東京ヘレン・ケラー協会会報『青い鳥(L'Oiseau bleu)』 第36号 2020年7月10日発行 発行人:奥村博史 編集人:福山博 製作:広報委員会 社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会(Established in 1950) 〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-20 本部、ヘレン・ケラー学院 電話 03(3200)0525 FAX 03(3200)0608 点字図書館 電話 03(3200)0987 FAX 03(3200)0982 点字出版所、盲人用具センター、海外盲人事業交流事務局 〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-4 電話 03(3200)1310 FAX 03(3200)2582 ●緊急事態宣言下のコロナ対策  4月7日(火)、新型コロナウイルス感染症の急速な拡大を踏まえ、政府は新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令した。  それを受けてヘレン・ケラー学院は、4月7日に予定していた入学式・始業式を5月7日に延期し、それまで臨時休校とすることを決定した。  緊急事態期間中、学院職員は在宅勤務を基本として、平日午前10時〜午後4時に1人が当番出勤。5月7日以降、在宅で授業がスタートできるようCD等による教材の準備を進めた。  点字図書館は開館時間を午前10時〜午後4時に変更し、館長は平日の午前8時〜午後4時の勤務。他の図書館職員は原則在宅勤務とし、出勤する場合には午前11時〜午後3時の時短勤務にした。  点字出版所は、独自に編集する総合点字雑誌の月刊『点字ジャーナル』と点字情報誌である半月刊『ライト&ライフ』の他に、『広報東京都』(点字版)をはじめとする、多くの地方公共団体発行の「広報」点字版・音声版の発行を委託されている。視覚障害者はただでさえ情報障害者でもあると言われており、今般のような緊急事態にこそ、常にも増して正確な情報保障が強く求められる。そこで、緊急事態宣言の期間中、各部署の判断で在宅勤務や勤務時間の変更・短縮を認めるとともに、各部署に自由に使えるマスクと手指消毒ボトルを設置。空調を利かしながら換気を行い、机の移動により「密閉」「密集」「密接」にならないようにした。また、後期高齢者と同居する視覚障害者は自宅でのテレワークとし、バイク便で点字校正紙を送り、Skypeの無料通話で読み合わせ校正を行った。 ●令和元年度卒業式  ヘレン・ケラー学院は3月18日(水)午前10時から令和元年度卒業式・修了式・終業式を行った。例年、関係各機関の来賓を招いているが、今年は、新型コロナウイルスの影響を鑑みて来賓招待を取りやめ、学生と教職員のみが参列しての挙式となった。 卒業生は高等課程3人、専門課程1人の計4人。これに高等課程3年修了生2人が加わり、計6人に奥村博史学院長から卒業証書、修了証書が授与された。続いて、1年間の学業成績優秀者に贈る優等賞が4人に、努力賞が1人に贈られた。  同窓会長賞は高等課程5年生の清水裕次さんが、学業が優秀で学院生の模範となる学生に贈られる一色賞は高等課程5年生の中村重安さんが、それぞれ選ばれ、賞状と記念品が贈られた。  学院長式辞の後、学院に15年講師として勤務された山内修先生が退職されるため「横浜市立盲学校退職後、ヘレン・ケラー学院に講師としてお世話になり、多くの学生と充実した楽しい時間を過ごすことができました」とご挨拶いただいた。  続いて、参列した15人の講師全員から祝辞をいただき、温かみのある式となった。  最後に、卒業生を代表して高等課程5年の清水裕次さんが「多くの先生や関係者の皆様に支えられながら、無事卒業の日を迎えられたことに感謝いたします」と答辞を述べ、たくさんの拍手に送られて会場をあとにした。 ●令和2年度入学式  6月1日(月)、令和2年度ヘレン・ケラー学院入学式および1学期始業式が協会ホールで行われた。  ヘレン・ケラー学院は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、4月は臨時休校。5月は在宅授業を展開するなど、いまだかつてない対応に学生、講師、事務方も不安を抱えながら日々を過ごしたが、同日より登校開始となり、「式」についても挙行することができた。ただし、「学院歌」「幸福の青い鳥」「学院憲章」は全て中止。非常にシンプルな式となった。  新入生は高等課程2人、専門課程1人の計3人。新入生代表として鈴木麻利子さんが誓いの言葉を述べたあと、奥村博史学院長の祝辞に続き各クラスの新担任と講師紹介を行い式は終了。学生たちは気持ち新たに、各教室に向かい授業開始となった。 ●2019年度(平成31年度)事業報告 【協会本部】  新規事業計画を策定する「将来像検討委員会」を、2019年5月〜10月の間に計4回開催し、新たな社会福祉事業として、ヘレン・ケラー学院の教室等の一部を利用し、2021年度以降にあはき師を利用者とする就労継続支援B型事業所を開設する方針を決定した。理事会でも承認された。  11月16日(土)、東京都文京区のトッパンホールで、参天製薬株式会社協賛、文部科学省・全国盲学校長会・毎日新聞社等の後援により第69回へレン・ケラー記念音楽コンクールを開催した。 【ヘレン・ケラー学院】  2019年度は学生総数24人。卒業生・修了生は6人で、内訳は高等課程の3年修了生2人、5年卒業生3人、専門課程の3年卒業生1人で、卒業生・修了生の総数は、延べ1,961人となった。内訳は高等課程の3年修了が1,100人、5年卒業は624人、専門課程の3年卒業は237人である。  第28回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師国家試験が、2020年2月22日(土)・23日(日)の両日に行われた。  当学院から、あん摩マッサージ指圧師に現役3人、既卒者5人が受験し、現役2人と既卒者1人が合格した。はり師・きゅう師は現役4人、既卒者2人が受験し、ともに現役3人が合格した。  同行援護従事者養成研修事業は、新型コロナウイルス感染症の影響により、3月予定の研修を中止した。このため2019年度は計4回実施し、80人(前年度比59人減)が修了した。  研修修了者を対象としたフォローアップ研修は11月9日(土)に実施し、13人が参加した。 【点字図書館】  2020年3月末現在の利用登録者数は1,794人(20人増、26人減)で、前年度末から6人減となった。  2019年度の自館製作図書のタイトル数は前年比で、点字図書はほぼ同数の81タイトル、デイジー図書は27%減の13タイトルとなった。貸出数では前年比で、点字図書は10%増の645タイトルだが、デイジー図書(雑誌を含む)は7%減の20,184タイトルとなった。  中途視覚障害者を対象の点字講習は、毎週水曜日に実施の一般講習を36回行い、延べ101人が参加した。またヘレン・ケラー学院生への個別指導は22回行い、延べ43人が参加した。点字講習受講者交流会を2回実施した。7月は暑中見舞いはがき作り、12月は年賀はがき作りを学んだ。パソコン講習は、延べ32人が受講し、音声パソコンの操作等を学んだ。見えない・見えにくいことによる不自由さを軽減するための相談・訓練を実施した。日常生活用具・補装具、制度の紹介等の生活相談は75件、移動や日常生活動作、情報機器操作等の訓練は145件だった。 【点字出版所】  統一地方選挙の「選挙公報」点字版と同音声版を全国の選挙管理委員会から受託して製作した。  日本盲人福祉委員会選挙情報支援プロジェクトの中核施設として、同点字版部会事務局や選挙公報点字表記委員会の運営に積極的に参加・貢献するとともに、2019年7月21日に投開票が行われた第25回参議院議員通常選挙用の「選挙広報」点字版と同音声版を製作した。  文部科学省著作、視覚特別支援学校小学部用点字教科書『算数』の入札に参加して受託し、前期発行分を予定通り製作・納品した。  学校教育法附則第9条の規定による教科用図書(一般図書)である点字教科書視覚特別支援学校小学部用『家庭』を製作・発行した。  全盲の語り部としてライブハウス等で活躍している川島昭恵氏の録音CD第2弾「有島武郎 新美南吉 芥川龍之介」を製作し販売した。  旧固型点字印刷室内に第2会議室を増設した。  製版課職員を対象に、独ブレイルテック社から技術部長を招聘し、同社製自動点字製版機Puma VIIの保守・整備のための3日間のワークショップ(技術講習会)を開催した。  年1回の定期健康診断を行うとともに、産業医による健診有所見者への保健指導やメンタル不調に伴う休職・復職判定、フォロー面談等を行った。 【盲人用具センター】  ヘレン・ケラー学院生を対象に、デイジー録音再生機や拡大読書器等学習用機材を中心に紹介・普及した。また、学習用機材の修理期間中に代替機の貸し出しなど細かく対応した。 【海外盲人交流事業】  安達禮雄育英基金、正雄育英基金、順子女子育英基金(対象は女子のみ)の3基金による奨学金給付事業を実施した。  これらの3事業は、従来小学校1年生から高校3年生を対象としてきた。しかし、ネパール盲人福祉協会(NAWB)から安達禮雄育英基金の給付対象を大学生までに延長して欲しい旨の要請があり、安達禮雄育英基金の設立者の快諾を得て承認した。 ●2020年度(令和2年度)事業計画 【協会本部】  1950年創立の当協会は2020年4月に創立70周年を迎えた。そこで、秋ごろをめどに「創立70周年記念誌」(仮称)を発行する。  協会報『青い鳥』(年2回発行)やホームページを通じて協会事業を周知する。ホームページでは事業内容などを早く、わかりやすい内容で告知する。またメールマガジン『BBメール』(月刊)も継続発行する。 【ヘレン・ケラー学院】  2020年度に新入生として高等課程1人、専門課程1人が入学予定。これにより、学生数は1年生2人、2年生8人、3年生1人、4年生2人、5年生6人の計19人の見通し(3月1日現在)。  当学院の目標である「学生の国家資格取得」「卒業後の自立」のため、通常の授業以外に、国家試験受験生の5、3年生を対象にした補講、模擬試験を実施する。実施後には学院長と担任が学生と個人面談を行うなどし、個々の弱点の克服などにつなげる。  卒業見込みの学生に対し、個別面談等により本人の希望と適正を把握したうえで、@セミナー等による面接の受け方等の指導、A関係団体や卒業生を通じた就職先開拓、B卒業生が働いている治療院や特別養護老人ホーム、企業内理療所等の見学、訪問等を行う。  当協会の同行援護従事者養成研修は、講師陣も充実しており、高い評価を得ている。2020年度は、前年と同じ年間5回行い計100人の参加者を見込む。  研修費については、2019年10月の消費増税を機に3,000円値上げし4万9,000円(税込み)とする。  また、年1回11月に実施していた「フォローアップ研修」(午前9時〜午後4時半で研修費1万5,000円)について、「ステップアップ研修」と名称を変更し、日程を10月17日(土)午前9時〜午後1時10分と時間短縮し、研修費も5,000円(税込み)に値下げして実施する。 【点字図書館】  点字・録音図書の製作体制の見直しをはかり、より迅速な製作とともに質的向上を目指す。また、利用者個別の点訳・音訳希望に応じ、あはき師国家資格取得を目指す学生に対しては、資料製作による学習支援に努める。  選書基準等を明確にして、選書方法を見直す。さらに、利用者からの製作リクエストに広く応じられるよう受け入れ体制を整える。  利用登録者の図書利用を促すとともに、広く視覚障害者等に向けて読書の啓発に努め長らく未整理状態である書庫を整備し蔵書管理を改善する。  利用者の読書ニーズに応じた的確なレファレンスに努める。また蔵書目録を整備し、テーマ別・著者別の目録を作成するなど図書情報の提供に努める。  視覚障害者への点字講習会、点字習得を希望するヘレン・ケラー学院生への点字補講を実施する。  見えない・見えにくいことによる不自由さを軽減するための相談・訓練を実施し、関係施設・団体と連携しながら適切な支援に努める。 【点字出版所】  衆議院議員の任期満了日は令和3年10月21日なので、今年度中の解散・総選挙も想定されている。そこで日本盲人福祉委員会は「衆院選点字版選挙公報製作研修会」を開催するので、それに積極的に参加するとともに、地方選挙の「点字公報」等の発行を機会に、国政選挙を想定した原稿整理等の現任訓練(OJT)を行う。  視覚特別支援学校小学部用文部科学省著作点字教科書『算数』後期分の製作を行う。2021年4月から改訂される文科省著作教科書中学部『歴史』と『道徳』を受注できるように努力し、その製作に全力を傾注する。また、附則9条本として当協会がこれまで発行してきた『技術分野』と『家庭分野』の点字教科書を改訂して発行する。  震災発生に備えて、引き続き防災用具や食料備蓄を進め、職員等の災害時の安全確保に努める。  産業医に相談しながらメンタルヘルスケアを含めた職員の健康増進に努める。感染症対策のために手指消毒薬やマスクを備蓄するとともに、職員等がそれらを自由に使えるように配慮して、手指消毒、咳エチケットを徹底する。 【盲人用具センター】  学院・図書館を通して、在校生との関係性を維持しつつ、新入生とも積極的に関わりを持って、日常生活用具等必需品を当センターで購入してもらえるよう、アフターケアを十分に行う。  今年度も他施設との連携を行い、日本点字図書館(日点)へは音声血圧計を卸すとともに、利用者から要望の多い日点扱いの白杖(アドバンテージスタンダード等)を仕入れて品揃えを充実させる。また、同様に他施設とも必要に応じて商品の相互仕入れも行うようにし、協会製品と他施設の製品を同時に販売できるよう利用者への利便性の充実を図る。 【海外盲人交流事業事務局】  ネパール盲人福祉協会(NAWB)の点字教科書発行を中心とした事業に対して、フォローアップのための側面的支援を実施する。  安達禮雄育英基金、正雄育英基金、順子女子育英基金をNAWBが滞りなく実施しているか事業管理を行う。  ただし、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、ネパールは3月24日から国境封鎖(ロックダウン)を実施している。しかし、隣国インドで感染者が急増していることもあり、ネパール国内でも感染が拡大しており7月1日現在、封鎖解除の見通しはまったくたっていない。 ●視能訓練士学科で講演  2020年2月6日(木)午後、海外盲人交流事業福山博事務局長は、日本医歯薬専門学校で、当協会が1985年からNAWBをカウンターパートに行っている国際協力について講演を行った。  これは視能訓練士学科(高卒3年課程)の授業の一環で、医療人として多様な価値観を持つきっかけとすることを目的に、「開発途上国における視覚障害者の現状や自立支援について、また開発途上国と日本の一般的な医療の違い、さらに当協会がこれまでネパールで行ってきた事業概要、とくに失明予防・眼科検診事業等について詳しく解説するものであった。 ●資金収支計算書(ホームページをご覧ください) (省略) ●事業活動計算書(ホームページをご覧ください) (省略) ●貸借対照表(ホームページをご覧ください) (省略) ●鍼電極低周波治療器を購入   ヘレン・ケラー学院の低周波治療器が老朽化していたので、小型でも電圧70V まで設定できるため多彩な治療がおこなえる全医療器製の鍼電極低周波治療器Ohm Pulser LFP-4000Aを購入した。 ●2019年度(平成31年度)ご寄附者名簿 2019年(平成31年)4月1日〜2020年(令和2年)3月31日五十音順(個人団体の順)・敬称略 温かいご支援ありがとうございました! 【本部扱い】  賛助会員:参天製薬株式会社  一般寄附:参天製薬株式会社、稲山輝機、神田敏男、北村咲希、杉田安男、中島泰憲、藤岡博、松田弘之 【ヘレン・ケラー学院扱い】  賛助会員:新井定一、石川照子、大澤孝一、大島千惠子、小山直行、中山眞寿美、橋本三郎、平野とみ子、南嶋政高、村上理恵、森田正春、山口朋世、山崎登志夫  一般寄附:秋本勇、阿部恵一、石川晶夫、乾法行、井上喜子男、今泉新治、植田員弘、上之薗誠二、牛窪多喜男、卜部博、大修・キミ、大森信行、小栗誠夫、角田明義、加瀬峯夫、金井定春、金子宏、木村きよ子、黒岩康孝、黒澤絵美、小谷政夫、小幡亮、作馬哲夫、佐藤千恵子、佐藤まどか、佐野雄彦、澤田昌憲、鹿濱秋信、清水ひろみ、須藤憲一、平光子、田中茂、玉住博、当津純一、根本博行、早川美奈子、平野とみ子、平野正昭、藤元節、松井茂・はるみ、松本大、三浦真人、柳崎秀夫、矢作俊一、山口朋世、吉岡諄、若鍋よし子 【点字図書館扱い】  賛助会員:青木弘、秋山由美子、磯崎治子、出田敦子、内田一夫、落野章一、片山恭子、菊地眞蓮、斎藤紀年夫、清水奈美江、白木幸一、鈴木由紀、楯香津美、田中秀臣、田中雄二、戸沼京子、豊島豊、畑千尋、原田秀夫、平林寿美子、福島ふさ子、福田拓馬、古川雄、星野博子、堀口俊二、前田律子、正木研、松井忠夫、松浦節子、松ア仁紀、溝口和子、宮本牧子、森克美、諸岡和彦、山内経、油布勝美、米田日出明  一般寄附:青木素子、市角誠、出田敦子、猪俣栄二、岩野英夫、宇和野康弘、落合長利、小山幸佑、酒井町子、相良常子、佐子田信夫、佐藤清、塩田和夫、志村富雄、鈴木健夫、鈴木由紀、須藤憲一、高橋敏朗、滝沢勝男、田澤芳行、谷口旭、田村徳章、西田健治、二瓶幸子、長谷川あけみ、畠山千代子、畑秀美、平野邦雄、福島久仁子、藤田ひろ子、藤元節、本間みさ子、松田千冨美、松野則彦、松本大、宮本美明、村瀬幸子、室岡見致、森明彦、森正喜、山内龍子、山口義雄、山ア洋子、油布勝美、和田慶子、渡邊武松 【点字出版所扱い】  一般寄附:北地富子、松本大、エムコマース株式会社 【海外盲人交流事業事務局扱い】  一般寄附:青木貞子、朝妻洋子、在田一則、安藤生、石田隆雄、石原幸栄、岩屋芳夫、植竹清孝、上野伊律子、遠藤利三、笈掛ユリエ、大垣内勇、大橋東洋彦、大森純子、岡本好司、貝元利江、勝山良三、加藤万利子、苅安達男、川尻哲夫、川田孝子、神田信、菊井維正、小泉周二、肥塚美和子、古賀副武、小林良子、小森愛子、酒井久江、佐々木信、指田忠司、白井雅人、杉沢宏、鈴木洋子、須原ひとみ、高橋恵子、田中徹二、田中正和、当津順子、長岡英司、生井良一、新阜義弘、野津虎雄、長谷川ミユキ、林紘子、原田美男、樋渡敏也、富久縞博、藤元節、本間昭雄、前山博、増野幸子、松井繁、松本大、御本正、三宅正太郎、茂木幹央、森栄司、森川精子、森山朝正、山岡三治、山口節子、横大路俊久、吉田重子、渡辺勇喜三、岐阜県立岐阜盲学校高等部生徒会、小林動物病院、スズキリフレッシュルーム、学校法人聖明学園古和釜幼稚園、園田鍼灸院、株式会社高垣商店、NPO法人点訳・音声訳集団一歩の会 ●今年の音コンは中止  11月14日(土)に、東京都文京区のトッパンホールで、予定していた第70回ヘレン・ケラー記念音楽コンクールは、新型コロナウイルス感染症の終息が見通せず、感染防止の取り組みが長期間に渡ることが予想されることや、参加者の安全面など総合的に判断し中止することにした。  出場を楽しみにしている参加者の心情を想うと非常に辛いものがあるが、来年を見据えて準備だけは進めておきたいと考えている。  問い合わせ先:ヘレン・ケラー記念音楽コンクール事務局  〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-20  TEL:03-3200-0525 FAX:03-3200-0608  E-mail:onkon@thka.jp ●都知事選&都議会議員補欠選「点字公報」の製作  ともに投開票は7月5日(日)で、6月18日告示の都知事選挙、6月26日告示の都議会議員補欠選挙(大田区・北区・日野市・北多摩第三)が執行された。当協会はこれらの「点字選挙のお知らせ」(点字公報)を、都選挙管理委員会から受託して予定通り製作・納品した。特に都知事選は史上最多の立候補者であったが、独ブレイルテック製平板点字印刷機が威力を発揮して余裕を持って製作できた。 ●人事  金子絵美 3月1日付点字出版所総務課に配属  平田真樹 4月1日付点字図書館に配属 ●『愛の光通信(Light of Love)』Web版 下記からダウンロードして、お読みいただけます。 https://www.thka.jp/kaigai/reports.html ●パキスタンから視察団  日本盲人福祉委員会(日盲委)の要請に基づいて点字出版所は、2月4日(火)午前、パキスタン盲人協会の関係者3人と通訳の鉾林さゆりさん(日盲委)の施設見学を受け入れた。  代表のアブドゥル・ラザク氏(全盲)は、元パキスタン盲人クリケットチームのキャプテンやヘッドコーチとして12年間プロとして活躍し、盲人クリケットワールドカップ(WC)でパキスタンが2度優勝することに貢献した。1998年から現在まで同WCは5回行われたが、パキスタンは残りの3回でも準優勝しており、ラザク氏はその功績によりパキスタン政府から勲章を受章した。  ネパール盲人福祉協会(NAWB)の常務理事であるパワン・ギミレ氏は、ネパール盲人クリケット協会(CAB Nepal)の会長だが、ラザク氏もよく知っていた。  ギミレ氏はネパール国軍の軍人(現・少佐)だが、ネパール共産党毛沢東派(マオイスト)との内戦で2003年に失明。その後生きる希望を失っていたが、2006年にパキスタン盲人クリケット代表団がカトマンズを訪問したことにより、失明してもクリケットができることを知り、生きる目標を見つけてCAB Nepalを組織した。  ラザク氏は現在、パキスタンのラホールにあるサンライズ盲学校の社会科教師で、「日本では薄い点字用紙を使っているが点字がつぶれない。パキスタンでは厚い点字用紙を使っているので、子供達は重くて大変だ」と言って、日本製紙(株)製NPI上質の品質にいたく感心した。また、日本の触地図の細かさに驚くとともに、日本では盲学校に入学すると「さんすう」の教科学習の前に学ぶ導入編の触図に高い関心を示した。そこで小学部 の点字教科書はこの春から改訂されるので、現在使われている『さんすう 1-1』をプレゼントしたらとても喜ばれた。  さらに独ブレイルテック製点字製版機と印刷機を見学しては、「これが見たかったのだ」と関心を示し、盛んに質問を投げかけていた。 ●サーモフォーム・デュプリケーターの輸入  文科省著作点字教科書『さんすう1年』「第1巻(導入編)」には、7枚のサーモフォームシートを使った点図が使われている。  これは型の上に加熱されて柔らかくなった樹脂のサーモフォームシートを置き、下から吸引してシートを型に密着させ、それを冷却することにより触図や点字をコピーする方法である。  編集委員会主査の筑波大学附属盲学校内田智也先生から2月末にサーモフォームの一部の触図が「甘い」という指摘を受けた。そこで加藤俊和技術顧問に調査を依頼すると、当協会が使っているサーモフォーム・デュプリケーター(真空成型機)は1986年3月10日に購入しているため、「すでに購入から34年間が経過しており、微妙な空気漏れがあり、確かに触図が一部甘くなっているようだ」とのことだった。  そこでアメリカン・サーモフォーム・コーポレーション(ATC)のホームページで確認すると、デュプリケーターEZ-FORMの本体価格は2,999.99ドルで、予備のフレーム(サイズ11 × 11.5 インチ)も414.99ドルで販売していた。  そこで、見積を依頼すると成田空港までの送料と保険料1,779.65ドルが加算されて、合計金額は5,194.63ドル(56万4084円)であった。  「成田空港/東京空港」は実際には東京都ではなく千葉県にあり、3月23日に東京都知事はコロナウイルス感染症の深刻な拡大を警告した。我々は航空貨物の到着空港を、成田空港から東京都にある「羽田空港・東京国際空港」に変更して欲しいとATCに要請した。  それに対する返事は、「羽田行きは全便が欠航しているので無理である」であった。  そこで、ぐずぐずしていると状況はさらに悪化すると判断し、4月1日にATC宛に送金した。  入金を確認したATCは4月11日にデュプリケーターを中華航空機で台北に向けて送り、4月14日に台北から成田空港に向けて送られてきた。  成田空港での通関等の業務はフォワーダーである(株)三協に依頼し、通関手数料と成田空港から当協会までの送料等に4万4,485円かかり、関税は0円だったが、消費税に2万8,700円と地方消費税に8,000円がかかり、混載便で4月17日に当協会に納品された。  以上、総額は65万4,769円であった。 ●助成事業報告 公益信託久保記念点字図書援助基金 一、事業名 点字図書製作用ソフト及び録音図書製作用パソコンの購入 一、総事業費 348,260円 一、助成額 340,000円 一、完了年月日令和2年3月28日 執行 東京ヘレン・ケラー協会点字図書館 ●編集後記  「ロックダウン」という言葉を、つい半年前まで知らなかった。ただ文脈からネパールやミャンマーで遭遇した「カーフュー(curfew)」に似ているとは思った。日本語では「夜間外出禁止令」と訳されるが夜間でない場合もある。「その時間帯に外出したら殺されても文句は言えない」と、その昔ネパール人から強く釘を刺された。内戦や軍事独裁政権下での人命は鴻毛より軽かった。  世界有数の治安のよさを誇る我が国が、往事の両国のようになるのかと身構えたのは、都知事が3月23日の記者会見で次のように述べたからだ。  「今後の推移によりましては、都市の封鎖、いわゆるロックダウンなど、強力な措置をとらざるを得ない状況が出てくる可能性があります」。  結局、首相が4月7日に、「緊急事態宣言」というまったく強制力の伴わない要請を行った。  そしていくらかの同調圧力とともに、多くの国民が当事者意識を有し、理性と責任を持って粛々と実行し、「緊急事態宣言」は、今のところ一応の成功をみたように私には思われる。(福山博)  広報委員会 委員長:福山博(理事・点字出版所長) 委員:大久保美智子(ヘレン・ケラー学院) 委員:戸塚辰永(点字出版所編集課) 委員:佐久間朋(点字出版所製版課) 委員:和泉枝里(点字図書館) 委員:森本環(点字出版所録音課) --------- “視覚障害者と共に” 社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会 ホームページもご覧ください。 http://www.thka.jp ----------