東京ヘレン・ケラー協会会報 青い鳥 第22号 2013年7月1日発行 発行人:三浦 拓也 編集人:石原 尚樹 発行:広報委員会 社会福祉法人 東京ヘレン・ケラー協会 〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-20 本部、ヘレン・ケラー学院 電話 03(3200)0525 FAX 03(3200)0608 点字図書館 電話 03(3200)0987 FAX 03(3200)0982 点字出版所、盲人用具センター、海外盲人事業交流事務局 〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-4 電話 03(3200)1310 FAX 03(3200)2582 -------------------------------------------------- インデックス: ●ガイヘル養成研修 協会の重要事業に ●卒業おめでとう 新たな道へ挑戦 ●国家試験 頑張った人が報われた! ●3人の同級生が誕生 25年度入学式 ●平成24年度事業報告 ●平成25年度事業計画 ●皆様ありがとうございました 平成24年度 東京ヘレン・ケラー協会賛助会員・一般寄付名簿 ●点訳ボランティア養成講習会 18人が取り組む ●学院も耐震補強工事を実施 ●協会定款を9年ぶり改定 ●人事・3月15日 -------------------------------------------------- ●ガイヘル養成研修 協会の重要事業に 「正しいガイド」心掛け9年  協会が平成16年11月から取り組んでいる視覚障害者ガイドヘルパー養成研修事業(ガイヘル研修)は今年9年目を迎えた。事業は順調に発展し、講習修了者が千名を超えている。24年度は当初の予定より1回増やし7回実施した。25年度は9回の開催を予定している。全国各地から受講希望の問い合わせも相次ぎ、他の事業者から無視できない存在となっている。協会の重要事業に成長したガイヘル研修を当初から担当してきた田村芳雄職員に振り返ってもらった。  平成16年4月、当時の堀込藤一理事長から「東京都の提案もあり、ガイヘル研修を立ち上げたい。担当してほしい」と頼まれたのがきっかけだった。定款の変更や審査など東京都との交渉、カリキュラムの作り方、講師の選定など分からないことばかりで、右往左往の連続だった。  そんな時に東京都心身障害者福祉センターに勤務されていた村上琢磨氏(現NPO法人視覚障害者支援しろがめ代表)からかかってきた一本の電話が、養成研修への取り組みに大きな指針となった。「しっかりした研修をして、いいガイドヘルパーを養成したい。視覚障害者が社会で自立するときに困らないように応援したい」という強い気持ちを抱かせていただいたことに感謝している。  当初の研修は20時間研修だったが、平成23年10月より「移動介護」から「同行援護」に制度が大きく変わり、内容も一変した。  以前に修了して活動していたガイドヘルパーにも、「同行援護」に対応する力を付けるため、もう一度受講してもらう必要があったのである。制度の移行期で様々な過渡的措置が認められており、当協会の養成研修事業も既修了者への対応をいろいろ検討した。  一方、他の事業所でも移行期の混乱が発生し、ガイヘル研修の先駆である協会には相談や問い合わせの電話が殺到した。時には自治体や社協からも質問があり、これに答えるためには自分自身が勉強しなければならない。おかげでこの制度を誰よりもしっかり把握できたと思っている。  過渡期に既修了者向けに実施した7時間講習や12時間講習は結局中止した。これは「既に修了した者の中にはノウハウを忘れている人が多く、きちんと32時間講習を受け直さなければ、本当の意味での利用者サービスに繋がらない」と考えたからである。講師の質を問わない粗悪な研修でオーライとしている事業所もあると聞いているが、実施要綱通りであったとしても、それが「正しい」研修ではないことを実感している。  当協会のガイヘル研修の成功を聞いて、新たに参入を図っている事業所もあるようだ。多くの事業所が切磋琢磨し、利用者の信頼を得て、正しいガイドができるヘルパーがたくさん誕生することは喜ばしいが、当協会の講師の質や講義・演習内容には自信があるので、一層内容を工夫して先頭を切って走り続けたい。 ●卒業おめでとう 新たな道へ挑戦 平成24年度ヘレン・ケラー学院卒業式  平成24年度ヘレン・ケラー学院卒業式・修了式は3月15日同学院講堂で行われた。24年度の卒業生は5年課程3人。これに5年課程あん摩マッサージ指圧科修了生8人が加わり、計11名に三浦学院長から卒業証書、修了証書が授与された=写真。また、1年間を通じた学業成績優秀者に贈る優等賞は11人、努力賞は1人が受賞した。  卒業生代表は「戸惑いながらも仲間と学んできた日々が懐かしく思い出されます。信頼できる友、築き上げた人間関係を大切にし、新たな道に挑戦します」と答辞を述べ、震災復興支援ソング「花は咲く」のピアノメロディーと全員の拍手で卒業生を送り出した。 ●国家試験 頑張った人が報われた!  2月23、24の両日、第21回あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師国家試験が行われ、ヘレン・ケラー学院から既卒者含め9人があん摩マッサージ指圧師を、既卒者含め6人がはり師及びきゅう師を受験し、あん摩マッサージ指圧師は既卒者含め8人(現役合格率88%)が、はり師及びきゅう師は既卒者含め5人(現役合格率100%)がそれぞれ合格した。 ●3人の同級生が誕生 25年度入学式  ヘレン・ケラー学院は4月5日、同学院講堂で平成25年度入学式及び始業式を行った。今年度の入学者は高等課程1人、専門課程2人の計3人。新入生代表が「諸先生、諸先輩から多くのことを学び社会人としてしっかり自立します」と誓いの言葉を述べた=写真。  三浦学院長は訓示で「これから厳しい学生生活が待ち受けている。新しい人生を切り開くために入学したみなさんは所期の目的のために努力を続けてほしい」と激励した。 ●平成24年度事業報告 【ヘレン・ケラー学院】  10名の新入生が入学し、学生総数35名で新学期を迎えたが、病気による死亡や就職で各1名、出席日数不足で2名が中途退学した。卒業生・修了生は11名。第21回国家試験では、あん摩マッサージ指圧師に現役8名が受験し7名が合格した。はり師、きゅう師は各3名が受験し全員合格した。合格率は90%を超え、全国平均より高く素晴らしい成績だった。 【点字図書館】  昨年度の自館製作図書は、難易度の高い医学書など専門書に注力したため、前年度より点字図書が5%、デイジー図書が7%減少した。貸出数では、点字図書が8.4%、テープ図書は4.5%減少したが、デイジー図書は相互貸借図書の利用が促進されことによって前年より9.5%増加した。視覚障害者への点字指導は、通常講座は132回行い、延べ171人が受講した。パソコン講習も110人が受講するなど点字図書館の利用者は1775人を数え、前年度より14人の増であった。好評のサポートグッズフェアも例年同様、盲人用具センターと協力して開催した。点訳・音訳ボランティアの養成講習会を見送り、既存ボランティアのスキルアップを図った。 【点字出版所】  東京都知事の辞任と衆議院の解散で、12月16日のダブル選挙に点字出版所の職員の数人は数日帰宅することができないほどの忙しさであった。公示日に立候補者と政見原稿が揃わなく翌日にようやく揃ったという大混乱にも振り回されたが、計画通りに納品できた。  この他、東京都など地方自治体からの定期広報点字版17紙を受託・発行した。点字教科書は中学部「歴史」の後期分を遅滞なく製作納品した。録音では地方自治体の定期広報テープ版7紙を受託した。また、衆議院総選挙では東京比例区などの「選挙のお知らせ(音声版)」を受託した。  経営的にも仕事的にも厳しい1年であったが、職員の協力と努力によって黒字を計上することができた。 【第62 回へレン・ケラー記念音楽コンクール】 24年度から新たに株式会社ナチュラリープラスが特別協賛になり、文科省、毎日新聞社などの後援を得て、11月10日に東京・文京区のトッパンホールで開催した。ピアノの部、弦楽器の部、独唱の部、重唱・合唱の部と新設された創作・編曲の部に全国から62名の児童・生徒・学生が出場した。最も感銘を与えた演奏に贈られるヘレン・ケラー賞は該当者がなかったが、川崎春香さん(新潟県立新潟盲・小3)に審査員特別賞が贈られた。 【視覚障害者ガイドヘルパー養成研修事業】  実技重視のカリキュラムと充実した講師陣による研修は評価が高く、キャンセル待ちが相次いだため、当初予定を1回追加し7回に、定員を32名から36名に増員するなどして応募者のニーズに応えた。主催研修6回と町田市社会福祉協議会との共催研修を1回実施し、198名が修了した。 ●平成25年度事業計画 【ヘレン・ケラー学院】  前年度以上の成績をあげるように受験対策に力を注ぐ。学生数の増加を図るために「詰め込み教育ではなく、実技・理論をじっくり学習することができる唯一の5年課程の学校」であることや、地下鉄西早稲田駅から徒歩2分などの立地条件の良さをPRし、きめ細かい募集活動をする。夏休み中に学院の耐震補強工事を実施する。 【点字図書館】    「行動する図書館」を目指し25年度を実質的な初年度とする。  当図書館の特色である東洋医学や三療の資料をさらに充実させるとともに、点訳ボランティア養成講習会、視覚障害者への点字・パソコン講習会、視覚障害者への理解を深めるための出前点字講座なども開催する。 【点字出版所】 6月の東京都議会議員選挙、7月の参議院議員選挙においては点字出版所の総力を挙げて取り組み、収益の増大を図る。点字印刷は地方自治体の「点字広報」「録音公報」「便利帳」などの受託印刷も前年度以上の受注を受けるべく努力する。 【第63回へレン・ケラー記念音楽コンクール】  視覚障害の児童・生徒・学生を対象とする日本で唯一の音楽コンクールである「ヘレン・ケラー記念音楽コンクール」を11月16日(土)に東京・文京区のトッパンホールで開催する。 【視覚障害者ガイドヘルパー養成研修事業】  ガイドヘルパー養成研修事業をさらに発展させ、受講希望者の要望に応えるため25年度は前年度より2回増やし、自主開催8回、町田市社会福祉協議会との共催を1回の都合9回実施する。 ●資金収支計算書(下記、ホームページをご覧ください)  http://www.thka.jp/about/accounts_01.html ●事業活動収支計算書(下記、ホームページをご覧ください)  http://www.thka.jp/about/accounts_02.html ●貸借対照表(下記、ホームページをご覧ください)  http://www.thka.jp/about/accounts_03.html ●皆様ありがとうございました 平成24年度 東京ヘレン・ケラー協会賛助会員・一般寄付名簿 ★賛助会員(敬称略) 【本部扱い】 加藤直之、参天製薬(株) 【ヘレン・ケラー学院扱い】 新井定一、伊藤久雄、牛窪多喜男、海老原隆、大岩妙子、大金三郎、小野塚耕吉、川上喜美子、木村修子、帰山良子、駒沢金平、小渡久美子、鈴木房江、鈴木八重子、須藤憲一、平光子、山米子、中島政治、中村文孝、橋本三郎、早見尚三、町田克夫、矢作俊一、山崎登志夫、提橋トク、医療法人社団ケイ・クリニック滝沢光 【点字図書館扱い】 青木素子、秋山由美子、石原直美、磯崎治子、猪股栄二、内田一夫、大岩妙子、大江慎一、片山恭子、辛島寛、金倫子、小柳紀男、斉藤紀年夫、鈴木克己、鈴木健夫、鈴木由紀、須藤憲一、田沢芳行、田代芙美、田中秀臣・禮子、田中雄二、土居義則、長谷川あけみ、本間みさ子、前田律子、溝口和子、村上工、矢部萬寿子 ★一般寄付(敬称略) 【本部扱い】 稲山輝機、井上朗、梅沢忠男、加藤直之、金谷紫之、草間昌保、栗田美保、作島哲夫、杉田安男、鈴木秀彦、須藤美津子、中村進一、長谷川航、平間しのぶ、堀田雅美、ヤマアヤ、山ア好是、ヤマタハナ、東京ヘレン・ケラー協会後援会、(株)ナチュラリープラス、東京新宿北ライオンズクラブ、毎日新聞社事業本部、毎日新聞社点字毎日編集部、毎日新聞東京社会事業団 【ヘレン・ケラー学院扱い】 新井康代、五十嵐榮三郎、池津治、石田元治、伊藤勇、稲付修身、乾法行、植田員弘、上之薗誠二、江津正一、大澤孝一、大島千恵子、小栗誠夫、愛宕洋志、小幡亮、加瀬峯夫、菅聆子、金井定春、神田敏男、金原フミ子、楠啓一、黒沢絵美、小谷政夫、後藤充子、斉城信夫・美子、斎藤紀年夫、佐藤まどか、佐藤ミネ、菅田亜季、杉田安男、田中茂、玉住博、塚村文昭、徳田好美、中島憲一、根本陸朗、長谷川清、花村敦子、平原皓一郎、福井愛子、福井隆雄、福島義範、星野博子、三浦真人、矢作俊一、山口智永子、山崎登志夫、横山勝幸、毎日新聞東京社会事業団 【点字図書館扱い】 青木弘、秋葉文次、朝木けい子、石原直美、泉川英規、伊勢澤信吉、市角誠、市原政春、宇和野康弘、江良昭雄、大石文雄、小澤淑子、小澤洋平、加賀屋信一、笠井実、菊地寛子、木原正、木村映美子、経塚良未、小池輝勇、古池竹之、佐子田信夫、佐々木晴恵、清水奈美江、志村冨雄、白川恵美子、鈴木正子、関喜之助、原田秀夫、高田房子、高橋敏朗、田島静枝、田代芙美、田中雄二、田村徳章、谷合淑二朗、谷口旭、寺崎哲治、戸倉昇、戸原武巳、中井一夫、南雲貞雄、西田健治、埜村政雄、橋本三郎、畑千尋、早川文治郎、早野健二、東山寛、福島ふさ子、福田恒男、藤田ひろ子、藤根輝男、古川雄、星野博子、松浦節子、松田千富美、丸山進弘、溝口和子、宮本美明、宮本牧子、目黒聰子、森明彦、山内経、山田剛、山谷靖彦、茅野ライオンズクラブ、毎日新聞東京社会事業団 【点字出版所扱い】 三浦広美、矢野邦弘、エムコマース(株) 【海外盲人交流事業事務局扱い】 青木貞子、青山マリ子、在田一則、安藤生、石田隆雄、石原幸栄、一幡良利、今泉新治、岩屋芳夫、植竹清孝、上野伊律子、上村小夜子、遠藤利三、大橋東洋彦、大橋由昌、岡本好司、落合夕子、小野塚耕吉、貝元利江、勝山良三、加藤和広、加藤万利子、金田敏子、苅安達男、川島玉子、川尻哲夫、菊井維正、木塚泰弘、木村ちづ子、黒見恵美子、小泉周二、古賀副武、小島亮、後藤晴子、小長谷正夫、小林明子、小森愛子、小林動物病院、近藤光枝、斎藤惇生、酒井久江、坂口廣光、坂齊勝男、佐々木秀明、佐々木信、指田忠司、白井雅人、杉澤宏、鈴木洋子、須原ひとみ、染矢朝子、橋恵子、田中徹二、田中正和、谷内正史、田村和凡、照井タカ子、当津順子、当山啓、中尾照美、長岡英司、中嶋千代志、中村保信、奈良泰夫、野津虎雄、橋本時代、花田重信、林春枝、林紘子、原田美男、福山博、藤井悦子、前山博、間下勉、増野幸子、松浦健三、松村太郎、御本正、宮下浩子、茂木幹央、森栄司、森山朝正、横大路俊久、吉田重子、米田昌徳、渡辺勇喜三、岐阜県立岐阜盲学校高等部生徒会、NTT東京福祉文化事業団、(有)大本印刷、(有)信和ハウス、 (株)高垣商店、ネパール料理エベレストキッチン、毎日新聞東京社会事業団 ●点訳ボランティア養成講習会 18人が取り組む  点字図書館は、平成25年度点訳ボランティア養成講習会を6月4日からスタートした=写真。  点字図書館は点訳・音訳ボランティアの養成が義務づけられており、必要に応じて講習会を実施しているが、昨年は活動中のボランティアのスキルアップに重点をおいたため、今年は2年ぶりの開催となった。  今年の受講者はほとんどがホームページを通じて応募してきた18人。いずれも女性で、都内在住者が中心だ。  10月8日までの4カ月間全15回の講習で点字の基礎を学び、修了すると点字図書館所属の点訳ボランティアグループに分かれて、点訳本の制作に取り組む。 ●学院も耐震補強工事を実施  ヘレン・ケラー学院は夏休みを利用して耐震補強工事に取りかかる。学院は平成20年に実施した耐震度検査で規定値より低かったため工事が急がれていた。昨年度は点字出版所や点字図書館が入る新館が先行して耐震補強工事を行ったため、今年度に実施することにした。  施工業者は池田建設株式会社、監理業務は株式会社テクノリサーチを選定、いずれも新館工事を担当した実績を持つ。  補強工事は授業の妨げにならないように施工しなければならないため、夏休み中でしかも補講を避けた時期に限定される。このため7月末から8月いっぱいの1カ月強で竣工する過密スケジュールとなった。  本館1階から3階までの主な教室及び治療室が対象となっており、期間中事故が起きないよう万全の対策を取ることにしている。 ●協会定款を9年ぶり改定  東京ヘレン・ケラー協会は5月に開いた理事会に定款変更議案を提出、審議の結果承認された。  今回の改定は平成16年以来だが、この間厚労省が示す「社会福祉法人定款準則」が改正されており、昨年8月の東京都による指導検査の際に改定を指摘されていた。また社会福祉法人の所轄が今年度から東京都から新宿区に変わったこともあり、文言を修正、6月18日付で認可された。 ●人事・3月15日 ▽点字出版所=<採用>丸山旅人(編集課員)、林育子(同) 同・5月31日 ▽点字出版所=<退職>小川百合子(編集課員) ---------- “視覚障害者と共に” 社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会 ホームページもご覧ください。 http://www.thka.jp