東京ヘレン・ケラー協会会報 青い鳥 第17号 2011年7月1日発行 発行人:三浦 拓也 編集人:石原 尚樹 発行:広報委員会 社会福祉法人 東京ヘレン・ケラー協会                      〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-20 本部、ヘレン・ケラー学院 電話 03(3200)0525 FAX 03(3200)0608 点字図書館 電話 03(3200)0987 FAX 03(3200)0982 点字出版所、盲人用具センター、海外盲人事業交流事務局 〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-4 電話 03(3200)1310 FAX 03(3200)2582 ホームページもご覧ください。 http://www.thka.jp/ -------------------------------------------------- インデックス: ●学院入学式 11人が決意 ●音訳・点訳ボランティア養成講習会 ●平成22年度事業報告 ●平成23年度事業計画 ●法人貸借対照表 ●事業活動収支計算書 ●資金収支計算書 ●大震災 その時協会は・・・ ●年賀寄附金配分事業完了のお知らせ ●皆様ありがとうございました 平成22年度東京ヘレン・ケラー協会賛助会員及び一般寄付者名簿 ●就業規則を全面改定 点字出版所 ●大震災直後に学院卒業式 ●チャリティーコンサート成功の立役者 運営委員会を表彰 ●人事 -------------------------------------------------- ●学院入学式 11人が決意   ヘレン・ケラー学院は4月6日、同学院講堂で平成23年度入学式及び始業式を行った。今年度の入学者は新入生10人(高等課程7人、専門課程3人)、2年編入生1人の計11人。新入生を代表して木村祥子さんが「私たちは失ったものがありますが、いつまでもくじけてはいられないと学院の扉をたたきました。これから社会人として自立し、社会貢献するための資格を得るべく努力してまいります」と誓いの言葉を読み上げた。  三浦拓也学院長は冒頭で東日本大震災で被災した方へのお見舞いの言葉を述べたあと「これから資格を取るため勉学に励むことになりますが、それは決してなま易しいものではありません。この新たな決意をぜひ持ち続けてください」と激励した。 ●音訳・点訳ボランティア養成講習会  同時並行で開催 点字図書館  点字図書館は今春、音訳ボランティア養成講習会と点訳ボランティア養成講習会を相次いでスタートさせた。二つの講習会が並行して開かれるのは珍しい。  点字図書館には実働する協力ボランティアが114人在籍している(音訳44人、点訳59人、図書整理11人=ボランティア保険登録者数)。これらのボランティアの支えで点字図書館が動いているといっても過言ではないが、ボランティア数は年々減少する傾向にある。家庭の事情や高齢化などで活動が難しくなるなど、やむを得ない事情がほとんどだが、読書を楽しむ利用者のために、たくさんの図書を提供するボランティアの充実は、点字図書館の大事な仕事だ。そこで、点字図書館ではボランティア養成が義務づけられている。  先行してスタートした音訳ボランティア養成講習会は、2月にホームページで告知を開始、新宿区広報も使って受講者を募った。十数人が申し込んできたため4月20日に説明会及び選考が行われ、最終的に8人(うち男性1人)が受講生となった。8人はやや少ないが、音訳ボランティアとして継続して活躍していただくには、厳しい条件をつけざるを得ず、少数精鋭型の講座となってしまうのはやむを得ない。  講師は点字図書館の堀江達朗職員があたる。堀江職員は全視情協や日盲社協の録音関連プロジェクトでも活躍していて多忙の身だが、評価の高い同館の録音図書の質を落とさないよう、受講生を厳しく指導している。講習会は隔週水曜日に設定しており、最終は来年3月までという長丁場になっている。  後発の点訳ボランティア養成講習会は6月7日に第1回の講習会を開いた。実は点訳関係は昨年も開いたのだが、もう少し補充する必要があり、講師の千葉一郎職員が「今年もやります」と声を上げた。受講生は14人で、男性は2人。今回は通信教育などで点字に触れた人も数人おり、改めて点字の基礎から学び直したいと意欲的だ。  点訳講習会は毎週火曜日に開催するので修了は9月下旬の予定。その後、腕を上げた人から順次点訳グループに入ってもらい、活動を開始する。 (写真説明)勉強する音訳ボランティア養成講習受講生 ●平成22年度事業報告  【創立60周年記念チャリティーコンサート・第60回ヘレン・ケラー記念音楽コンクール 】  ハッピー60thコンサートをナチュラリープラスの特別協賛、毎日新聞社などの後援で、1月23日に東京・晴海の第一生命ホールで開催した。ヴァイオリンの和波孝Aさんら出演者全員が視覚障害者のコンサートに、惜しみない拍手が送られた。  へレン・ケラー記念音楽コンクールをJT共催、ソシエテ ジェネラル証券会社の協賛、文部科学省などの後援で、11月20日に東京・虎ノ門のJTアートホール アフィニスで開催、全国から55人が参加した。韓国の中学生キム・チソンさんに最高賞のヘレン・ケラー賞が贈られた。  【視覚障害者ガイドヘルパー養成研修事業】  実技重視のカリキュラムと充実した講師陣による研修は評価が高く、キャンセル待ちが相次いだ。平成22年度は主催研修4回と「東京しごと財団」からの委託研修1回の計5回の研修を開催した。  【ヘレン・ケラー学院】 10人の新入生を迎え40人で新学期が始まったが、4人が就職や病気で中途退学した。卒業生・修了生は14人。国家試験ではあん摩マッサージ指圧師に10人中8人合格。はり師きゅう師にそれぞれ6人が受験、はり師に5人、きゅう師に全員が合格した。教育環境の整備では、ソシエテ ジェネラルの支援で経穴人像、CDコピー機、拡大読書器を購入。出光文化福祉財団の助成で学院ホールの照明設備と実技室Aの空調設備を更新した。  【点字図書館】  全国視覚障害者情報提供施設協会(全視情協)が構築した視覚障害者情報総合ネットワーク(サピエ)が本格的に稼働し、音訳図書製作環境も大きく変わった。当図書館はパイロット館として、プロジェクトの中心的役割を果たした。設備・備品では、ソシエテ ジェネラル証券会社の助成で貸出用デイジー再生機を10台購入した。視覚障害者職員のピンディスプレイを更新し、点字指導向上に努めた。点訳ボランティア養成講習会を開き8人が修了した。サポートグッズフェアを盲人用具センターと協力して8月18日に開催した。  【点字出版所】 職員の協力と努力により収支を改善することができた。受託印刷は地方自治体の定期広報点字版20紙を受託・発行。選挙公報では日盲委選挙プロジェクトとして参議院選挙のお知らせ(点字版・テープ版)を協同で製作・発行した。文部科学省から新教育課程の小学校算数の教科書を受託・製作し前期分を納めた。民需では携帯電話取扱説明書、レストランチェーンの点字メニュー、音楽CDの解説書などを受託・製作した。  【盲人用具センター】  地デジ放送完全移行を控え、盲人用具センター職員が総務省認定の地デジ説明員として、地デジ対応テレビを使った説明会を開催した。 ●平成23年度事業計画  【ヘレン・ケラー学院】 東京都を最重点地域として入学希望者の掘り起こしに全力を挙げる。5年課程の特色を十分に生かしてきめ細かな募集活動をする。また、[就学支援金制度]の拡充に力を入れる。国家試験の全員合格を目指し受験指導を強化する。  【点字図書館】 多様な機能を持つ視覚障害者情報総合ネットワーク(サピエ)のパイロット館として実績を積んだ点字図書館は、指導的な役割を果たし読者サービスの向上を図る。デイジー図書利用者の要望に迅速に応えられるように機器導入を進める。点訳ボランティア養成講習会を23年度も開催。音訳ボランティア養成講習会も3年ぶりに開催する。視覚障害者への点字・パソコン講習会も引き続き開催する。好評のサポートグッズフェアを盲人用具センター、学院と共催する。所蔵図書スペースを確保する対策を講ずる。  【点字出版所】  さらなる経営安定化のために生産性を高め、業務の効率化に取り組み、収益向上を目指す。前年度以上に地方自治体の「点字広報」などの受託印刷の受注に力を注ぎ、「点字、音訳パンフ」などを民間企業、公益団体などに幅広く提案し、着実に収入につなげる。選挙公報は点字版だけではなく、カセットテープやCDなどの音声版の受注を視野に入れて録音課の体制や機材の整備を進める。 ●法人貸借対照表 平成23年3月31日現在 (単位:円) 【資産の部】 ※勘定科目、当年度末、前年度末、増減の順 ○流動資産 (105,907,254) (99,351,907) (6,555,347)  現金預金 86,408,299 58,213,548 28,194,751  有価証券 0 0 0  未収金 8,381,295 29,974,246 △21,592,951  貯蔵品 10,311,313 10,150,781 160,532  立替金 0 0 0  前払金 636,625 773,186 △136,561  短期貸付金 0 0 0  仮払金 0 0 0  その他の流動資産 169,722 240,146 △70,424 ○固定資産 (637,539,037) (653,517,148) (△15,978,111) ○基本財産 (162,344,692) (164,364,500) (△2,019,808)  建物 22,587,216 24,607,024 △2,019,808  土地 99,757,476 99,757,476 0  基本財産特定預金 40,000,000 40,000,000 0 ○その他固定資産 (475,194,345) (489,152,648) (△13,958,303)  建物 167,310 186,073 △18,763  構築物 162,291 189,089 △26,798  機械及び装置 54,610,877 61,431,376 △6,820,499  車輌運搬具 0 0 0  器具及び備品 7,009,759 7,936,455 △926,696  土地 0 0 0  建設仮勘定 0 0 0  権利 0 0 0  投資有価証券 0 0 0  長期貸付金 0 0 0  公益事業会計元入金 0 0 0  収益事業会計元入金 0 0 0  措置施設繰越特定預金 1,000,000 1,000,000 0  その他の積立預金 411,055,153 417,933,213 △6,878,060  その他の固定資産 1,188,955 476,442 712,513 -------------------- ◎資産の部合計 743,446,291 752,869,055 △9,422,764 【負債の部】 ※勘定科目、当年度末、前年度末、増減の順 ○流動負債 (22,242,327) (21,200,637) (1,041,690)  短期運営資金借入金 0 0 0  未払金 5,723,357 6,493,506 △770,149  預り金 925,537 897,371 28,166  前受金 13,738,900 11,783,060 1,955,840  仮受金 0 0 0  賞与引当金 1,854,533 2,026,700 △172,167  その他の流動負債 0 0 0 ○固定負債 (66,478,360) (72,456,420) (△5,978,060)  設備資金借入金 0  0  0  長期運営資金借入金 0  0  0  退職給与引当金 66,478,360 72,456,420 △5,978,060 --------------------- ◎負債の部合計 88,720,687 93,657,057 △4,936,370 【純資産の部】 ※勘定科目、当年度末、前年度末、増減の順 ○基本金 (17,849,770) (17,849,770) (0) ○国庫補助金等特別積立金 (34,233,724) (38,526,342) (△4,292,618) ○その他の積立金 (345,576,793) (346,476,793) (△900,000)  人件費積立金 30,000,000 30,000,000 0  施設整備等積立金 71,406,793 71,406,793 0  その他の積立金 244,170,000 245,070,000 △900,000 ○次期繰越活動収支差額 (257,065,317) (256,359,093) (706,224)  次期繰越活動収支差額 257,065,317 256,359,093 706,224  (うち当期活動収支差額) (△193,776) (13,966,459) (△14,160,235) ----------------------- ◎純資産の部合計 654,725,604 659,211,998 △4,486,394 ◎負債・純資産合計 743,446,291 752,869,055 △9,422,764 ※脚注 1 減価償却費の累計額  当年度末 312,059,333円  前年度末 299,289,178円 2 徴収不能引当金の額  当年度末 3,455円  前年度末 7,240円 ●事業活動収支計算書 (自)平成22年4月1日 (至)平成23年3月31日 (単位:円) ※勘定科目、本年度決算、前年度決算、増減の順 【事業活動収支の部】 ◎収入 措置費収入 37,249,920 37,237,160 12,760 授業料収入 33,881,400 32,863,200 1,018,200 事業収入 174,058,978 210,531,784 △36,472,806 経常経費補助金収入 10,152,000 10,330,400 △178,400 寄附金収入 8,700,235 12,073,175 △3,372,940 雑収入 11,769,707 6,540,057 5,229,650 引当金戻入 11,853,174 5,312,200 6,540,974 国庫補助金等特別積立金取崩額 6,750,117 4,345,789 2,404,328 ----------------- ○事業活動収入計(1) 294,415,531 319,233,765 △24,818,234 ◎支出 人件費支出 211,867,144 214,659,859 △2,792,715 事務費支出 22,795,637 26,622,545 △3,826,908 事業費支出 42,208,900 51,120,419 △8,911,519 減価償却費 13,988,423 8,603,753 5,384,670 徴収不能額 0 251,805 △251,805 引当金繰入 5,699,162 6,117,360 △418,198 ----------------- ○事業活動支出計(2) 296,559,266 307,375,741 △10,816,475 ◎事業活動収支差額(3)=(1)-(2) △2,143,735 11,858,024 △14,001,759 【事業活動外収支の部】 ◎収入 受取利息配当金収入 1,949,959 2,108,449 △158,490 会計単位間繰入金収入 1,964,407 2,108,435 △144,028 経理区分間繰入金収入 100,000 0 100,000 ----------------- ○事業活動外収入計(4) 4,014,366 4,216,884 △202,518 ◎支出 会計単位間繰入金支出 1,964,407 2,108,435 △144,028 経理区分間繰入金支出 100,000 0 100,000 資産評価損 0 0 0 ----------------- ○事業活動外支出計(5) 2,064,407 2,108,435 △44,028 ◎事業活動外収支差額(6)=(4)-(5) 1,949,959 2,108,449 △158,490 ◎経常収支差額(7)=(3)+(6) △193,776 13,966,473 △14,160,249 【特別収支の部】 ◎収入 施設整備等補助金収入 2,457,500 20,400,000 △17,942,500 施設整備等寄附金収入 0 0 0 固定資産売却益 0 0 0 国庫補助金等特別積立金取崩額 1 7 △6 ---------------- ○特別収入計(8) 2,457,501 20,400,007 △17,942,506 ◎支出 基本金組入額 0 0 0 固定資産売却損・処分損 1 21 △20 国庫補助金等特別積立金積立額 2,457,500 20,400,000 △17,942,500 ---------------- ○特別支出計(9) 2,457,501 20,400,021 △17,942,520 ◎特別収支差額(10)=(8)-(9) 0 △14 14 ◎当期活動収支差額(11)=(7)+(10) △193,776 13,966,459 △14,160,235 【繰越活動収支差額の部】 ◎前期繰越活動収支差額(12) 256,359,093 200,837,427 55,521,666 ◎当期末繰越活動収支差額(13)=(11)+(12) 256,165,317 214,803,886 41,361,431 基本金取崩額(14) 0 0 0 基本金組入額(15) 0 0 0 その他の積立金取崩額(16) 900,000 42,455,207 △41,555,207 その他の積立金積立額(17) 0 900,000 △900,000 ◎次期繰越活動収支差額(18)=(13)+(14)-(15)+(16)-(17) 257,065,317 256,359,093 706,224 ●資金収支計算書 (自)平成22年4月1日 (至)平成23年3月31日 法人名:社会福祉法人 東京ヘレン・ケラー協会 (単位:円) ※勘定科目、予算、決算、差異の順 【経常活動による収支】 ◎収入 措置費収入 37,250,000 37,249,920 80 授業料収入 33,881,000 33,881,400 △400 事業収入 172,006,000 174,058,978 △2,052,978 経常経費補助金収入 10,450,000 10,152,000 298,000 寄附金収入 7,360,000 8,700,235 △1,340,235 雑収入 11,463,000 11,769,707 △306,707 受取利息配当金収入 1,940,000 1,949,959 △9,959 会計単位間繰入金収入 2,272,000 1,964,407 307,593 経理区分間繰入金収入 100,000 100,000 0 -------------- 経常収入計(1) 276,722,000 279,826,606 △3,104,606 ◎支出 人件費支出 213,525,000 211,867,144 1,657,856 事務費支出 22,878,000 22,795,637 82,363 事業費支出 43,690,000 42,208,900 1,481,100 会計単位間繰入金支出 2,272,000 1,964,407 307,593 経理区分間繰入金支出 100,000 100,000 0 -------------- 経常支出計(2) 282,465,000 278,936,088 3,528,912 ◎経常活動資金収支差額(3)=(1)-(2) △5,743,000 890,518 △6,633,518 【施設整備等による収支】 ◎収入 施設整備等補助金収入 2,458,000 2,457,500 500 施設整備等寄附金収入 0 0 0 固定資産売却収入 0 0 0 --------------- 施設整備等収入計(4) 2,458,000 2,457,500 500 ◎支出 固定資産取得支出 4,899,000 4,888,373 10,627 -------------- 施設整備等支出計(5) 4,899,000 4,888,373 10,627 ◎施設整備等資金収支差額(6)=(4)-(5) △2,441,000 △2,430,873 △10,127 【財務活動による収支】 ◎収入 借入金収入 0 0   0 積立預金取崩収入 10,720,000 10,720,000 0 その他の収入 0 0 0 -------------- 財務収入計(7) 10,720,000 10,720,000 0 ◎支出 借入金元金償還金支出 0 0 0 積立預金積立支出 3,842,000 3,841,940 60 流動資産評価減等による資金減少額等 0 0 0 -------------- 財務支出計(8) 3,842,000 3,841,940 60 ◎財務活動資金収支差額(9)=(7)-(8) 6,878,000 6,878,060 △60 ◎予備費(10) 794,000 0 794,000 ◎当期資金収支差額合計(11)=(3)+(6)+(9)-(10) △2,100,000 5,337,705 △7,437,705 ◎前期末支払資金残高(12) 80,185,210 80,185,210 0 ◎当期末支払資金残高(11)+(12) 78,085,210 85,522,915 △7,437,705 ●大震災 その時協会は・・・  “再び”に備え、対策急務  3月11日の東日本大震災で、東京23区でも震度5強の揺れを観測した。協会建物の一部に軽微なヒビが入り、ヘレン・ケラー学院の拡大読書器2台が破損し、点字図書館の書架からは点字書籍が崩れ落ちた=写真。しかし、職員や学生、ボランティア、利用者等の人的被害はまったくなく、速やかな自主避難もできて、日頃の防災避難訓練の成果が十分発揮された。  ただ、当日はJR等が全面ストップしたため、いわゆる帰宅難民となって、協会に1泊せざるを得なかった職員・教員・学生が計14人も出た。しかし、学院の治療用毛布に加え、点字出版所が約25年も前に備蓄した毛布が29枚あったので、温かく宿泊することができたのは幸運だった。  新館は、昨春の新型点字印刷機GPB3導入にあたって地下室を強化した。また、1階のGPB3の固定に際しては、平成7年7月に導入したドイツ製の針金製本機もついでにアンカーボルトを打って固定した。実に15年間も無防備だったのだが、これを怠っていたら、数百万円の製本機がおシャカになったどころか、近くに職員がいたらとても危険だっただろう。  思わぬ幸運もあって被害は少なく、胸をなで下ろしたが、震災を教訓に見えた課題もあった。  その一つは、震度5強には耐えたものの、協会の建物が耐震強度という点で明らかに問題があり、東京都に助成を申請して改修するということである。これは大震災前から予定されていたことなのだが、改めて実現に向けて石原尚樹常務理事を中心にプロジェクトチームが組織され、一歩大きく踏み出した。  また、今回の大震災を今後の教訓とするため、震災直後の3月14日、被災者アンケート調査を協会全体で実施、3月22日までにパートを含む全職員から回収した。その結果、指示待ちの職員が多かったことを踏まえ、点字出版所が震災対策委員会を組織して「震災等における職員の行動基準」を整備し、震災時にどのような行動をとったらいいかマニュアル化することにした。まとめたところで学院や図書館にも問題提起して、内容を吟味・検討してもらう計画である。  3月に行われた東京電力による「計画停電」の影響では、全国的に点字用亜鉛板が入手困難になった。このため、一部地方自治体にお願いして、点字広報を点字印刷から点字プリンターによる出力に変更せざるを得ない事態に陥った。  これは、6月23、24の両日、静岡市で開かれた第59回全国盲人福祉施設大会で問題提起した。わが国で点字用亜鉛板を製造している会社はただ1社なので、日盲社協点字出版部会を中心に安定供給の実現を各方面に訴えていく必要があると判断したからだ。この件は大会決議にも取り上げられ、安定供給に一歩近づいた。 ●年賀寄附金配分事業完了のお知らせ  この度、郵便事業株式会社から平成22年度年賀寄附金の配分を受け、下記事業を完了致しました。  ここに事業完了のご報告を申し上げますと共に、郵便事業株式会社をはじめ、ご協力を賜りました関係者の皆様に謹んで感謝の意を表します。   記 一、事業名 視覚障害者向け音声CD制作のためのCDデュプリケート機器の設置事業 二、事業総額 百五十一万千二百円 三、寄附金配分額 百四十五万七千五百円 四、購入機器 オタリVDP-208 、エプソンPP-100、NECバリュースターパソコンVL350A 五、完了年月日 平成二十二年七月七日 ●皆様ありがとうございました 平成22年度東京ヘレン・ケラー協会賛助会員及び一般寄付者名簿  ◆賛助会員(敬称略)  【本部扱い】  伊東久雄、北村徹雄、須藤美津子  【ヘレン・ケラー学院扱い】  新井定一、石田元治、海老原隆、大岩妙子、大金三郎、大島千恵子、大西榮一、愛宕洋志、神作悦穂、川上喜美子、菅聆子、黒沢絵美、ケイ・クリニック滝沢光、小谷政夫、駒沢金平、小渡久美子、志賀信明、鈴木八重子、高山米子、田中英子、中島憲一、橋本三郎、早見尚三、比嘉芳子、福山博、貢利一、渡邊弘子  【点字図書館扱い】  青木弘、青木素子、秋山由美子、飯田新平、石原直美、磯崎治子、大岩妙子、小澤洋平、辛島寛、金倫子、桑原寿美、小池輝勇、新葉雅一、高橋敏朗、田島静枝、田代芙美、谷合淑二朗、土居義則、寺崎哲治、橋本三郎、原田秀夫、東山寛、前田律子、安井稔  ◆一般寄付(敬称略)  【本部扱い】  安藤章子、石田武義、伊東久雄、稲山輝機、岩田敬子、岩屋芳夫、薄井和子、片井良江、川上静子、北村徹雄、小林洋、小林洋司、斉藤勝美、柴誠、須藤美津子、東京新宿北ライオンズクラブ、長岡英司、根本博行、長谷川航、原ちえこ、藤井清光、藤元節、堀田雅美、本常倫子、前田智子、森一起、ソシエテ ジェネラル証券会社東京支店、毎日新聞東京社会事業団、毎日新聞社点字毎日編集部、毎日新聞社事業本部、東京ヘレン・ケラー協会後援会  【ヘレン・ケラー学院扱い】  熱海彌生、アトリエAM斉藤紀代、新井定一、池田令子、上之薗誠二、薄井五十公、大島千恵子、大西榮一、小栗誠夫、愛宕洋志、小幡亮、加瀬峯夫、金井定春、黒岩康孝、黒沢絵美、斉城信夫・美子、桜井千鶴子、鹿濱秋信、菅田亜季、杉田安男、玉住博、平原皓一郎、福井愛子、藤元節、ぺぇから、星野博子、町田克夫、松田恭男、森脇キヨ、八木千鶴明、山崎登志夫、横田尚、横山勝幸、吉岡諄、毎日新聞東京社会事業団、ソシエテ ジェネラル証券会社東京支店  【点字図書館扱い】  浅井祥子、浅見房江、芦澤貢、伊勢沢信吉、磯辺恵子、市角誠、出田敦子、伊藤正光、伊藤隆一、稲垣るみ子、猪股栄二、梅津正道、浦田実、榎澤治久、江良昭雄、及川清志、大黒政男、大石文雄、大宇根茂子、太田勇、岡眞太郎、小澤淑子、乙幡初枝、片野尚、勝部令子、金本ヒナコ、神谷純寛、河村芳輝、神原宏臣、菊地親子、菊地寛子、木原正、木村富子、経塚良未、岸本茂、劔持叡、古池竹之、五味秀春、斉藤紀年夫、斉藤由紀子、酒井町子、佐子田信夫、佐々木宗雅、佐々木晴恵、塩尻抄子、清水奈美江、志村富雄、白川恵美子、白野佳男、鈴木直樹、鈴木康子、関喜之助、井隆、田代芙美、田中千代、谷口旭、田村徳章、田村みどり、丹野喜美枝、土屋圭子、戸原武巳、戸沼京子、中里弘、仲村陽一、新山忠義、二宮和美、信沢紀久雄、埜村政雄、馳尾美紗子、畑千尋、羽田文代、早川文治郎、原山達雄、広田碩佑、福島ふさ子、藤井清光、藤田芳雄、藤田ひろ子、藤根輝男、部田ヨシ子、星合清輝、前田資子(勝洋)、松田千富美、水野文夫、溝口和子、宮本牧子、武藤眞佐子、村上工、諸岡和彦、山内経、山口義雄、山崎敞、山田あき子、山谷靖彦、油布勝美、四元勝一、寄兼邦裕、渡瀬伸、渡邊亨、渡邊征美、(株)日東、大和印刷、ソシエテ ジェネラル証券会社東京支店、毎日新聞東京社会事業団  【点字出版所扱い】  岡田正平、杉田安男、星慶典、エムコマース(株)、斉藤書店、毎日新聞東京社会事業団  【海外盲人交流事業事務局扱い】  青木貞子、在田一則、安藤生、池田令子、石井芳重、石井浩介、石田隆雄、一幡良利、伊藤啓子、岩屋芳夫、植竹清孝、上野伊律子、上村小夜子、ウシフサヒサコ、馬野将幸、遠藤亀松、遠藤利三、大橋東洋彦、岡本好司、落合夕子、小野塚耕吉、貝元利江、勝山良三、金田敏子、菊井維正、黒見恵美子、小泉周二、肥塚隆、肥塚美和子、古賀副武、小島亮、後藤晴子、後藤良一、小長谷正夫、小林明子、小森愛子、斎藤惇生、酒井久江、坂入操、坂口廣光、坂斉勝男、指田忠司、佐藤達夫、佐橋忠明、菅原温子、杉沢宏、鈴木俊勝、鈴木洋子、染矢朝子、高橋恵子、竹脇美帆子、田中徹二、田中正和、谷内正史、田伏淳一郎、田村富子、照井タカ子、当津順子、当山啓、鳥羽田節、中尾照美、長岡英司、中嶋千代志、中村保信、奈良泰夫、成沢千賀子、野津虎雄、野中省三、橋本時代、林紘子、原田美男、福山博、藤元節、藤芳衛、本間昭雄、前山博、間下勉、増田光子、松浦健三、松下信雄、三原富美子、御本正、森山朝正、山田隆造、山本幸子、横大路俊久、渡辺勇喜三、(有)大本印刷・大本堅治、岐阜県立岐阜盲学校高等部生徒会、小林動物病院、下館ロータリークラブ、シャンバロー芸能事務所・白井雅人、(有)信和ハウス、(株)社高垣商店、養護盲老人ホームひとみ園・茂木幹央、山辻医院・山辻英也  (物品寄付)梶原剛、酒井久江、山内有希 ●就業規則を全面改定 点字出版所  協会の一体化に一歩  点字出版所は4月1日付で就業規則を改定した。同出版所の就業規則は昭和49年に現行のものに制定されてから、数度にわたって小規模な改定をしてきたが、今回半年をかけて全面的な見直しを進め、3月の理事会に提出、承認を受けた。  従来、協会には本部、学院、点字図書館が対応している協会就業規則とは別に点字出版所の就業規則が併存していた。これは創立当初から点字出版所の置かれていた事情により協会内で独自の路線を敷いていたため、やむを得ない面もあったが、協会の一体性を妨げる要因の一つだとして、「統一化」が大きな目標になっていた。  しかし、見直しを進めているうちに休日・休暇、賃金等、長い歴史のなかで運用されてきた条項を協会と同じものにするには、現状の体制では混乱する恐れがあることが分かった。そこで今回は完全一本化を見送り、混乱をきたさない範囲で調整を図った。  一方、協会の就業規則にも不備が見つかったため、点字出版所の条項の中から必要な部分を抜き出して加えるなど、結局2本立てで改定された。  点字出版所就業規則を見直す際は、@これまでより条件を厳しくせず、労働環境を改善すること、A可能な限り協会の就業規則条項と同じ順序、同じ文章とし、例外規定をなるべく少なくすること―に重点を置き、課長会や職員討議を経て、成案となった。  就業規則の完全一本化が究極の目標だが、条件整備には難題が山積している。時間をかけてじっくり検討する必要がありそうだ。 ●大震災直後に学院卒業式  6人、意欲新た  平成22年度ヘレン・ケラー学院卒業式・修了式は3月14日、同学院講堂で行われた。東日本大震災直後ということもあり、安全確認が取れ、列席できる関係者のみで開催したため、式は予定していた人数の半分の規模となった。  22年度卒業生は3年課程2人と5年課程4人。5年課程の3年課程(あん摩マッサージ指圧科)修了生8人、計14人に卒業証書、修了証書が授与された。1年間を通じて学業成績優秀者に贈られる優等賞は9人が受賞した。  三浦拓也学院長は「充実した人生を歩み、誠心誠意施術をしてほしい。それこそが最大の感謝の意である」と激励。卒業生代表は「5年間大変お世話になりました。今日の卒業式を喜ぶべきか悲しむべきか。いずれにしても心に残る卒業式になりました」と答辞を読んだ。最後に全員の拍手で卒業生を送り出した。 ●チャリティーコンサート成功の立役者 運営委員会を表彰  1月23日に開催した協会創立60周年記念チャリティー「ハッピー60thコンサート」は大成功に終わったが、この運営にあたった記念事業運営委員会に対し就業規則に則って3月4日、表彰した。  ★60周年記念事業運営委員会(大久保美智子、小川百合子、馬場敏、森田伸、川西幸治)=チャリティーコンサートにおける多大の貢献に対して。 ●人事(4月1日・カッコ内は前職) 点字出版所=寺田裕之録音課長(録音課長補佐)、佐々木晃印刷課長補佐(印刷課主任)、録音課長職を解く=福山博点字出版所長 ---------- “視覚障害者と共に” 社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会 ホームページもご覧ください。 http://www.thka.jp