東京ヘレン・ケラー協会会報 青い鳥 第19号 2011年12月1日発行 発行人:三浦 拓也 編集人:石原 尚樹 発行:広報委員会 社会福祉法人 東京ヘレン・ケラー協会                      〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-20 本部、ヘレン・ケラー学院 電話 03(3200)0525 FAX 03(3200)0608 点字図書館 電話 03(3200)0987 FAX 03(3200)0982 点字出版所、盲人用具センター、海外盲人事業交流事務局 〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-4 電話 03(3200)1310 FAX 03(3200)2582 -------------------------------------------------- インデックス: ●第61回ヘレン・ケラー記念音楽コンクール ●耐震改修工事がスタート ●真剣に防災訓練 ●協会が消防表彰 ●ヘレン・ケラー記念音楽コンクール入賞者 ●ヘレンケラー・サリバン賞 酒井久江さんに贈賞 ●利用者も地域の人も交流 サポートフェア/マッサージ体験 ●点訳ボランティア養成講習会が修了 ●ボランティア懇親会 盲導犬の役割を学ぶ ●人事 -------------------------------------------------- ●第61回ヘレン・ケラー記念音楽コンクール  横井、上村さんにヘレン・ケラー賞  若い才能と可能性に大きな拍手  第61回ヘレン・ケラー記念音楽コンクール(東京ヘレン・ケラー協会主催、JT共催、文部科学省、毎日新聞社、毎日新聞社会事業団、点字毎日など後援)が11月23日、JTアートホール アフィニス(東京・港区)で開かれ、器楽、声楽の2部門に児童、生徒、学生ら56人が出場した。(2面に受賞者名)  もっとも感動を与えた演奏に贈られるヘレン・ケラー賞は、重唱・合唱の部で<オペラ「運命の力」より「最後の頼みだ」>を歌って1位になった大阪府立視覚支援学校の横井秀平さんと上村龍夏さんが受賞。横井さんは独唱2部で1位、上村さんは独唱1部で2位となり、いずれもトリプル受賞となった。大阪府立視覚支援学校は第59回コンクールでも重唱・合唱の部でヘレン・ケラー賞を受賞している。  特別演奏は、2009年の全日本学生音楽コンクール・ヴァイオリン部門高校の部で1位になり、現在慶應義塾高校3年に在学中の大江馨さんが、モーツァルト「ピアノとヴァイオリンのためのソナタヘ長調K376」、サラサーテ「序奏とタランテラOp.43」等を軽やかに響かせた。  (写真=三浦理事長から賞状とトロフィーを受ける横井秀平さん<中央>と上村龍夏さん<右>) ●耐震改修工事がスタート   1月、まず新館から  安全対策に万全の措置  東京ヘレン・ケラー協会は耐震強度の不足が指摘され、緊急の課題となっていた建屋の改修工事をスタートさせた。今回の工事は点字出版所印刷室と点字図書館が入る「新館」と、1階から屋上に通じる外部階段。工事は来年5月末までの予定で、期間中は一部の業務を停止するなど安全の確保を図る。  耐震改修工事は東京都の補助金事業として8月に申請。10月下旬に内定の知らせがあった。その後、都と協議を重ねながら一般競争入札手続きを進めており、12月中旬には工事請負業者が決まる。  工事は1、2月に1階、3月中旬から4月初旬の間に2階、4月中旬から5月にかけて3階と進め、各階の耐震補強鉄骨を交換して強度を高める。また階段部分も新館と一体化させ、倒壊の危険を防ぐ。  工期が長く、資材や建材が中庭等に運び込まれるため、ヘレン・ケラー学院生、来訪する視覚障害者、ボランティア等に危険が及ばないよう周知徹底し、業者にも最大の安全を確保するよう要請する。特に点字図書館は、期間中の貸し出し業務やボランティア活動、点字講習、パソコン講習等に大きな影響が出るため、臨時休館も含めて万全の態勢を取ることにしている。  なお、学院校舎と本部建屋については、24年度以降に計画を立て、必要な補助金申請等を行う予定。 ●真剣に防災訓練  自分の命は自分で守る  東日本大震災の恐怖も消えない9月1日、ヘレン・ケラー学院、点字出版所、点字図書館の3施設合同で約1時間、防災訓練に取り組んだ。  訓練は、出火場所を学院2階湯沸かし室に想定。「火災発生」の通報で協会に火災報知器のベルが鳴り響く中、職員や学生は各施設の避難路を通って学院正面玄関前まで整然と避難した。  玄関前では新宿消防署戸塚出張所署員の指導で、ヘレン・ケラー学院1年生を中心に消火器の取り扱いを学んだ。  大震災を身近に感じた参加者は例年になく真剣な表情。講評にあたった消防署長も「しっかり訓練してくれた。日頃の備えを忘れず、自分の命は自分で守るという“自助”を心がけて」とこの日の訓練を評価した。  (写真=消防署員から消火器の使い方を学ぶヘレン・ケラー学院生) ●協会が消防表彰  東京ヘレン・ケラー協会は「秋の火災予防運動」期間中の11月11日、新宿消防署から「消防行政の重要性に深い理解を示し、避難訓練など人命安全対策を積極的に推進している」として感謝状が贈られた。協会は毎年9月1日に3施設合同で避難訓練を実施しており、この取り組みが評価された。 ●ヘレン・ケラー記念音楽コンクール入賞者  (敬称略、数字は学年)  【ピアノ1部】1位=佐藤翔(筑波大附属視覚特別支援・小3)▽2位=亀井康生(横浜市立盲特別支援・小3)、松野鉄馬(福島県相馬市立中村第二・小3)▽3位=該当者なし▽奨励賞=小林友香(筑波大附属視覚特別支援・小1)  【ピアノ2部】1位=田中綾乃(石川県立盲・小5)▽2位=菅田利佳(和歌山県立和歌山盲・小5)▽3位=鈴木理子(岐阜県立岐阜盲・小4)▽奨励賞=前島怜佳(東京都新宿区立西戸山・小4)、工藤星奈(秋田県能代市立二ツ井・小5)  【ピアノ3部】1位=該当者なし▽2位=藤吉乙羽(愛知県立岡崎盲・中1)▽3位=該当者なし▽奨励賞=該当者なし  【ピアノ4部】1位=盛岡陸(大阪府立視覚支援・高3)▽2位=藤縄佑樹(富山県立富山視覚総合支援・高3)▽3位=該当者なし▽奨励賞=該当者なし  【その他の楽器の部】1位(アルトサックス)=東直志(京都府立盲・専3)▽2位(トランペット)=佐伯静香(大阪府立視覚支援・高3)▽3位(フルート)=佐名栞里(愛知県立名古屋盲・高2)▽奨励賞=該当者なし  【独唱1部】1位=該当者なし▽2位=上村龍夏(大阪府立視覚支援・中3)、宇木素裕(東京都立久我山青光学園・中3)▽3位=辻本実里(大阪府立視覚支援・中2)▽奨励賞=菅田利佳(和歌山県立和歌山盲・小5)、工藤星奈(秋田県能代市立二ツ井・小5)、上田若渚(愛知県立岡崎盲・小6)  【独唱2部】1位=横井秀平(大阪府立視覚支援・専1)▽2位=該当者なし▽3位=服部澄香(京都府立盲・専2)、東直志(京都府立盲・専3)▽奨励賞=該当者なし  【重唱・合唱の部】1位=横井秀平、上村龍夏(大阪府立視覚支援・専1、中3)▽2位=該当者なし▽3位=筑波大附属視覚特別支援(中1・2・3)、ヘレン・ケラー学院(専1・2)       【ヘレン・ケラー賞】重唱・合唱の部=横井秀平・上村龍夏(大阪府立視覚支援・専1、中3) ●ヘレンケラー・サリバン賞 酒井久江さんに贈賞  第19回(2011年度)ヘレンケラー・サリバン賞は全国盲老人福祉施設連絡協議会(全盲老連)常務理事・事務局長、酒井久江さん=写真下=に決まり、贈賞式が10月4日、当協会3階ホールで開かれた。国内外の視覚障害福祉の調査・研究、全国盲老人施設職員研修の企画と開催、施設間の国際交流等を通じてわが国の盲老人の福祉向上に尽力されたことが評価された酒井さんに、賞状と副賞の記念品が贈られた。式には長年酒井さんが仕えてきた聖明福祉協会の本間昭雄理事長も同席し、酒井さんの受賞を祝った。  三浦拓也理事長の挨拶と贈賞のあと、田中徹二選考委員長(日本点字図書館理事長)が、副賞として記念のヘレン・ケラー女史直筆入りクリスタルトロフィーを贈呈。田中委員長は「酒井さんは全盲老連のお仕事をほとんどお一人でなさるとともに、本間先生に仕えて、さらに人生を素晴らしいものにされた。この業績に対し選考委員会は満場一致で酒井さんと決めました」と選考経過を紹介した。  受賞スピーチに立った酒井さんは「点字と出合って51年、聖明園に勤めて44年になりました。今回ヘレンケラー・サリバン賞という意義深い賞をいただき、深く感謝いたします。私がやってきた仕事は視覚障害者のために、こつこつと取り組んできただけですが、この受賞が仕事の集大成と思い、さらに仕事を続けていく大きな力を与えられたと思っています」と挨拶、聖明園の紹介や全盲老連の現状などを話した。  (写真=三浦理事長から賞状を受ける酒井久江さん) ●利用者も地域の人も交流 サポートフェア/マッサージ体験  視覚障害者向け機器・用具の展示会「サポートグッズフェア2011」=写真=とヘレン・ケラー学院の「あん摩マッサージ指圧無料体験会 感謝DAY」が8月24日、同時に開催された。  サポートグッズフェアは午前10時のスタート前からすでに入場を待つ人が現れ、会場の3階ホールは熱気に包まれた。出展した企業・団体は15。それぞれが新製品や売れ筋の商品を展示した。じかに手で触れることができるうえ、専門の担当員が丁寧に分かりやすく商品を説明するため、目の不自由な人たちにとっては機器・用具の情報を一度に得ることができる格好の機会だ。  100人を超す来場者は、生活を快適にしてくれる電子器具や便利グッズに触れて、その場で購入したり、予約をしたり熱心に各ブースを回った。  一方、あん摩マッサージ指圧無料体験会はヘレン・ケラー学院の2年生9人が担当した。「だいぶこってますね」「とても気持ちがいい」など会話を弾ませながら、地域の人との交流を深めた。 ●点訳ボランティア養成講習会が修了  6月7日にスタートした今年度の点訳ボランティア養成講習会が9月27日修了した。 14人の受講生でスタートしたが1人が欠けただけで、無事卒業した。毎回大量の宿題が出され、四苦八苦した受講生もしっかり成長、修了式では改めて「学ぶことの楽しさ」を実感していた。  修了後は点字図書館の複数の点訳ボランティアグループに分かれ、点訳奉仕活動に入った。 ●ボランティア懇親会 盲導犬の役割を学ぶ  東京ヘレン・ケラー協会点字図書館で活動するボランティアへ感謝の気持ちを込めて開いているボランティア懇親会を10月27日に開催した。  東京都盲人福祉センター(東京・高田馬場)ホールを借りての懇親会は、点訳、音訳、図書整理33人のボランティアが参加。三浦拓也理事長が5年活動を続けた4人に感謝状を贈った。  点字図書館を取り巻く情勢や東日本大震災での視覚障害者の支援態勢の報告のあと、特別イベントとして日本盲導犬協会の職員が「視覚障害者の自立と盲導犬の役割」と題して講演。PR犬2頭のパフォーマンスも加えて=写真、実際の訓練の様子や障害者をサポートする盲導犬の特性などについて理解を深めた。  その後、ボランティア同士の懇談に移り、和やかに過ごした。 ●人事 (10月1日・カッコ内は前職) 点字出版所=山本令子編集課主任(編集課員)、古澤光江印刷課主任(印刷課員) ---------- “視覚障害者と共に” 社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会 ホームページもご覧ください。 http://www.thka.jp