までかかったのである。しかし、そこまでしても教育を受けさせたいという視覚障害児の親は、当時は稀有であった。  今では笑い話であるが、当時はカトマンズから車でやってきた男たちが、目の色を変えて視覚障害児を捜しているとあって、新手の人さらいと疑われた。「学費も生活費も無料だから、学校に入学させませんか」などと、熱を込めて話せばはなすほど、「そんなうまい話があるわけがない」と、ますます疑われる始末であった。  ところが、学校からたまに帰ってくる視覚障害児は日々成長し、ちょっとした物知りとなると「盲教育校開発事業」の実績が急速に広まった。そして、いつのまにか統合教育を受けるための奨学金を申請する書類が、NAWBに山積するようになったのである。 ●眠っているテープレコーダーをお譲りください!  これまでも、皆様からお贈りいただいたテープレコーダーを100台ほどNAWBに届けましたが、まだまだ足りません。  もし、使わなくなったカセットテープレコーダーやラジカセ、ICレコーダーなどがありましたら、厚かましいお願いですが、送料をご負担のうえ当事務局までお送り願えませんでしょうか。ネパールの家庭用電圧は220Vですが、現地で比較的安価に電圧変換器は入手可能なので、定格電圧100VでもOKです。 ●CBRセンターが巻き添え被害  2005年8月27日(水)、私は午前7時半発のブッダ航空(BHA559)にて、バラ郡にあるシムラ空港へと向かった。飛行時間は30分、飛行機も真新しく、しばらくこないうちに滑走路も舗装されており、快適なフライト&着地であった。ところが、迎えの車でバラCBRセンターへ向かう道すがら、国軍のチェックポイントが2箇所もあり、あまりに物々しい警戒ぶりに、ゴータムCBRセンター所長に何かあったのか聞いた。すると、昨年町役場が爆破されたという。  町役場といえばバラCBRセンターのすぐ隣である。そこで「よくぞセンターが無事で!」と私が歓声をあげると、「実はその巻き添えで同センターの窓ガラスが何枚も割れた」と所長はすかさず打ち消した。このセンターは、1990年度外務省NGO補助金を受けて建設したので愛着もあり、以前はよくゲストルームに泊まったものだが、もはや泊まることはできないだろう。というわけで、この日の訪問も日帰りになってしまった。(福山博) ◆マオイストがバラ郡で町役場を爆破 9月15日(水)午後10時頃、8、9名のマオイストグループが、バラ郡のカライヤ町役場に押し入り、警備員と消防隊の職員を屋外に連行し、役場の中で圧力釜爆弾を爆発させ、3部屋でコンピュータ、什器および書類が被害を受けた。被害額は150万ルピー(約230万円)にのぼるが、死傷者はいなかった。(2004年9月16日付「ネパールニュース」より) ●ロータリークラブよりNAWBへ寄付金  2005年7月24日(日)午後6時より、カスタマンダプ(Kasthamandap)ロータリークラブの第3回総会が、在ネパールインド大使をメインゲストにホテル・ラディソンにて開催された。席上、同クラブよりNAWBに視覚障害児への育英資金として10万ルピー(約15万円)が贈呈された。  同クラブは、3年前に新しく設立されたカトマンズを基盤とした第2のロータリークラブで、「カスタマンダプ」とは、カトマンズを意味する古語。設立時の会長が、NAWB相談役のガジェンドラ・シュレスタ氏である関係で、多くのNAWB役員が同クラブ会員にも名を連ねている。 (写真:左端は寄付金を受け取るNAWBプラサド副会長) ●地域協力委員会からNAWBバラ支部へ ―― 再開された眼科診療所 ――  2002年6月末をもって当協会によるバラCBR事業の支援は完了したが、現地ではその後も、バラCBR地域協力委員会を中心に事業を継続してきた。そして、2005年4月、同委員会を発展的に解消し、新たにNAWBバラ支部を結成した(写真)。支部長のパラット・プラサド・チョーダリ氏は、ドゥマルワナ校で統合教育を開始したときの校長で、障害者に極めて理解の深い人である。  地域協力委員会はバラCBR事業に協力するというスタンスであったが、バラ支部は財源をも含めて、主体的に解決することを目ざしている。  また、2005年1月からは眼科助手(OA:シブ・クマール・ヤダブ)を独自に雇用して、眼科診療所も再開した。 ●街角の高級車  数年前からカトマンズ市街で見かける装甲車が気になる。空港を警備しているので「あれはインド製だ」とか、「いや、旧ソ連製だ」と到着した観光客の間で、驚きと共に揣摩憶測が飛び交った。  この物騒な車の正式名称は、英ディムラー社のフェレットMk.2/3偵察装甲車で、1971年に製造は打ち切られたが、未だに英連邦各国軍を中心に現役だ。左記イラストの中央のスペアータイヤのあるなし等で印象は違うが、カトマンズ市内で見かけるのも、ほぼ同型。二人乗りで、長さ3.835×幅1.905×高さ1.879mとちょっとした4WDより小型である。ただ、16mmの鋼板で装甲されているため重量は4.4tもある。ロールスロイス社のエンジンを積んでおり、最高時速は93km。  ディムラー(Daimler)という社名は、1896年にドイツのあのダイムラー社(現ダイムラー・クライスラー社)からエンジン製造のライセンスを取得した関係で、ダイムラーを英語読みにして社名にしたもの。英国最古参の自動車メーカーであったがジャガー社に吸収され、ディムラーの名は同社の高級車の一部に今も残っている。  (イラストと写真:FERRET Mk. 2/3 Armored Scout Car) ●2004年度事業報告(平成16年4月1日〜平成17年3月31日)  今年度からネパールにおける事業は、ネパール盲人福祉協会(NAWB)との合意に基づき募金収入に応じた小規模な側面的支援に留めることにした。当協会からの支援はネパールにおける視覚障害者教育、とくに点字教科書発行にそのほとんどが使用され、治安が不安定な同国にあっても滞りなく実施された。  平成16年度より、日本障害者リハビリテーション協会に事務局を置く、障害分野の国際協力・交流事業を推進するためのネットワークである「障害分野NGO連絡会(JANNET)」(会長・松井亮輔法政大学教授)に団体会員として加入した。同連絡会には発足当時から加入していたが、その後退会していた。しかし、同連絡会の副会長である日本点字図書館田中徹二理事長の熱心な勧誘を受けて、復帰・再加入することにしたもの。なお、田中副会長の推薦により、当事務局の福山博事務局次長(当時)が同連絡会の幹事に選出された。  ネパール出身のカマル・ラミチャネ氏が、平成17年度筑波大学大学院修士課程教育研究科の入学試験に合格した。同氏は全盲であるため、NAWBからの協力要請を受けて、大学院入学の諸手続、留学査証申請手続き等、主に書類作成を中心に支援した。  広報・募金活動は、NAWBから送られてきた事業報告等を参考に、『愛の光通信』を2004年5月(通巻22号)と同年12月(通巻23号)に発行し、募金を呼びかけた。 ●“ケータイ”狩り  今年(2005)2月1日に国王が強権を発動したため、ネパールへは電話もEメールも通じず、国外に住むネパール人はパニックに陥った。その後これらは復旧したが、携帯電話は改めて契約者の厳重な審査があり、契約更新できなかった人も多い。 これは携帯電話がマオイストの破壊活動の連絡に、常用されていることがわかり、これを取り締まるための方策であったという。 それ以後、これが功を奏し少なくともカトマンズでは、マオイストによる破壊活動は行われていないようである。 ●平成16(2004)年度収支計算書  自 平成16年4月1日  至 平成17年3月31日  (借方)  以下、科目、金額(円)の順。 事務費 494,585  賃金 120,000  旅費 3,870  消耗品費 49,510 印刷製本費 87,675 役務費 188,530 雑費 45,000 事業費 501,892  海外援護費 501,892  小計 996,477  当期繰越金 583,046  合計 1,579,523  (貸方)  以下、科目、金額(円)の順 寄付金収入 1,579,179  募金収入 1,579,179 雑収入 344  受取利息 344  合計 1,579,523 ●貸借対照表 平成17年3月31日現在  (借方)  以下、科目、金額(円)の順。 流動資産 2,818,216  現金 5,593  預金 2,812,623 資産合計 2,818,216  (貸方)  以下、科目、金額(円)の順。 繰越金 2,818,216  前期繰越金 2,235,170  当期繰越金 583,046 純財産合計 2,818,216 ●海外交流事業記録(2004/6〜2005/5) 2004年6月19、20日:第3回国際障害者シンポジウムに参加 9月14日:JANNET幹事会 9月13〜30日:ネパールの視覚障害学生カマル・ラミチャネ氏の宿泊手配 9月18〜27日:私的にネパール行、藤元節常務理事、川田孝子経理課長、福山博事務局次長(当時) 10月7日:ラミチャネ氏に筑波大学大学院の受験票を手渡す 10月15〜17日:ラミチャネ氏の宿泊手配 11月17日:ラミチャネ氏の査証延長のため入国管理局に同行 11月:JANNETメルマガ第14号の編集を担当 11月25日:ラミチャネ氏に筑波大学の入学手続きに関する書類一式を手渡す 12月:『愛の光通信』No.23発行 2005年1月5〜10日:ラミチャネ氏の宿泊手配 1月22日:JANNET研修会/幹事会 2月3日:ラミチャネ氏の留学査証申請 3月1日:ラミチャネ氏の査証発給/外国人登録証変更/国民健康保険申請 3月1日:ガジェンドラ・シュレスタ(NAWB相談役)夫妻歓迎会開催 3月4、5日:筑波大学入学手続書類の作成 3月6日:JANNET幹事会/研修会 4月16日:JANNET幹事会/総会 5月:『愛の光通信』No.24発行 ●寄付者ご芳名(五十音順・敬称略)平成16年7月1日〜平成17年6月30日  温かいご支援ありがとうございました!  (個人) 相原夏江/青木貞子/青木正子/青山マリ子/秋山恭子/浅倉久志/安達禮雄/荒川志げ子/在田一則/有本圭希/有本成子/安藤生/池田恵子/石井芳重/石川はな/石田隆雄/石谷喜代/石原幸栄/伊藤啓子/岩屋芳夫/植竹清孝/上野伊律子/遠藤利三/大島秀夫/大西正広/尾形雅子/岡本好司/岡本澄子/岡本恒夫/岡山美恵子/小田淳/加来典子/片桐武昭/勝山良三/加藤万利子/金田一郎/金田敏子/金森なを/上村健次/苅安達男/川上勲/川尻哲夫/菊井維正/木塚泰弘/木村ちづ子/楠本睦子/鞍谷清孝/小出隆家/肥塚隆/肥塚美和子/後藤良一/小長谷正夫/小林明子/小森愛子/近藤光枝/斎藤惇生/坂口廣光/坂本栄友/佐久間清子/佐々木秀明/指田忠司/佐橋忠明/志村洋/白木幸一/末吉恵里/菅原温子/杉沢宏/鈴木俊勝/鈴木文子/鈴木雅夫/鈴木洋子/鈴村百合子/関口伊吉/高橋恵子/田中さ加恵/田中茂/田中徹二/田中正和/田伏淳一郎/玉井義臣/田村富子/寺島アキ子/照井タカ子/当津順子/当山啓/徳間綾子/鳥羽田節/富永敏/鳥山由子/中川みどり/中島章/中嶋千代志/中村保信/中山弘子/成田稔/西條一止/西本行男/野津虎雄/橋爪ナナ/長谷川一郎/長谷川薫/花田重信/林紘子/檜山寿子/広沢大八郎/藤井清光/古市薫/星野彰/間下勉/増野幸子/町田英一/松浦先信/松田節子/松葉幸子/松村太郎/三浦光世/三原冨美子/宮崎勇/目黒伸一/目黒千代子/森山朝正/柳家小三治/山口節子/山田あき子/山田隆造/山中亮二/山本幸子/横大路俊一/米沢かよ/米田昌徳/渡辺直明  (団体等) ◆(有)大本印刷代表取締役・大本貞堅 ◆蟹江町立蟹江北中学校 ◆岐阜盲学校生徒会 ◆古和釜幼稚園 ◆シャンバロー芸能事務所・白井雅人 ◆(有)信和ハウス ◆(株)蒼英社・小池一夫 ◆園田はり治療院・佐々木玲子 ◆田中産科婦人科 ◆つつじ点訳友の会・神山貞子 ◆(社福)東京点字出版所理事長・肥後正幸 ◆日本ネパール友好協会 ◆(株)バイリンガル・グループ ◆花園神社 宮司・片山文彦 ◆満福寺・野々山宏 ◆武蔵野女子学院中高等学校 ◆山辻医院・山辻英也 ●募金に添えられていた手紙  謹啓 貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。  先日はご多用の中点字づくりの見学の機会をいただき誠にありがとうございました。今までいろいろな所で点字を見たことがありましたが、読むことがこれほど難しいとは思いませんでした。それに、点字づくりは、すこし時間をかけて、本に点を打つだけだと思っていましたが、本当は、パソコンや、いろいろな機械を使ってつくり、さらに読み合わせなど、たくさんの作業を行い、それが、とても大変な作業だということがわかりました。また、点字のことだけではなく、ネパールの国の人々への支援活動を行っていることを聞いて、驚きました。とても少額ではありますが、わたしたちのお金を、ネパールの人々の生活を、より良くするために役立てていただけたらうれしく思います。  末筆ではございますが、出版所スタッフの皆様にもよろしくお伝えいただきますよう、お願い申し上げます。(愛知県海部郡蟹江町立蟹江北中学校・諸木和大様より) ●英文タイプを寄贈  本年7月25日に持参した英文タイプライター2台をNAWBに寄贈しました。送料を倹約するためネパールに出張するたびに、1、2台ずつ手荷物として運んだため、思わぬ時間がかかりましたが、これで2000年度に当協会にお寄せいただきました17台をすべて、ネパールに届けることができました。すでに届けたタイプライターは、ネパール各地の統合教育校で使われています。  改めまして、皆様のご支援に感謝致します。  (写真:NAWBの会議室にて) ●ITCセミナーの休日  日本点字図書館主催の第2回池田輝子ICTセミナーに参加するため、ネパールから視覚障害者のニーラ・アディカリさん(27歳・写真右端)が、本年8月22日に来日しました。1カ月足らずの同セミナーは土・日も開講するため、休講となった9月9日(金)筑波大大学院のカマル・ラミチャネ氏と当事務局の福山が、ネパールには海がないことから横浜港周辺を案内しました。 (写真:横浜港にて) ●募金のお願い  ネパールにおける失明防止と視覚障害者援護の充実をはかるために、募金をお願い致します。  寄付金のご送金は下記口座をご利用ください。 郵便振替:00150−5−91688 銀行口座:三井住友銀行新宿通支店(普)5101190 ●寄付金に対する減免税措置  東京ヘレン・ケラー協会は、所得税法施行令第217条第1項第5号にかかげる社会福祉法人でありますので、当協会に対するご寄付は、所得税法第78条第2項第3号、法人税法第37条第3項第3号の規定が適用され、税法上の特典が受けられます。 ●編集後記  一昔前まで、ネパールの国道はひどく荒れており、地方に出向くたびに泣かされました。最近は道こそ整備されましたが、今度は地雷におびえなければならなくなり、悪路やミシミシきしんだ木橋が、今は懐かしく思えます。▼カトマンズのホテルはスーパーマーケットに衣替えしたり、閉鎖に追い込まれるところが続出しています。ネパールには、まずなにより和平が求められています。▼当協会のホームページは、これまで部署によって独自に、あるいは暫定的に公開してきましたが、このたび統一してリニューアルオープン(http://www.thka.jp/)致しました。ぜひ一度ご訪問ください。(H・F) ●発行:社会福祉法人 東京ヘレン・ケラー協会 海外盲人交流事業事務局 〒169-0072 東京都新宿区大久保3−14−4 TEL : 03-3200-1310  FAX : 03-3200-2582 E-mail : XLY06755@nifty.com