東京ヘレン・ケラー協会会報 青い鳥 第7号 2005年10月1日発行 発行人:藤元節 編集:広報委員会 社会福祉法人 東京ヘレン・ケラー協会 〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-20 本部、ヘレン・ケラー学院 電話 03(3200)0525  FAX 03(3200)0608 点字図書館 電話 03(3200)0987 FAX 03(3200)0982 点字出版所・盲人用具センター・海外盲人交流事業事務局 〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-4 電話 03(3200)1310 FAX 03(3200)2582 インデックス:  協会の決算・予算 ・・・・・・ 2  HPをリニューアル ・・・・・・ 4  音コンに特別ゲスト ・・・・・・ 5  秋のグッズフェア開催 ・・・・・・ 6 夏休み 楽しかった「施設1日公開」 ボランティアグループが大活躍  恒例となった「夏休み施設1日公開」が今年も8月24日、協会3階ホールをメーン会場に開かれ、60人を超す来場者で盛り上がった。  このイベントは、地域の人たちや子供たちに一般公開することで、もっと東京ヘレン・ケラー協会の各施設を知ってもらおうと、昨年、点字図書館開館30周年を記念して始めたもの。今年はヘレン・ケラー学院も参加して学院生やOBらによる「マッサージ無料体験コーナー」を新たに始めたこともあって、朝からたくさんの人たちが訪れた。  今年特に目立ったのは小学生の姿だった。筑波大附属小2年の子供たちをはじめ、大勢の子供たちが母親らと一緒に訪れ、点字の仕組みや読み方、さらに書き方まで熱心に勉強。最後はきれいなリボン付きのしおりに自分の名前を点字で書いて持ち帰るなど、夏休み最後のイベントをたっぷり楽しんだ。  また新設したマッサージ無料体験コーナーには20人が訪れ、学院生らの丁寧なマッサージに心も体も癒されていた。点字出版所見学も人気の的。午前と午後の2回、各10人を予定していたが、希望者が多く、担当者もうれしい悲鳴をあげていた。  今回、イベントを手伝ってくれたのが点字図書館で活動する「楽点の会」「ヘキサ」「めてんの会」「グループめめ」の点訳ボランティア4グループで、企画から設営まで大活躍。アイデア豊かな人、レイアウトに素晴らしい腕前を見せた人、先生さながらに丁寧な指導ぶりを発揮した人など、それぞれが持ち前のセンスでイベントを盛り上げ、成功の立役者になってくれた。  今回の成功により、これからの施設公開にも新たな展開が期待できそうだ。  写真:ボランティアの指導で点字の書き方に挑戦する子供たち 海外盲人交流で新たな展開 毎日ネパール奨学金事業  本年度から新規事業として、毎日新聞東京社会事業団の支援を受けて「ネパール視覚障害児奨学金事業」(毎日ネパール奨学金事業、年間事業費100万円)を向こう5年間、平成21年度まで実施します。この事業は、貧困のため就学の機会を得られないネパールの視覚障害児に対して奨学金を提供することにより、学校教育(第1〜10学年)を受けさせ、自立への道筋をつけると共に、将来のリーダー養成を図る事業です。  本年度は視覚障害児47人の1年間(休日をのぞき、実際は10カ月間)の学費(主に教材費)と生活費(食費、被服費等)を賄うための奨学金を、ネパール盲人福祉協会(NAWB)を通じて、これらの児童が就学する統合教育校(7校)に送金して実施します。 ◎平成16年度事業報告と決算 平成16年度収支決算 (単位:円) 会計区分 収入額   支出額  繰越額 本部会計 57,181,347   56,609,353  571,994 (施設会計) 点字図書館 42,493,827   41,848,309   645,518 点字出版所 318,074,902  320,623,243  △2,548,341 (特別会計) ガイドヘルパー 養成事業 879,002   879,002  0 ヘレン・ケラー学院 56,412,263   56,364,960  47,303 盲人用具センター 9,567,182   9,552,854   14,328 海外盲人交流事業 1,579,523   996,477  583,046 総合収支 486,188,046  486,874,198  △686,152 ◎平成16年度事業報告  [ガイドヘルパー養成研修事業]  東京都盲人福祉協会の全面協力を得て、第1回の研修事業を11月20日〜28日の土日の4日間、実施した。実技重視のカリキュラムを組み、受講料は37,000円。定員を上回る応募があり、24人の受講生全員が皆勤でガイドヘルパーの資格を得た。好評のうちに終わり、次年度以降、本格実施の手掛かりをつかむことができた。  [ヘレン・ケラー学院]  新入生は中卒課程7人、高卒課程9人で生徒総数は54人(前年度は56人)。16年度は病気等による欠席者が多く、11人の中途退学者を出した。  17年2月の第13回国家試験では, 現役10人があん摩マッサージ指圧師に合格(合格率83%)、8人がはり師に合格(同67%)、きゅう師に9人が合格(同75%)した。夏休みや放課後の補習等が功を奏し、前年度の不振を挽回した。 [点字図書館] 東京都補助金が3年ぶりにアップしたほか、前年度に続いて人件費の見直し、新規助成先の開拓に努めた結果、ようやく収支健全化の見通しがついた。図書製作・貸出は4年連続で前年度を上回った。 開館30周年を記念して8月25日に初の「夏休み施設1日公開」を実施し、1都3県から約60人が参加した。もう一つの記念事業である自館製作図書目録のデータ整備も完了し、点字、テープ、デイジー版の3種類の実費提供が可能となった。 [点字出版所] 点字図書は「演歌 '04」「ポップス '04」「プロジェクトXシリーズ」等12タイトルを発行した。教科書関係は文部科学省著作小学部用「算数」「社会」、自治体委託の「点字広報」「声の広報」のほか民間委託の各種マニュアル点字版・録音版を作成した。月刊誌「点字ジャーナル」、月2回刊・生活情報点字雑誌「ライト&ライフ」を発行した。 [盲人用具センター]  前年に続き、盲学校、福祉専門学校からの注文で、「感光器」、「点字練習帳」とも安定した売れ行きを見せたほか、新商品の「プレクストーク」や「音声体組成計」が予想以上の販売となった。 [海外盲人交流事業]  ネパールでの事業は本年度から側面的支援にとどめることになったが、当協会からの支援は点字版教科書発行に大半が使用され、治安が不安な下でも、着実に実施された。 また、「障害分野NGO連絡会」(JANNET)に協会として再加入し、海外盲人交流事業局の福山博事務局次長が幹事に選出された。 平成17年度事業計画と予算 平成17年度収支予算 (単位:千円) 会計区分        予算額    前年度額    差引増減 本部会計 2,070 55,780 △53,710 (施設会計) 点字図書館 40,539 41,672 △1,133 点字出版所 218,500 316,800 △98,300 (特別会計) ガイドヘルパー 養成事業 2,220 880 1,340 ヘレン・ケラー学院 51,221 56,413 △5,192 盲人用具センター 7,500 9,300 △1,800 海外盲人交流事業 2,300 1,500 800 総合収支 324,350 482,345 △157,995 平成17年度事業計画  協会としては前年度に試行したガイドヘルパー養成研修事業を軌道に乗せること、ヘレン・ケラー学院卒業生の進路開拓のために実技向上並びに三療師派遣も視野に入れた新規事業の準備を急ぐ。学院は個別指導の強化をはじめ教育効果を高めるための方策、点字図書館は「視覚障害者パソコン講習会事業」の本格実施、点字出版所は新規取引先の開拓と業務の効率化を重点目標とする。 自らの非力を自覚しつつ 前進に「待ったなし」 協会理事長 藤元節  「器に非ざる者」と知りながら、この4月、理事長並びにヘレン・ケラー学院長に就任しました。任期半ばの堀込さんから「後は頼む」と指名され、この歳(66歳)になって、「カシラにはなるな」という亡父の言いつけに背いてしまいました。  協会経営の3施設に寄せられる利用者の熱い期待、使命感に燃える協会役職員と支援ボランティアの存在などを考え、自分は非力でも協会の前進は可能と判断しました。  半年過ぎたいま、やっと課題を整理したところです。  ヘレン・ケラー学院は、視覚障害者の進路選択が多様化する一方、「三療」への晴眼者の進出が進む厳しい状況の下で、どうして特色ある教育体制と適正規模の学生数を確保するか、資格を取らせるだけでなく、本当に自立できるだけの技術を磨く場をどうして創り出すかが勝負です。  点字出版所は、顧客の新規開拓、点字版選挙公報づくりに取り組むスタンスと出版所全体の作業体制の見直しが課題です。点字図書館は、IT関連をはじめ利用者のニーズに応える新規事業の展開を求められています。  共通して言えるのは「現状維持」からの脱却です。縦割りでなく、3施設が協力して立ち上げる新規事業は、まだ形になっていませんが、おぼろげながら、姿が見えてきたような気がいたします。私の使命は、協会前進の道筋を付けて後継者に託すことと自覚しています。来年6月11日の任期まで、「待ったなし」です。ご指導、ご協力の程、お願い申し上げます。 ◎東京ヘレン・ケラー協会人事  退任 理事長兼ヘレン・ケラー学院長 堀込藤一(3月31日付)▽理事長兼ヘレン・ケラー学院長(常務理事兼点字図書館長)藤元節▽点字図書館長 石原尚樹=毎日新聞社より出向(以上4月1日付)▽海外盲人交流事業事務局長並びに点字出版所録音課長兼務を解く(点字出版所長兼海外盲人交流事業事務局長兼点字出版所録音課長)竹内恒之▽兼海外盲人交流事業事務局長(点字出版所編集課長兼点字ジャーナル編集長兼海外盲人交流事業事務局次長)福山博▽点字出版所録音課長(点字出版所録音課長補佐)藤本妥(以上10月1日付) 新会長に愛宕洋志さん 学院同窓会総会開く  ヘレン・ケラー学院同窓会(会員1500人)の平成17年度総会は、6月26日午前11時から学院3階ホールで開かれた。  参加者は約60人。三浦真人さん(平成13年あはき科卒)が司会、長谷川清副会長(平成9年あはき科卒)が「この日を一番喜んでおられるのは、ご存命なら125歳になられるヘレン・ケラー先生ではないかと思う。ご出席の皆さん、どうか1日を有意義に」と開会の言葉を述べた。活動報告、会計報告とともに新しい索引付きの会員名簿が披露された。  役員改選では、愛宕洋志(おたぎ・ひろし)さん(昭和61年あはき科卒)が2期4年会長を務めた同期の玉住博さんの推薦で、会長に選ばれた。副会長は高山米子さん(昭和60年はき科卒)と長谷川清さんが3選された。愛宕新会長は「同級生に裏切られて貧乏くじを引かされてしまいましたが、今まで以上に皆さんの力をお借りして、2年間やってみたいので、よろしくお願いします」とユーモラスにあいさつした。  このあと2時間にわたって懇親会。元点字講師の佐藤実さんが久々に姿を見せるなど、懐かしい顔もあり、学院時代の思い出や近況をなごやかに語り合った。 コラム 窓  「この仕事に就いて、本当によかったと思います」。ヘレン・ケラー学院3年課程を平成10年に卒業した岩原克己さん(58歳)は、母校を訪れて、ほほ笑んだ。 岩原さんは、南房・千葉県夷隅町で治療院を開いている。人口7800人の小さな町だが、訪れる患者さんは1カ月に100人を超えるという。「あそこの先生のおかげで、長年の腰痛がラクになったとか、口コミで患者さんが患者さんを送り込んでくれるんです」。確かな腕と2期後輩の弘子夫人のマネージメント。二人三脚の成果である。  「42歳で失明したことは辛いけれど、そのあとの人生の方が生きているという実感が濃い」と言い切る岩原さん。学院時代は帰宅後、毎日5時間テープ学習を続け、「一色賞」を手にした。実技も通学の電車の支柱で親指を鍛えるなど、努力を重ねて今日がある。 今年度のヘレンケラー・サリバン賞 視覚障害者の外出サポートを20年 和波その子さん(86)が受賞  「ヘレンケラー・サリバン賞」の17年度(第13回)受賞者は視覚障害者外出介助ボランティア「アカンパニー・グループ」代表の和波その子さん(86歳=東京都世田谷区)に決定した。授賞式は10月7日、協会3階ホールで行われ、藤元節理事長から本賞の賞状、審査委員長の直居鉄・国際視覚障害者援護協会理事長から副賞としてヘレン・ケラー女史の直筆サインを刻したクリスタルトロフィーが贈られる。  和波さんは「全国から視覚障害者が集まる東京には、旅行、移動をサポートする介助者が必要」と考え、昭和60年11月1日、地方から上京する視覚障害者の歩行を介助する民間ボランティアグループ「アカンパニー・グループ」を17人の有志と設立した。ちなみに、「アカンパニー」とは「同行する」の意味という。  以来、この10月末日で創立20周年を迎えるまで、行政の援助を一切受けず、純粋なボランティアとして無報酬で活動。しかも無事故で延べ7000人を支援してきた。  なお和波さんは、国際的ヴァイオリニスト和波孝禧氏のご母堂でもある。 突然の総選挙“夏の陣” ―― 点字出版所 ―― 点字版選挙公報発行で奮戦  夏真っ盛りの8月8日、衆議院がまさに突然の「郵政民営化」解散 をし、総選挙に突入した。昭和43年の第8回参議院議員選挙での「点字版選挙公報(選挙のお知らせ)」発行以来、国政選挙はもとよりありとあらゆる選挙公報を手がけてきた点字出版所だが、8月30日公示、9月11日投票のスケジュールでは、“戦争状態”となることは必至だった。  小選挙区名鑑、比例区の政党政見、国民審査のお知らせの他、選挙関連の発行物をすべてこの短期間で作成し終え、しかも視覚障害有権者の手元に、投票日の数日前までには届けなければならない。  アルバイトを採用しても戦力不足となることから、出版所員は全員、土・日曜出勤、夏休み返上もやむなし、の“夏の陣”となった。  こうした国政選挙での最大の苦労は、八丈島、大島、父島……といった離島の隅々まで(たとえ盲人有権者が数人の島でも)配送しなければならないことだ。そのために、ギリギリ間に合う船便の出航日もチェックする、といった具合の選挙公報発行だが、視覚障害者の参政権確保と確立のための熱い、暑い夏が終わった。 協会HPをリニューアル 合い言葉は「楽しく、役に立つ」  「早く充実したホームページを作って」という多くの声に応えて、協会のホームページが7月20日リニューアルされ、本格運用を開始した。  トップページはヘレン・ケラー女史の肖像と「あなたのランプの火をもう少し高くかかげてください。見えない人々の行く手を照らすために」という有名な言葉を載せて、すぐに協会のイメージが浮かび上がるようになっている。トップからヘレン・ケラー学院、点字出版所、点字図書館など各施設のサイトに飛べ、一覧性と機能性にあふれたおしゃれなページだ。   さらにヘレン・ケラー女史のさまざまな写真を網羅した「フォトギャラリー」や、協会常務理事在職のまま1976年に亡くなった一色直文氏がポプラ社刊『ヘレン・ケラー』の巻末に解説として残していた「ヘレン・ケラー女史の印象」を載せるなど、独自色の強いホームページになっている。更新は頻繁に行われており、新鮮さも魅力。担当の広報委員会は「もっと楽しく、もっと役立つように」を合い言葉に、新たなコンテンツを練っている。 “視覚障害者と共に” ホームページもご覧ください。 http://www.thka.jp ゲスト奏者にヴァイオリニスト和波孝禧氏 写真:1955年5月29日、日比谷公会堂でヘレン・ケラー女史は、演奏を終えた和波少年の手を握り優しく語りかけた 11月23日に第55回音コン 申し込み先着50人をご招待  今年のヘレン・ケラー記念音楽コンクールは、55回の節目にあたり、次の通り開催します。  11月23日(祝)午前11時からJTと共催で、会場を東京都港区のJTアートホール アフィニスに移して実施。参加者の演奏終了後、このコンクールからはばたいた国際的なヴァイオリニスト、和波孝禧さんの特別演奏を予定しています。ピアノは夫人の土屋美寧子さん。和波さんには、審査員もお願いしました。  特別演奏の曲目はバッハの「無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番ト短調」、クライスラーの「ベートーベンの主題によるロンディーノ」「美しきロスマリン」「ウィーン奇想曲」、サンサーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」の5曲です。  一般のみなさまでご来場希望の方は往復はがきに、住所、名前、電話番号を記入のうえ10月末日までに、郵便番号169−0072 新宿区大久保3−14−20東京ヘレン・ケラー協会音コン係宛にお申し込みください。先着50名様をご招待します。 昨年の音コン 最年少・札幌盲小学部 ピアノの越智美月さんにグランプリ 第54回ヘレン・ケラー記念音楽コンクール(第50回まで全日本盲学生音楽コンクール)は協会主催、文部科学省、毎日新聞社など後援で、2004年11月23日、東京都新宿区の新宿文化センター小ホールで開かれ、1都1道1府7県から16校48人が参加した。 ピアノ部門は、過去最多の15人が参加し、最年少の北海道立札幌盲学校小学部2年、越智美月さんが1位に入賞した。越智さんは、全部門を通じて最も感銘を与えた演奏・歌唱に贈られるヘレン・ケラー賞を手にした。 音楽評論家の岩井宏之、藤田由之両氏とこのコンクール出身で、鍵盤楽器演奏など幅広く活躍する武久源造氏が、審査に当たった。  入賞者は次の通り=敬称略。  【ピアノの部】1位=越智美月(道立札幌盲・小2)、3位=小岩井亜樹(東京都青梅市立二小6)、大和真祐子(筑波大附属盲・専1)【弦楽器の部】該当者なし【その他の楽器の部】奨励賞=澤村祐司(東京芸術大3)=箏曲【独唱2部】3位=山内さおり(福岡教育大4)、奨励賞=上田喬子(筑波大附属盲・高3)【重唱・合唱の部】奨励賞=ヘレン・ケラー学院、埼玉県立盲 21人の新入生迎え、入学式  ヘレン・ケラー学院は4月8日、平成17年度入学式・第1学期始業式を学院3階のホールで挙行した。5年課程9人、3年課程12人の計21人の新入生を迎え、生徒総数は48人となった。  新入生を代表して、1年B組の塚村文昭さんが「たくさんの善意と協力に支えられてヘレン・ケラー学院生となった私たち全員が、巣立つことができるよう、助け合い励まし合って学んで行きます」と誓いの言葉を述べた。藤元学院長が「私も学院長に就任したばかり。みなさんと共に勉強し、みなさんが三療師として自立できるよう全力を尽くします」と挨拶した。  このあと、新任の山内修、加藤水男の両先生が紹介された。 「サポートグッズフェア2005秋」 初の試みは大盛況!  視覚障害者のための福祉機器や用具を一堂に集めた「サポートグッズフェア2005秋」(点字図書館主催)が9月16日、協会3階ホールで開かれた。  このフェアは日頃触れる機会の少ない福祉機器類を製作・販売している企業に集まってもらい、機器・用具を展示、視覚障害者に紹介するもので、初の試み。  出展したのはシナノケンシ株式会社、株式会社アメディア、株式会社大活字、KGS株式会社、株式会社メルコム、株式会社NTTドコモの6社と協会の盲人用具センター。各社が持ち寄った話題の製品やこの秋新発売の機器、あるいは意外なアイデア商品など、視覚障害者に役立つグッズがずらりと並んだ。  ヘレン・ケラー学院の放課後に合わせて午後3時からオープンしたフェアは、たちまち大勢の人たちが集まり、製品を手に取ったり、担当者に説明を求めたりと大にぎわい。即売で商品を求める人や高額機器の見積もりを依頼する人もいて、さわやかな秋風が吹いたこの日、会場内には熱気があふれた。 2年目を迎えたガイドヘルパー養成研修事業  協会の新事業として昨年11月に第1回を試行した視覚障害者移動介護従業者(ガイドヘルパー)養成研修は、2年目に入り、まず7月23〜31日の土日の4日間、第2回研修を実施した。前年のカリキュラムを基に講義と実技演習の計23時間、受講料37,000円で募集したところ、20人の定員は、またたく間に埋まった。暑いさなかの研修となったが、全員無事、ガイドヘルパーの資格を手にすることができた。 研修は(1)相手の方の症状、誘導していく場所によって、ガイドの方法が異なり、すべてが教科書通りではないこと(2)利用者とのコミュニケーションが大切であることの2点を理解してもらうことがポイント。協会が掲げる「プロにふさわしいガイドヘルパーの養成」の出発点だ。  今回も講師陣は第一級のベテランにお願いした。研修終了後の受講生のアンケートでは「内容が濃く、とても勉強になった」「ヘルパー2級の有資格者なので、介護の講義は不要かと思ったが、受講して視界が広がった」など賛辞が寄せられた。ちなみに、今回は7割が介護などの受講を義務付けられていない有資格者だった。  10月22〜30日の土日に、第3回の開講を予定しているが、早々とほぼ満席の状態。昨年、生徒が受講した専門学校から団体受講の申し込みがあったことも、大きく寄与している。  第4回は、来年3月3〜11日の土日4日間を予定している。 てきぱき全員参加 充実した消防訓練  これまでは、9月1日からの防災週間に実施してきた消防訓練を今年は台風などの影響により、9月15日に実施した。参加者は協会職員全員と学院生徒全員の合計約100人。避難訓練と消火訓練に加えて、今回は119番の通報訓練も行うことで、消防法上の3種別の訓練を行った。  避難は火災警報のサイレン後2分で完了。訓練用の消火器を使っての消火訓練には、学院1年生などが積極的に参加した。消火器の取り扱いをはじめ、新宿消防署戸塚出張所員との活発な質疑応答も交わされて、防災意識の向上に寄与。最後に、新館3階点字出版所の消火栓ホ−スを、実際に地上中庭まで下ろして、明治通りに向けて放水をテストした。この放水訓練は、消防署員の手を借りずに、すべて協会職員の手で行った。  消防訓練は、毎年工夫を重ね、中身のあるものになってきている。 社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会 Established in 1950