東京ヘレン・ケラー協会会報『青い鳥(L'Oiseau bleu)』 第32号 2018年7月20日発行 発行人:馬塲敬二 編集人:福山博 製作:広報委員会 社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会(Established in 1950) 〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-20 本部、ヘレン・ケラー学院 電話 03(3200)0525 FAX 03(3200)0608 点字図書館 電話 03(3200)0987 FAX 03(3200)0982 点字出版所、盲人用具センター、海外盲人事業交流事務局 〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-4 電話 03(3200)1310 FAX 03(3200)2582 ●平成29年度卒業式  ヘレン・ケラー学院は、3月15日(木)午前10時から平成29年度卒業式・修了式・終業式を行いました。卒業生は専門課程5人と高等課程2人。これに高等課程3年生あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう科修了生4人が加わり、計11人に馬塲敬二学院長から卒業証書、修了証書が授与されました。  1年間の学業成績優秀者に贈る優等賞は12人に、努力賞は2人に授与されました。今年は同窓会長賞の該当はありませんでしたが、在学中特に優れた学業と品行を示した者に贈られる一色賞(東京ヘレン・ケラー協会創立の功労者である一色直文氏を顕彰し贈られる賞)は専門課程3年の津田佳代子さんが選ばれ、馬塲学院長から賞状と記念品が授与されました。  また、来賓として東京都福祉保健局障害者施策推進部共生社会推進担当課、埼玉県福祉部障害者福祉推進課、さいたま市保健福祉局福祉部障害支援課、東京視覚障害者生活支援センター所長、同窓会会長のほか、東日本旅客鉄道株式会社高田馬場駅長らが参列され、温かい祝辞をいただきました。  式辞に際し、馬塲学院長は「途中で投げ出すことなく最後までよく頑張りました。強い意志、情熱を感じます。卒業生の皆さんはこれから新しい舞台に立ちます。辛いことがあるかもしれませんが、既成概念にとらわれず、健康を第一に一歩一歩前進していってください」と激励しました。  卒業生を代表して高等課程の臼井倫太郎さんが「卒業まであっという間でした。先生方には感謝の気持ちでいっぱいです。在校生は残された時間を大切に目標に向かって頑張ってください」と答辞を述べ、たくさんの拍手に送られて会場をあとにしました。 ●国家試験  2月24日(土)25日(日)の両日に行われた第26回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師国家試験の結果が3月に発表され、あん摩マッサージ指圧師は7人、はり師、きゅう師は、それぞれ5人が合格した。厚生労働省が発表した合格率(あ師83%、は師57.7%、き師62.5%)は、いずれも前年を下回るなか、学院の現役合格率はあ師88%、は・き師71%と3年ぶりに前年を上回る結果となった。 ●3人の新入生を迎え 平成30年度入学式を挙行  4月6日(金)、春らしい穏やかな青空の下、学院敷地内の八重桜が咲きほこる中で、平成30年度ヘレン・ケラー学院入学式および1学期始業式が行われました。  新入生は、高等課程2人専門課程1人の合計3人。入学式で誓いの言葉を述べたのは及川晃子(おいかわ・てるこ)さん。新たな挑戦となる学業に向けて、落ち着いた口調で「不安ではありますが、大きな目標と無限の可能性を信じて、向かい風を追い風に変えていきます」と誓いの言葉を述べました。  その後、馬塲学院長は「入学おめでとう。自立のために、私達は全力で皆様方の支援を行います」と祝辞を述べました。  続いて各クラスの新担任と専任講師が紹介され、ヘレン・ケラーの歌「幸福の青い鳥」を全員で合唱して式典は終了しました。 ●「医療面接セミナー」を開催!  入学式・始業式終了後、11時30分から、3年生以上を対象に医療面接セミナーを開催し、学生17人と講師5人が参加しました。  講師は、元都立盲学校理療科教諭で、日本盲人社会福祉施設協議会が運営する盲人ホーム杉光園(さんこうえん)・技術指導員の菅原徹(すがわら・とおる)氏にお願いしました。  テーマは「医療面接とコミュニケーション」。以前は、「問診」という形で、主訴に重点を置いて患者さんと対話することが主流でしたが、近年は、治療前に患者さんの話を聞き、病気や身体の状態を把握するだけでなく、患者さんの悩み苦しみに寄り添い、また、現在の身体状態を患者さん自身に理解していただくなど、カウンセリングの要素も含めた、医師と患者とのコミュニケーションが強く求められており、それを「医療面接」と表現しています。 事前配布したレジュメをもとに、問診と医療面接の違い、コミュニケーションの取り方、基本的技能について専門用語を確認しながら、時折ジョークを折り混ぜて穏やかな口調でお話しいただきました。  これから臨床実習を開始する3年生をはじめ、上級生も熱心に耳を傾け1時間という非常に短い時間ではありながらも有意義な時間を過ごすことができました。 セミナー終了後、学院講師の先生から「今日はどうされました? の一言がなかなか言い出せなかったことを思い出した」、「初歩的な内容でしたが、とてもよくまとまっており、非常にわかりやすかった」との声をいただき、無事終了したことに一安心しました。 学生からは、「患者さんと向き合う際の基本的部分を再認識できた」、「臨床実習は緊張するけど事前にこういう内容を聞けたので少し気持ちが楽になった」との声を聞くことができました。 昨夏、就職支援セミナーを開催した際、「技術はもちろん、人とのコミュニケーションがとても大切だ」と講師の方々が口にしていたこともあり、「日常生活でのコミュニケーションを始め臨床実習で患者さんと向き合う際の応対についてセミナー開催したい」と、今回のテーマを思い立ち、学院講師の先生方と相談しながら実現に至りました。  本当は、模擬患者など実践的な内容にしたかったのですが、また機会を見て開催したいと思っています。学生たちには、今まで培ってきた知識と技能を、これから出会う患者さんに一生懸命還元していただきたいと願っています。 ●『近代日本盲人史』好評発売中  サブタイトル:「業権擁護と教育・福祉の充実を訴え続けた先人達」  著者:久松寅幸(元長崎県立盲学校教頭)  発行:2018年7月1日  本文:ヒラギノUD角ゴ14P  附録:TXTファイルCD(複写厳禁)  価格:2,808円(本体2,600円)  ※送料別(お問い合わせください)  発行:東京ヘレン・ケラー協会 E-mail:yougu@thka.jp  本書は視覚障害者の業権擁護と教育・福祉を中心に、その充実を訴え続けてきた先人の取り組みを、著者が『点字ジャーナル』に連載したものに加筆・修正して単行本にまとめたものである。  第1章は、按摩・鍼・灸業を中心として、視覚障害者の業権擁護運動と実践の特質を述べている。  整理・分析に当たっては、『点字毎日』、官立東京盲学校同窓会誌『六星の光』(点字)等、当事者自身の記録を多く引用した。  第2章は、盲学校や施設における職業教育の充実と新職業開拓の取り組みについて、戦前の視覚障害教育における当事者団体の動向を把握する資料としては『帝国盲教育』等を整理・分析した。  第3章は、福祉の充実に向けた戦前の盲人保護法制定の運動とその要求の特質と、戦後の身体障害者福祉法制定を整理・分析している。 ●平成29年度事業報告 【協会本部】  11月11日、東京・トッパンホールにおいて、参天製薬(株)協賛、文部科学省、毎日新聞社などの後援で第67回ヘレン・ケラー記念音楽コンクールを開催した。入場者数は約220人だった。 【ヘレン・ケラー学院】  平成29年度当初の学生総数は30人だったが、4人の退学者が出たため29年度末の在学者数は26人になった。卒業生・修了生は11人で、これでヘレン・ケラー学院の卒業生・修了生の総数は、延べ1,942人となった。  平成30年度の入学者は3人で、平成30年度4月1日現在の学生総数は、22人となった。  第26回国家試験が平成30年2月24・25の両日に行われ、当学院からあん摩マッサージ指圧師に現役8人、既卒者4人が受験し、現役7人が合格した。はり師きゅう師とも現役7人、既卒者1人が受験し、ともに現役5人が合格した。  視覚障害者ガイドヘルパー養成研修を5回実施し135人が修了した。 【点字図書館】  製作図書タイトル数は点字図書が前年比19%減、デイジー図書6%増となった。貸出数では、点字図書は前年比微増、デイジー図書(雑誌を含む)は、前年とほぼ同数だった。  平成30年3月末現在の利用登録者数は1,806人で、前年度比1人減となった。  中途視覚障害者対象の点字講習は、毎週水曜日実施の一般講習を60回行い、延べ205人が参加した。ヘレン・ケラー学院生への個別指導は79回行い延べ112人が参加し、パソコン講習は、延べ25人が受講した。  生活相談は60件、移動や日常生活動作、情報機器操作などの訓練は243件実施した。音訳ボランティアの勉強会を5回開催し、延べ68人が参加した。医学用語の点訳・音訳講習会は点訳に30人、音訳に21人が参加した。点字触読サポート勉強会は3回開催し、延べ54人が参加した。 【点字出版所】  東京都議会議員選挙公報点字版を受託・作製し、日盲委選挙情報支援プロジェクトの一員として、衆議院議員選挙公報点字版と同音声版を作製した。  点字印刷機GPB-3 2号機の潤滑油パイプ修繕工事と潤滑油フィルター交換工事、早稲田別館1F事務室、3F旧固型点字印刷室・編集・録音・製版室等の蛍光灯をLED照明に交換する工事、新館屋上建屋の撤去工事を行った。  当方が主管施設として、11月30日と12月1日に、国立オリンピック記念青少年総合センターで、日盲社協点字出版部会職員研修会を開催した。 【盲人用具センター】  学院の学生を対象にデイジー録音再生機や点字器など学習機材を紹介・普及した。恒例の展示会「サポートグッズフェア」を7月に開催した。 【海外盲人交流事業】  ネパール盲人福祉協会(NAWB)を財政的・技術的に支援し、統一英語点字(UEB)普及のためのナショナルセミナーを平成29年12月14・15の両日カトマンズのNAWB本部で開催した。  NAWBの要請で、安達禮雄育英基金・正雄育英基金・順子女子育英基金の給付対象を、従来の「第1〜10学年」から「第1〜12学年」に変更した。 ●平成30年度事業計画 【協会本部】  11月10日、東京・トッパンホールにおいて、参天製薬(株)協賛、文部科学省、毎日新聞社などの後援で第68回ヘレン・ケラー記念音楽コンクールを開催する。 【ヘレン・ケラー学院】  平成30年度の新入生は高等課程2人、専門課程1人の計3人の予定で、新学期の学生数は23人になる見通しである。視覚障害者ガイドヘルパー養成研修を当協会で7回、町田市で1回の計8回行い、計160人の受講者を見込む。 【点字図書館】  点字・録音図書を幅広く、より迅速に製作することに努める。中でも医学書、とくに鍼灸・あんまマッサージ指圧分野の充実を目指す。また、利用者個別の点訳・音訳希望に応じ、三療師国家資格取得を目指す学生に対しては資料製作による学習支援に努める。点訳・音訳勉強会を開催し技術向上に努める。また、デイジー図書製作の進捗を図るため、デイジー編集ボランティアの増員を目指す。点字図書は年間800タイトル、録音図書は12,000タイトルの貸出を目指す。また、収納限度を越えた状態の書庫を整備し蔵書管理を改善する。利用者の読書ニーズに応じた的確なレファレンスに努める。蔵書目録を整備し、テーマ別・著者別の目録を作成するなど利用者の便宜を図る。  中途視覚障害者への点字講習会、点字習得を希望するヘレン・ケラー学院生への点字補講を実施する。講習内容については見直しを図る。見えない・見えにくいことによる不自由さを軽減するための相談・訓練を実施する。 【点字出版所】  地方選挙の「点字公報」等の発行を機会に、国政選挙を想定した原稿整理等の現任訓練(OJT)を行う。きたるべき視覚特別支援学校小学部用文部科学省著作点字教科書「算数」製作に備え、引き続き「点字教科書『算数』研究会」を毎月実施する。その上で、算数に関する点字冊子作成を試行する。著者の意向に応じて理療科教科書の一部を改訂する。  録音技術の向上を目指して、全盲の語り部としてライブハウス等で活躍している川島昭恵氏の録音CD作成を試行する。  久松寅幸氏(元長崎県立盲学校教頭)に『点字ジャーナル』に寄稿していただいた二つの連載をまとめて『近代日本盲人史』のタイトルで拡大活字図書を刊行する。  固型点字印刷機を撤去した印刷室の改修を行う。早稲田別館3階の男女各2の和式個室トイレのうち、各1を洋式温水便座トイレに改修する。新館屋上の防水工事を実施する。老朽化しつつある日本製点字自動製版機の保守整備や新規開発の研究を行う。 【盲人用具センター】  学院・図書館を通して、在校生との関係性を維持しつつ、新入生とも積極的に関わりを持って、アフターケアを十分に行う。視覚障害者用具や機器を集めた展示会「サポートグッズフェア」を8月に実施する。 【海外盲人交流事業事務局】  ネパール盲人福祉協会(NAWB)が、『UEBハンドブック』等の点字版を作成する場合は協力する。 ●愛の光通信(LIGHT OF LOVE) No.50 2018.7 夏号・Summer 海外盲人交流事業事務局が年に2回発行する『愛の光通信(LIGHT OF LOVE)』は下記からダウンロードして読むことができます。 http://www.thka.jp/kaigai/reports.html ●資金収支計算書(下記、ホームページをご覧ください)  http://www.thka.jp/about/img/H29_1-1_sikinsyusi.pdf ●事業活動計算書(下記、ホームページをご覧ください)  http://www.thka.jp/about/img/H29_2-1_jigyokatudo.pdf ●貸借対照表(下記、ホームページをご覧ください)  http://www.thka.jp/about/img/H29_3-1_taisyakutaisyohyo.pdf ●平成29年度ご寄附者名簿 平成29年4月1日〜平成30年3月31日 五十音順(個人団体の順)・敬称略 温かいご支援ありがとうございました! 【本部扱い】  賛助会員:参天製薬株式会社  一般寄附:青柳加寿子、杉田安男、長谷川航、藤岡博、藤田ひろ子、藤元節、松沢秀興、丸井健太、稲山輝機、加藤直之、参天製薬株式会社 【ヘレン・ケラー学院扱い】  賛助会員:新井定一、植田員弘、牛窪多喜男、金子宏、上林政吉、小泉利治・まり子、澤田昌憲、清水ひろみ、鈴木八重子、須藤憲一、中山真寿美、橋本三郎、福井愛子、星野博子、三浦真人、南直哉、柳田妙子、吉田厚子  一般寄附:秋本勇、阿部恵一、新井定一、石川晶夫、石川光司、石川照子、伊藤勇、植田員弘、生沼馨、大澤孝一、大島千惠子、大修・キミ、小栗誠夫、角田明義、加瀬峯夫、金井定春、神田敏男、菊地亮・満子、木村きよ子、木村修子、黒岩康孝、小泉利治、小谷政夫、小幡亮、作馬哲夫、佐野一貴、下田正男、平光子、高尾義彦、田口正良、田中茂、玉住博、根本博行、馬塲敬二、早川美奈子、林行俊、前川和男、松井茂・はるみ、南直哉、宮ア照子、村上理恵、柳崎秀夫、矢作俊一、山ア登志夫、横山勝幸、吉岡諄、若鍋よし子、渡辺武松 【点字図書館扱い】  賛助会員:青木素子、秋山由美子、東濱啓、磯崎治子、内田一夫、宇和野康弘、小澤洋平、片山恭子、菊地寛子、北岸保郎、経塚良未、斎藤紀年夫、清水奈美江、鈴木由紀、楯香津美、田中雄二、戸沼京子、畠山千代子、原田秀夫、東山寛、福島ふさ子、福田拓馬、星野博子、本間みさ子、前田律子、正木研、松浦節子、丸山進弘、溝口和子、宮本牧子、森輝明、諸岡和彦、山内経  一般寄附:青木弘、青木素子、市角誠、猪俣栄二、岩野英夫、浦田實、榎木吉彦、大石文雄、小澤眞三郎、加賀屋信一、柿沼正良、笠井実、九曜文子、駒井正美、酒井町子、坂本芳雄、佐子田信夫、塩田和夫、志村富雄、白木幸一、鈴木由紀、須藤憲一、高橋敏朗、田澤芳行、谷口旭、田村徳章、塚村タエ子、豊島豊、西田健治、西村秀夫、二瓶幸子、能戸幸恵、長谷川あけみ、畑秀美、林武男、平野邦雄、平林寿美子、福島久仁子、古川雄、正木研、松ア仁紀、松田千冨美、宮本美明、室岡見致、望月美紀子、森明彦、森正喜、山内龍子、山口優子、山ア洋子、油布勝美、米田日出明、はくたんストラップ製作委員会、株式会社ファンケル 【点字出版所扱い】  一般寄附:エムコマース株式会社、株式会社大京サイン大沼健二、ダイナスティゴルフ武政道子 【海外盲人交流事業事務局扱い】  一般寄附:阿佐博、安藤生、石田隆雄、磯公美子、今泉新治、植竹清孝、上野伊律子、遠藤利三、大橋東洋彦、岡本好司、貝元利江、勝山良三、加藤万利子、川田孝子、菊井維正、楠本睦子、小泉周二、小出隆家、古賀副武、小島亮、後藤晴子、小森愛子、近藤光枝、酒井久江、坂入隆、坂齊勝男、指田忠司、佐藤達夫、白井雅人、杉沢宏、杉田安男、鈴木俊勝、鈴木雅夫、鈴木洋子、染矢朝子、高橋恵子、田中徹二、田中正和、当津順子、長岡英司、中原章雄、生井良一、橋本幸信、林紘子、原田美男、樋渡敏也、富久縞博、藤元節、本間昭雄、前山博、増野幸子、松井繁、松浦健三、松本大、御本正、宮下浩子、茂木幹央、森栄司、森山朝正、山口節子、吉田重子、渡辺直明、渡辺勇喜三、岐阜県立岐阜盲学校生徒会、一歩の会 岩野英夫、有限会社大本印刷、小林動物病院、古和釜幼稚園、園田鍼灸院、株式会社高垣商店、有限会社ヤマオー事務機 ●点字図書館リニューアル  6月16日(土)に、点字図書館の事務スペースの机を新しい物に入れ替え、レイアウトも一新しました。  今までは、職務ごとにそれぞれの席が衝立などで仕切られ点在していましたが、思い切ってひとつの場所に集めたことで、想像以上に空間の余裕ができ圧迫感がなくなりました。真っ白な新しいデスクが整然と並ぶのと相まって、訪れた人にも好印象です。仕切りが無くなったことで職員同士の業務連携、コミュニケーションも円滑になったように感じられます。  心配なのは、点字の読み合わせ校正や電話応対、CDの検聴作業などが隣り合わせとなる音の問題です。この先、冬の暖房効果も思いやられ、しばらくは様子を見守るしかありません。  写真右(入り口から3mほど進んだ右手)にある衝立は、事務スペースとトイレ・給湯室を区切るのと、奥の多目的室への誘導を兼ねて設置しました。そもそも2015年の多目的室開設に続く一連の計画だったものが、今年になってようやく実現できたのです。 ●助成事業報告  下記の通りご助成を受けて、完了いたしました。ご支援、誠に有難うございました。 一、公益信託障害者愛の福祉基金 一、事業名 「プレクストークポータブルレコー  ダーPTR3」「プレクストークPTN3」の購入 一、総事業費 218,000円 一、助成額 200,000円 一、完了日 平成30年2月1日 一、公益信託東京日本橋ライオンズクラブ立川福祉基金 一、事業名 デジタル録音図書製作拡充事業 一、総事業費 261,314円 一、助成額 180,000円 一、完了年月日 平成29年7月5日 一、公益信託久保記念点字図書援助基金 一、事業名 点字図書製作のための点字用紙、点字編集ソフト、点訳用パソコンの購入 一、助成額 340,000円 一、完了年月日 平成30年3月26日 ●川島昭恵語りCD好評発売中!  東京ヘレン・ケラー協会は全盲の語り部川島昭恵さんのCD『新美南吉&宮澤賢治』(66分57秒 MONO)を7月にリリースした。送料別で定価2,600円(税込2,808円)。  収録内容は、@新美南吉「手袋を買いに」:ある雪の日、子狐は人間の町に手袋を買いに出かけていきます。そこで出会ったものは…。  A新美南吉「狐」:夜新しい下駄をおろすと狐につかれる。それを聞いた少年は、寝床でお母さんにたずねます。  B宮澤賢治「虔十(けんじゅう)公園林」:まわりからばかにされていた少年が植えた杉林。20年後、杉林はどうなったでしょうか。 ●東京ヘレン・ケラー協会人事  6月30日付で馬塲敬二理事長の点字図書館長兼務を解き、7月1日付で川西幸治点字図書館次長を同館長に命ずることを、5月29日に開催された理事会が承認した。  山内厚子録音課長補佐が、7月1日付で製版課長補佐に任命された。  丸山由紀子が6月1日付で点字出版所製版課に配属された。  橋真奈美が7月1日付で点字図書館(司書)に配属された。 ●新館屋上建屋撤去工事報告  点字出版所の新館屋上建屋は、(財)中央競馬社会福祉財団の助成金を受けて、放送大学受信録音装置とそのダビング装置を設置するために、昭和59年12月に建てられました。  放送大学は現在でこそ日本全国どこでも受信できますが、昭和60年の開始から平成9年までは全国放送ではありませんでした。そこで放送大学で学びたいが、受信できない地域に住む視覚障害者に情報提供するためのエアーチェック・ダビング機器を設置したのがこの建屋でした。当時はスチール棚に受信機とビデオレコーダーがずらっと並んで壮観でしたが、開始から4・5年たつと優秀で熱心なユーザーは放送大学を卒業して行くので、機器の劣化と共に同事業は終焉を迎えました。  そのような事情を知る人も少なくなり、ここ最近はほとんど使われていない男子更衣室が左半分、もう右半分は図書館のスタジオが占めていました。  2月26日(月)午前9時から開始された撤去工事で最初に行なったのは、電気配線の撤去でした。電気配線は新館地下倉庫にあるキュービクル式高圧受電設備横の分電盤から直接伸びてきて建屋の中に入っており、メーター、ブレーカーを通り、各照明等に配線されていました。  次に電話回線の撤去を行ったのだが、ここで誤算が生じました。建屋の電話は休止状態となっていたが、実はそこからまた2口の回線(17番の経理と61番の1F印刷室)が増設されていたのです。それを知らず切断したので、1F事務所の三つに分配されている回路のヒューズが飛び、電話が使えるところと使えないところが生じました。  2月27日(火)からは撤去のための解体作業が始まり、28日(水)と3月1日(木)にはほぼ解体が終わりました。その途中で、撤去業者から「屋上の防水状態が劣悪で所々剥がれており、早急に防水の張替え工事を行った方がよい」という助言があり、急ぎ見積をとることとなりました。  その後は3月2日(金)まで順調に推移し、3日(土)午前9時からクレーンによる積み下ろし作業が始まり、午前中で半分以上が下ろされ、早いペースで進みました。山積みされた4トントラックが合計2往復し、午後4時半には後片付けと清掃に入り、最後にブルーシートが屋上に張られ完了しました。 ●リソグラフSF935講習会  5月11日(金)午後2〜3時、毎日新聞早稲田別館3F点字出版所印刷室において、高速デジタル製版・全自動孔版印刷機リソグラフSF935(税込特価99万9,000円)の使い方講習会が開催されました。  講師は理想科学工業(株)首都圏第二営業部(理想新宿支店)の当協会担当者で、受講者は印刷課と録音課の関係者7人でした。  リソグラフは、少部数の地方自治体点字広報の表紙や封筒等を印刷するために今や欠かせないもので、平成20年(2008)3月4日に、清水基金の助成を受けて112万8,750円で導入したが、昨年9月末に部品供給が停止されたので、購入から10年たつことから後継機種として導入したのが、このリソグラフSF935です。  理想新宿支店は、当協会から徒歩10分の至近距離にあるので、不具合やトラブルがあれば担当者がすぐに駆けつけてくれるということでした。 ●阿佐先生の思い出を語る会  筑波大学附属盲学校等で長年教鞭をとってこられ1984年5月2日〜2000年6月30日まで16年間、当協会にて、職員への点字指導・校正、『ライト&ライフ』、『点字ジャーナル』編集長を歴任された阿佐博先生が、本年4月1日に間質性肺炎のため、95歳の生涯を終えられました。  葬儀はご本人の遺言により、ご家族のみで執り行われましたが、先生は第1回本間一夫文化賞の受賞者であることから5月26日の午後、日本点字図書館にて、「阿佐先生の思い出を語る会」が開催され、当協会関係者も多数参列しました。  日本点字図書館田中徹二理事長と、阿佐先生のご子息・光也氏からの挨拶に続いて、20人の方たちがそれぞれ先生の思い出を語りました。  協会関係では、ヘレン・ケラー学院の木村愛子先生が、恩師としてまた点字製版・印刷に長けた先輩教師としての阿佐先生の知られざる一面を話されました。  福山博点字出版所長は、来日したネパール盲人福祉協会のホーム・ナット・アルヤール氏と英語点字について先生が英語で激しい議論をされたという話を紹介されました。阿佐先生の前に『点字ジャーナル』編集長だった高橋秀治氏や編集デスクだった山添和夫氏もそれぞれ阿佐先生の思い出を語られました。  話の合間に歌手の塩谷靖子さんが歌を捧げ、最後に日点の長岡英司館長が終わりの挨拶をして、3時間にわたる語る会は終了しました。 ●今年のHK音コンは11月10日(土)  11月10日(土)9時開場、10時審査開始としてトッパンホール(飯田橋駅下車、徒歩13分)において「ヘレン・ケラー記念音楽コンクール」を開催します。特別演奏として戸澤采紀(とざわ・さき)さん(ヴァイオリン)にご出演いただきます。  当日は入場無料です。皆様のご来場をお待ちいたします。 ●編集後記  気象庁は6月29日、関東甲信地方が梅雨明けしたとみられると発表しました。6月の梅雨明けは記録がある1951年以降でもっとも早く、梅雨の短さとしては1978年と並ぶタイ記録だそうです。  サッカーの日本代表は7月3日、ロシア・ワールドカップ決勝トーナメント1回戦でベルギーに敗れ、我々の寝不足の長い夜は終わりました。  しかし、これからが夏本番で、猛暑が続く可能性が高いと指摘されています。冷房を上手に活用して、水分と塩分を小まめに補給して、熱中症対策にも留意しましょう。(福山博) 広報委員会 委員長:福山博(ふくやま・ひろし)(点字出版所長) 委員:大久保美智子(おおくぼ・みちこ)(ヘレン・ケラー学院) 委員:和泉枝里(わいずみ・えり)(点字図書館) 委員:戸塚辰永(とつか・たつなが)(点字出版所編集課) 委員:佐久間朋(さくま・とも)(点字出版所製版課) 委員:森本環(もりもと・たまき)(点字出版所録音課) ---------- 『青い鳥』Web版 http://www.thka.jp/about/information.html 社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会 〒169-0072東京都新宿区大久保3-14-20 http://www.thka.jp 本部、ヘレン・ケラー学院 TEL: 03(3200)0525 FAX: 03(3200)0608 点字図書館 TEL: 03(3200)0987 FAX: 03(3200)0982 点字出版所、盲人用具センター 海外盲人交流事業事務局 TEL: 03(3200)1310 FAX: 03(3200)2582 ----------