東京ヘレン・ケラー協会会報『青い鳥(L'Oiseau bleu)』 第35号 2020年2月3日発行 発行人:奥村博史 編集人:福山博 製作:広報委員会 社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会(Established in 1950) 〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-20 本部、ヘレン・ケラー学院 電話 03(3200)0525 FAX 03(3200)0608 点字図書館 電話 03(3200)0987 FAX 03(3200)0982 点字出版所、盲人用具センター、海外盲人事業交流事務局 〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-4 電話 03(3200)1310 FAX 03(3200)2582 ●第69回ヘレン・ケラー記念音楽コンクール  第69回ヘレン・ケラー記念音楽コンクール(東京ヘレン・ケラー協会主催、参天製薬株式会社協賛、トッパンホール会場協力、毎日新聞社、毎日新聞社会事業団など後援)が11月16日(土)、東京都文京区トッパンホールで開かれた。  今年の出場者は全国の小学生から高等部専攻科まで53人。器楽6部門、声楽3部門の9部門で日ごろの練習の成果を披露し、ピアニストで国立音楽大学・同大学院特任教授の花岡千春先生、桐朋学園大学学長の梅津時比古先生、声楽家の淡野弓子先生、ヴァイオリニストの和波たかよし先生、邦楽ジャーナル編集長の田中隆文先生に審査をお願いした。  最も感銘を与えた演奏に贈られるヘレン・ケラー賞は、重唱・合唱の部で1位を受賞した筑波大学附属視覚特別支援学校中学部合唱・合奏部が獲得し、クリスタルトロフィーと賞状が贈られた。  今年の特別演奏は、第85回日本音楽コンクール第1位、第16回チェコ音楽コンクール第1位に輝いた桐朋学園大学大学院在学中の樋口一朗さんにショパン「マズルカOp.59」、ラフマニノフ「コレルリの主題による変奏曲Op.42 ニ短調」を演奏いただいた。  第69回ヘレン・ケラー記念音楽コンクールに入賞された方々は次の通り(敬称略、数字は学年)。 【ヘレン・ケラー賞】 重唱・合唱の部 筑波大附属視覚特別支援中学部 合唱・合奏部 【ピアノ1部】 1位=新倉将希(神奈川県立平塚盲・小2) 2位=志村夏歩(筑波大附属視覚特別支援・小1) 3位=増島史裕(東京都立久我山青光学園・小3) 【ピアノ2部】 1位=三島奏音(福岡県立福岡視覚特別支援・小5)、矢部菜央(東京都立八王子盲・小5) 3位=田中雄大(茨城県立盲・小5) 【ピアノ3部】 1位=東玲那(横浜市立盲特別支援・中1) 奨励賞=太田愛菜(埼玉県立特別支援・中1) 【ピアノ4部】 3位=平山彩羅(佐賀県立盲・高3) 奨励賞=小島優奈(筑波大附属視覚特別支援・高1) 【弦楽器の部】 3位=長野礼奈(ヴァイオリン演奏筑波大附属視 覚特別支援・中2) 奨励賞=新倉将希(クラシックギター演奏神奈川 県立平塚盲・小2) 【その他の楽器の部】 2位=山下蒼空(箏演奏筑波大附属視覚特別支援・中3)、香山拓也(アルトサクソフォン演奏筑波大附属視覚特別支援・専2) 3位=左近萌音(フルート演奏国立音楽大附属高 等・1年) 奨励賞=和田龍真(箏演奏岡山県立岡山盲・小2) 【独唱1部】 1位=重永大武(都立久我山青光学園・小1) 2位=小汐唯菜(筑波大附属視覚特別支援・中3) 3位=和田龍真(岡山県立岡山盲・小2) 奨励賞=太田愛菜(埼玉県立特別支援・中1) 【独唱2部】 1位=原理子(筑波大附属視覚特別支援・高3) 2位=宇木素裕(ヘレン・ケラー学院高等課程・1年) 奨励賞=鮎澤歩香(千葉県立千葉盲・高3) 【重唱・合唱の部】 1位=筑波大附属視覚特別支援中学部合唱・合奏 部 2位=東京都立文京盲学校音楽部、筑波大附属視覚特別支援高等部合唱部 3位=ヘレン・ケラー学院 ●東京ヘレン・ケラー協会採用 ◇ヘレン・ケラー学院  2020年1月1日=井手順子 ◇点字出版所  2019年8月1日=鈴木雅子      9月1日=小栗弘大      10月1日=外ア椋      11月1日=雨宮雅美  2020年1月1日=佐藤晃大      1月1日=鷲尾達哉 ●訃報  ヘレン・ケラー学院職員田村芳雄(2019年9月6日逝去、享年70) ●2019年度ヘレンケラー・サリバン賞は 独創的点字指導の原田良實(はらた・よしみ)さん  2019年度の「ヘレンケラー・サリバン賞」は、中途失明者が習得しやすい点字指導法を考案・普及した名古屋ライトハウス理事の原田良實氏に決定した。  第27回を迎える本賞は、「視覚障害者は、何らかの形で外部からサポートを受けて生活している。それに対して視覚障害者の立場から感謝の意を表したい」との趣旨で、当協会が委嘱した視覚障害者の選考委員によって選考される。  贈賞式は10月1日(火)に当協会で行われ、本賞(賞状)と副賞として、ヘレン・ケラー女史の直筆のサインを刻印したクリスタル・トロフィーが贈られた。  受賞者である原田良實氏は、文部省図書館職員養成所(現筑波大学図書館情報専門学群)を、昭和39年(1964)に卒業し、同年4月に名古屋市職員として採用され、鶴舞中央図書館で司書(点字文庫担当)として25年間勤務する。  一般利用者のカウンターや奉仕者による点字図書製作の調整など毎日多忙な生活を送りながら、彼は点字図書の利用者を通して、視覚障害者の課題や福祉に対する自分の知識不足を感じた。そこで、働きながら日本福祉大学の2部に通い、昭和45年(1970)3月同大社会福祉学科を卒業。  この間、彼は昭和40年(1965)から始まった晴盲合同キャンプに参加し、盲青年たちの「もっと山を歩きたい」の声に応え昭和43年(1968)に「はくじょう会」という登山やハイキングなどを行う会を組織し、この会は結局41年間継続した。  中途視覚障害者への点字指導は、昭和45年(1970)から始めるが、昭和47年(1972)にベーチェット病患者友の会と支援の会が結成されると、点字学習の希望者が増えてきて問題が出てきた。セオリーどおりに点字指導を行うと、うまく触読できない人がいる。そこで自分で触読に挑戦してみると、これができない。自分ができないことを無理強いしてきたのかと、自己嫌悪に陥りながら独自に触読の研究を始めた。  点字はご存じのように@〜Eの盛り上がった点で構成されるが、先人の文献を紐解き、試行錯誤の連続で研究を重ねた結果、それまでタブー視されてきた「縦読み」でなら自分でも読むことができた。まず1と4の点を探り、次に2と5の点、そして最後に3と6の点を順に探り、何番の点があるのかを確認するのである。そうすると6つの点すべてがある「メ」とか、123の点だけがある「ニ」など分かりやすい8つの点字がまず認識できた。  こうして、昭和52年(1977)頃から異端とされながら「縦読み」による点字指導を開始。もちろん彼自身、後に「名古屋方式」と呼ばれるこの方法が万能だとは思わなかった。ある程度読めるようになった人にはオーソドックスな横読み方式を薦めた。また、点字指導を始めるにあたって、この方式が邪道だと批判されていることと、この方式以外では、中途失明者の触読は難しかった過去の実例を率直に語った。  名古屋だけで行われていた点字指導だったが、中途失明者が点字を読めるようになり、盲学校に入学すると、彼の活動は各方面から注目され始めた。それにつれて鶴舞中央図書館に出入りする視覚障害者の数も増えていった。  昭和50年代に入るとベーチェット病に加え、糖尿病性網膜症による視覚障害者が増加してきた。昭和52年(1977)、念願であった点字文庫の専任になると、彼は館内に中途失明者委員会と図書館利用者を中心に中途失明者友の会を組織し、病院を回り中途視覚障害者の相談や点字指導を行い、名古屋における視覚障害リハビリテーションの立ち上げに邁進。国際障害者年(1981)には、眼科の高柳泰世医師と協力して愛知視覚障害者援護促進協議会(会長、市川宏・名古屋大学眼科教授)を組織して、ボランティアによる視覚障害リハビリテーションを開始。昭和59年(1984)4月には名古屋市鶴舞中央図書館が改築されてオープンするが、新中央館には対面朗読、録音図書制作はもちろん、視覚障害者の文字処理として開発されたばかりの点字ワープロを導入して新しい世界の幕開けを利用者に届けた。同年10月には点字受験による視覚障害者司書の入職に成功。国際障害者年を契機に障害者に対する一般の理解は大きく進み、彼が温めてきた企画は次々と実を結んだ。  鶴舞中央図書館には後継者もできたので、平成元年(1989)4月、市役所を退職して社会福祉法人名古屋市福祉健康センター事業団に視覚指導課長として入職。オープニングイベントに東京から「ギャラリーTOM」の手で見る美術展を誘致し、名古屋市美術館と事業団の共催で開催した。その後美術館は視覚障害者向けの展示を開催していく。  原田氏は図書館の次は美術館・博物館という思いもあり、視覚障害を持つ人々のために、日本在住の英国人研究者ジュリア・カセム氏が立ち上げた美術工芸品を鑑賞する「アクセス・ヴィジョンの会」に協力して事務方を受け持ち、視覚障害者とともに美術館・博物館巡りを行った。  点字指導の「名古屋方式」が日の目を見るようになったのは、事業団時代の平成12年(2000)からである。この年、原田氏は日本盲人社会福祉施設協議会(日盲社協)リハビリテーション部会(現・自立支援施設部会)の部会長だったのだが、「点字指導の研修」をやってほしいという強い要望が出て、重い腰を上げざるを得なかった。  日盲社協での研修会の翌年から国立特別支援教育総合研究所の研究員・澤田真弓氏と点字触読指導法の研修会を開催し、縦読み、通常の点字より点間が広く・点も高い「L点字」の触読指導が広く認められるようになった。  そして、平成16年(2004)に読書工房から『中途視覚障害者への点字触読指導マニュアル』が、澤田氏との編著として上梓されてから「名古屋方式」が全国に広く普及するようになったのである。 ●就職支援セミナー開催  7 月20 日(土)ヘレン・ケラー学院は、「就職支援セミナー」を開催し、学生13 名、教職員8 名が参加した。テーマは「就職支援会社とは」「盲人ホームってどんなところ」「卒業生講話」の三つ。  まず、株式会社ゼネラルパートナーズで採用コンサルティングをしている茅原亮輔講師による企業での取り組みをはじめ、急増しているヘルスキーパーの求人状況について聞いた。  続いて、中野区にある陽光園治療室の高橋博行施設長より盲人ホームの概要について聞いた。  最後に、学院卒業生として須藤憲一、小山直行、吉田隆一の3講師に業界別の講話を行っていただいた。  OB の3講師から、「講義の理解は当然で学生のうちに学ぶ実技はスタートラインである。そこから有資格者として向上心をもって日々就業することが大切である」とアドバイスがあった。また、「強揉み」を希望する方への対応について、その効果をきちんと説明できる知識が必要であること、そして、どの講師からも「絶対に国家試験に合格してください」とエールが送られた。 ●ヘレン・ケラー学院 感謝DAY開催  8月24日(土)ヘレン・ケラー学院主催の「感謝DAY 30分間無料体験マッサージ」を開催した。  例年、サポートグッズフェアと共催していたが、今年は単独イベントとして開催した。 講師2名立ち合いのもと、12名の学生が施術を担当し、1年生有志6名、職員4名がお手 伝いとして洗濯や受付などの裏方をこなした。  今年は事前予約制を導入。10時から30分ずつ、10分間のインターバルと、45分の昼食休憩を挟みながら14時半まで6クール、72枠を設けた。  事前予約は、初めての試みということもあり、夏休み期間中に近隣施設へのチラシを配布するほか、毎年避難訓練でお世話になっている戸塚消防署や近隣施設への声掛けのほか、臨床実習に足が遠のいている方の情報を洗いだし、電話で直接勧誘する等の努力が実り、大盛況のうちに終了した。  施術担当は2年生から5年生。30分という短い時間だったが、学んできた技術で来場された方に熱心に応対した。1年生は、「先輩のような知識・技術を早く身に付けたい」と、先輩が施術しながら会話している様子を聞いたり、講師から直接指導を受けたりするなど有意義な時間を過ごした。  施術を体験された方のアンケートは、おおむね好評だった。学生たちは、「2学期以降の学院生生活に活かしたい」と気を引き締めていた。 ●補助事業報告  下記の通り、ご助成を受けて完了いたしました。誠にありがとうございました。  公益財団法人 原田積善会  一、事業名 教室エアコン設備更新  一、総事業費 523,800円  一、助成額 500,000円  一、完了日 令和元年9月1日  社会福祉法人 新宿区社会福祉協議会  備品整備・施設整備 (株)日本財託  一、事業名 施術用電動ベッドの購入  一、総事業費 133,056円  一、助成額 133,000円  一、完了日 令和元年9月11日 ●点字図書館ボランティア懇親会  第45回点字図書館ボランティア懇親会を、11月12日(火)協会3階ホールで開催した。ボランティア活動を5年継続してくださった方には感謝状が贈られているが、今年は点訳ボランティア1名に贈呈された。  そして、メインイベントは元東京ヘレン・ケラー協会理事長の藤元節氏による講演。テーマは「ヘレン・ケラーと私たち」。来年協会創立70周年を迎えるにあたり、ヘレン・ケラー女史の事を改めて学ぼうという試み。  講演の中では、ヘレンの肉声を聞くことができた。ヘレンの肉声は一般人には言葉の判別は困難で、秘書のポリー・トムソン女史の通訳があって初めて理解できるという状態である。  講演終了後は、藤元氏を囲んで懇親会が行われた。活動期間の長いボランティアとの懐かしい会話が弾み、和やかなうちに閉会となった。 ●再建が進む被災地の学校 2019ネパール現地報告 海外盲人交流事業事務局長 福山博  日本盲人福祉委員会の助成を受けて筆者は、2019年12月13日〜31日の旅程でネパールにおける支援事業視察のために出張してきた。  今回最大の吉報は、1年前までは「ネパール地震2015」の被害からまったく再建計画の目途さえたっていなかった、カトマンズに隣接するパタン市にあるナムナ・マチェンドラ校に定員40人の視覚障害者用寄宿舎がJICA(国際協力機構)の手で建設中だったことである。  当協会はこれまでにネパールの農村僻地の学校3校に視覚障害児のための寄宿舎を建設してきた。それは現地の学校の要請に基づいたもので、現地の生活レベルに沿ったものであった。このため見積段階から個人的にはもう少し余裕のある快適な住環境を提供したいと考えていた。  その点、今回は生活レベルがネパールの中でトップクラスの土地柄であり、しかも、耐震性を十分配慮すべき建築であることから、十分な予算をかけて、見るからに立派な寄宿舎が建設されていた。  しかも、寄宿舎完成の後、やはりJICAが校舎をも建設してくれるということで、学校関係者は満面の笑みでわれわれを迎えてくれた。  同校は小学校1年から高校3年までの12年課程がある児童・生徒数3,000のマンモス校である。公立の伝統校で、増築に増築を重ねた校舎は古く、地震により、ほぼすべての建物がなんらかの被害を受けていた。しかし、立地がバスターミナルの隣という、商業地のど真ん中であるため問題は山積していた。  再建工事を行うためには最新工法による難工事が必要で、総工費がいくらかかるかわからない等、設計段階から難航しており、少なくとも1年前までは、校長以下関係者は頭を抱えていた。  長年、NAWBとJICAや在ネパール日本国大使館との関係は良好で、それを陰に陽に当協会は支えてきた。そして、思わぬ朗報にネパール人でなくとも神仏の導きに感謝したいところである。ちなみにパタンには、さまざまな規模や形の仏教の記念物が1,200以上存在する仏教徒の多い土地柄でもある。  次に紹介するのは、『青い鳥』2019年2月4日号で詳しく報じた震源地のゴルカ郡にあるアマルジョティ校である。既報では「仕上げの塗装工事を残すだけ」となっていたものが、きれいに補修された校舎となっていた。そして実際に授業がされ、放課後は児童・生徒が一斉に元気に飛び出してきた。また、用済みになった一部の仮設校舎は撤去され、本館の工事も進んでいた。  次に紹介するパタン市に隣接するキルティプール町にあるラボラトリー校は1956年に、米国の支援により「公園の中の学園」をコンセプトに、国立トリブバン大学によって設立された12年制の学校である。  校舎や講堂、事務棟など米国人により設計された建物は、すべてれんが造りの平屋建てである。ところが、後にネパール人により設計された寄宿舎は女子用が2階建て、男子用が3階建てであった。そして「ネパール地震2015」では、この男子用寄宿舎のみが全壊した。そこで1年前までは講堂を区切って仮住まいにしていたのだが、今回訪れてみると、さすがに懲りたのか、今回は平屋建てのそれも質素な男子用寄宿舎が完成していた。  最後に、ネパール盲人福祉協会(NAWB)に隣接するカルモチャン寺院は完全に倒壊したが、国宝級の宝物を収蔵していたことから、すぐに警察の臨時派出所ができ、早くから再建の青写真ができこのたび見事に再建された。  しかし、れんがとれんがの接着にはセメントモルタルは使わず、昔ながらの赤土に石灰を混ぜたモルタルを使っていた。 ●3階会議室増設等工事  点字出版所は、5月14日(火)〜22日(水)の土曜日を除く8日間、「毎日新聞社早稲田別館3階、元固型印刷室内会議室増設工事」を行った。  会議室なので本来の使用目的は「点字選挙公報」等の立会校正、見学や各課で行われる打ち合わせなどだが、ドアの開き方やコンセントの位置などを工夫して、「点字選挙公報」等における大量印刷物の作業や、点字教科書原版の点検や一時保管等にも多目的に利用できるようになっている。 ●韓国仁川市から教員グループが来訪  障害分野では、アジア太平洋障害者の「権利を実現する」インチョン(仁川)戦略が策定された場所として、また、韓国第3の都市で、国際空港があることでも有名な仁川市から8月2日(金)午後1時10分、7名の女性教師グループ(黄旻玲代表)が、男性の通訳兼ガイドの李氏に引率されて当協会点字出版所を視察のために訪れた。  今回来日した7名の教師は、知的障害児などの教師ではあったが、教員免許は「特殊教育」なので、視覚障害教育についても知っておく必要があり、熱心に質問していた。  彼女たちは仁川市内のさまざまな特殊学校で教えており、仁川広域市教育庁のプログラムに応募して、夏休みに日本の障害児関係施設を見学して報告書にまとめ、後日、発表会を行うとのことだった。  そこで点字の亜鉛原版や『算数1年(点字版)導入編』、『点字ジャーナル』と『ライト&ライフ』の見本誌等を提供したらとても喜ばれた。 ●自衛消防訓練2019  2019年9月2日(月)午前10時50分、学院2階湯沸かし器を火元に想定して、自衛消防訓練が行われた。  自衛消防隊による初期消化活動が行われると同時に、学院から点字図書館と点字出版所に緊急通報が行われ、視覚障害者を誘導しながらの非難訓練が行われた。次いで、新宿消防署員から消火器取り扱いの諸注意を聞いて、訓練用に水が噴出する消火器を使って消火訓練を行い、学院生と協会職員が実際に体験した。最後に新宿消防署の訓練隊長からの講評、理事長からの挨拶で、消火訓練は終了した。  続いて、消火栓の点検が行われ、点字出版所1階印刷室の消火栓よりホースをのばし、郵便局側の扉を出て、明治通りに向かって実際に放水した。  こちらは点字出版所職員のみの参加で、視覚障害者にも放水を体験をしてもらい11時45分に終了した。 ●職場見学  7月30日(火)、ヘレン・ケラー学院3年生2名(高等・専門課程各1名)と奥村博史学院長、教職員各1名は、毎日新聞社東京本社に設置されているマッサージルームの見学を行った。  同社には、2名の女性ヘルスキーパー(うち1名は学院卒業生)が勤務しており、施術ルームの様子や運営方法などの説明を受けたのち、学生に対して、15分ほど施術体験の場を提供していただいた。  学生からは、短い時間でも、ポイントを抑えれば効果が出やすいことがわかり、有意義な時間を過ごすことができたとの声が上がった。 ●編集後記  雪国の観光地は雪不足で悲鳴をあげていますが、視覚障害者にとって、雪は歩行のバリア以外の何ものでもありません。この冬の雪のない歩道を、私たちは歓迎したいものです。  中国湖北省武漢市で確認された新型コロナウイルスの感染者が2月2日現在、世界で1万4,000人を超え、猛威をふるっています。これに関連して、2002年11月から2003年7月にかけて、中国南部を中心に発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)が引き合いにだされることが多いようです。しかしSARSは、結局、流行期を通じて日本での感染は確認されませんでした。日本をパニックが襲ったのは、2009年4月メキシコで発生した新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の方でした。5月に入ると兵庫県と大阪府を中心に感染者があっという間に100人を超え、「マスクパニック」といわれるほど、市中からマスクと手指消毒剤が消えました。それ以来、マスクと手指消毒剤の常備は常識になっています。  当協会は2018年7月に、全盲の語り部川島昭恵さんのCD『新美南吉&宮澤賢治』(税別2,600円)をリリース。好評を博しました。口コミで着実に販売実績をあげて1年を待たずにCD制作費を回収することができました。そこで第2弾として、2019年12月20日に、川島昭恵 語りCD2『有島武郎 新美南吉 芥川龍之介』(税別2,550円)をリリースしました。これにともない制作費を回収した『新美南吉&宮澤賢治』も同日から50円値下げして税別2,550円で販売することにしました。(福山博)     広報委員会 委員長:福山博(理事・点字出版所長) 委員:大久保美智子(ヘレン・ケラー学院) 委員:戸塚辰永(点字出版所編集課) 委員:佐久間朋(点字出版所製版課) 委員:和泉枝里(点字図書館) 委員:森本環(点字出版所録音課) 社会福祉法人 東京ヘレン・ケラー協会 〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-20 本部、ヘレン・ケラー学院 電話 03(3200)0525 FAX 03(3200)0608 点字図書館 電話 03(3200)0987 FAX 03(3200)0982 点字出版所、盲人用具センター、海外盲人事業交流事務局 〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-4 電話 03(3200)1310 FAX 03(3200)2582 ●『青い鳥:L'Oiseau bleu(ロワゾー・ブルー)』Web版http://www.thka.jp/about/information.html ●“視覚障害者と共に”社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会 ホームページもご覧ください。http://www.thka.jp ●『愛の光通信』Web版  海外盲人交流事業事務局が年に2回発行する『愛の光通信(Light of Love)』は下記からダウンロードして読むことができます。 http://www.thka.jp/kaigai/reports.html