東京ヘレン・ケラー協会会報 青い鳥 第17号 2010年1月25日発行 発行人:三浦 拓也 編集人:石原 尚樹 発行:広報委員会 社会福祉法人 東京ヘレン・ケラー協会                      〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-20 本部、ヘレン・ケラー学院 電話 03(3200)0525 FAX 03(3200)0608 点字図書館 電話 03(3200)0987 FAX 03(3200)0982 点字出版所、盲人用具センター、海外盲人事業交流事務局 〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-4 電話 03(3200)1310 FAX 03(3200)2582 ホームページもご覧ください。 http://www.thka.jp/ -------------------------------------------------- インデックス: ●協会創立60周年記念チャリティーハッピー60thコンサート ●障害者福祉館が「音楽とシンポジウム」 ●第60回ヘレン・ケラー記念音楽コンクール ●新学院長に三浦理事長 ●2010年度ヘレンケラー・サリバン賞 ●36回点字図書館ボランティア懇親会 ●学院総会懇親会に75人出席 ●サポートグッズフェア 8月開催 -------------------------------------------------- ●協会創立60周年記念チャリティーハッピー60thコンサート  大成功    協会創立60周年記念チャリティー「ハッピー60thコンサート」(後援=毎日新聞社、毎日新聞東京社会事業団、点字毎日、特別協賛=(株)ナチュラリープラス、協賛=スタンダードチャータード銀行、カンナム障害者福祉館)は1月23日、第一生命ホール(東京都中央区晴海)で開かれ、600人を超すお客様とともに、クラシック演奏の数々を楽しんだ。  午後1時半の開場を前に大勢の方が訪れ、公演への期待と熱気がいやおうなく盛り上がる中、午後2時に第1部がオープン。武久源造さんのチェンバロによるバッハの名曲でスタートし、澤田理絵さんのソプラノ歌曲、綱川泰典さんのフルート2曲、韓国からのゲスト、イ・ジェヒョクさんのショパンのピアノ曲など、多彩な演奏を繰り広げた。  第2部では出演者による協演。和波たかよしさんとイ・ジェヒョクさんによるベートーベンのスプリングソナタは、会場を陶酔させた。  みわつゆみさんの司会で出演者のインタビューなども折り込み、最後は出演者全員が舞台にそろって、お客様との交流を深めた。  会場で募金を呼びかけたところ多くの方が快く応じてくれた。チャリティーの収益と募金は、視覚障害者支援のために有効に活用させていただく。 (写真説明)公演の最後に舞台上で挨拶する左からイさん、澤田さん、和波さん、武久さん、綱川さん、みわさん ●障害者福祉館が「音楽とシンポジウム」  チャリティーコンサートに協賛した韓国のカンナム障害者福祉館は1月22日、日本点字図書館で東京ヘレン・ケラー協会、国際視覚障害者援護協会(IAVI)と共催による「日韓友好『音楽とシンポジウム』の集い」を開いた。  第1部はヘレン・ケラー学院の和出野充洪先生をリーダーとした声楽集団「ヴォーチェ・アプリート」がイタリア歌曲を中心に、韓国の有名な歌曲「カゴパ」(ふる里に帰りたい)も織り交ぜて歌い盛り上がった。  第2部は山口和彦IAVI事務局長の司会でパネルディスカッション。カンナム障害者福祉館のパク・ジョングン館長ら4人の関係者が同館の役割や韓国での文化芸術活動について報告し、約50人の参加者と熱心な討議を繰り広げた。   ●第60回ヘレン・ケラー記念音楽コンクール  ヘレン・ケラー賞は韓国の金知善さん   卓抜したヴァイオリン演奏  第60回ヘレン・ケラー記念音楽コンクールが2010年11月20日、JTアートホール アフィニス(東京都港区)で開かれ、もっとも感動を与えた演奏者に贈られるヘレン・ケラー賞は、弦楽器の部・ヴァイオリンでメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲第1楽章を演奏して1位になった韓国ソウル特別市私立ハンビット盲学校・中学2年の金知善(キム・チソン)さんが受賞した。 今年はコンクール開催60回という節目の年にあたり、器楽、声楽の2部門に児童、生徒、学生ら55人が出場、例年になく盛り上がった。 特別演奏は、2006年の全日本学生音楽コンクール高校の部で1位になり、現在桐朋学園大学音楽学部3年に在籍中のロー磨秀さんがバッハ、リストなどのピアノ曲を披露し、喝采を浴びた。 審査はヴァイオリニストの和波たかよし、鍵盤楽器演奏家の武久源造、合唱指揮者の淡野弓子、毎日新聞専門編集委員の梅津時比古の4氏があたったが、和波氏は講評で「60回記念にふさわしい、未来の希望を感じさせるすばらしいコンクールだった」と出演者全員を賞賛した。  入賞者は次の通り。(敬称略、数字は学年) 【ピアノの部・小学生低学年】  1位=鈴木理子(岐阜県立岐阜盲・3)  2位=佐藤翔(筑波大附属視覚特別支援・2)  3位=該当者なし  奨励賞=前島怜佳(東京都新宿区立西戸山・3) 【ピアノの部・小学生高学年】  1位=水野隆(筑波大附属視覚特別支援・6)  2位=菅田利佳(和歌山県立和歌山盲・4)、藤吉乙羽(愛知県立岡崎盲・6)  3位=該当者なし  奨励賞=岩月かほり(愛知県立名古屋盲・4) 【ピアノの部・中学生】  1位=該当者なし  2位=該当者なし  3位=該当者なし  奨励賞=千頭和達(千葉県立千葉盲・2)、道原佳歩(筑波大附属視覚特別支援・3) 【ピアノの部・高校生以上】  1位=越崎沙絵(筑波大附属視覚特別支援・高1)  2位=該当者なし  3位=庄司彩夏(宮城県立視覚支援・高2)  奨励賞=土田絵梨沙(大阪府立視覚支援・専1)、山中梓(筑波大附属視覚特別支援・専2) 【弦楽器の部・ヴァイオリン】  1位=金知善  2位=該当者なし  3位=株竹大智(東京都立葛飾盲・中2)  奨励賞=菅田利佳(和歌山県立和歌山盲・小4) 【独唱1部】  1位=該当者なし  2位=名波愛莉(静岡県立静岡視覚特別支援・中1)、辻本実里(大阪府立視覚支援・中1)  3位=梶田実里(愛知県立名古屋盲・中3)  奨励賞=櫻井優(埼玉県立特別支援塙保己一学園・中2) 【独唱2部】  1位=渡邊順子(筑波大附属視覚特別支援・専3)  2位=横井秀平(大阪府立視覚支援・高3)  3位=官文晶(大阪府立視覚支援・高2)  奨励賞=服部澄香(京都府立盲・専1)、紀野千幸(大阪府立視覚支援・専2) 【重唱・合唱の部】  1位=該当者なし  2位=辻本実里・上村龍夏(大阪府立視覚支援 中1・2)、筑波大附属視覚特別支援 中1・2・3 9名)  3位=ヘレン・ケラー学院(専1・2 13名) 【ヘレン・ケラー賞】  金知善 (写真説明)三浦理事長からヘレン・ケラー賞を受ける金知善さん ●新学院長に三浦理事長  東京ヘレン・ケラー協会は12月8日、当協会3階ホールで理事会・評議員会を開き、藤元節ヘレン・ケラー学院長の12月31日付での退任など一連の人事を承認した。  藤元学院長は6月の理事会で理事長職を退任したが、同学院のカリキュラム変更など処理のため年末まで継続して就任していた。後任は三浦拓也理事長があたる。同時に藤元氏の理事・評議員職の12月8日付退任も承認された。新理事は福山博点字出版所長、新評議員は山口恒夫毎日新聞東京社会事業団常務理事。 ●2010年度ヘレンケラー・サリバン賞  日本ライトハウス会長岩橋明子さんに  協会ホールで贈賞式   2010年度ヘレンケラー・サリバン賞は視覚障害者の国際交流分野のパイオニアで、我が国でただ1人、世界盲人連合(WBU)終身名誉会員である社会福祉法人日本ライトハウス会長、岩橋明子さんに決定した。  10月1日午後2時から当協会3階ホールで、今年度のヘレンケラー・サリバン賞受賞者、岩橋明子さんへの贈賞式を行った。式には日本ライトハウスの木塚泰弘理事長も駆けつけ、岩橋さんの受賞を祝福した。  三浦拓也理事長が、本賞(賞状)を贈ったあと、 副賞のヘレン・ケラー女史の直筆サインを刻印したクリスタルトロフィーは田中徹二選考委員長が手渡した。田中委員長は「1970年、歩行訓練士講習会を立ち上げたご主人の英行氏を支えるなど長年にわたって視覚障害者のために活動されてきたことや国際的な活躍を続けてきた業績を評価し、満場一致で選んだ。サリバン賞にふさわしい人物を選ぶことができ、賞に新たな1ページを記した」と選考の経緯を話した。  岩橋さんは「岩橋に21歳で嫁ぐまでは、福祉にも視覚障害にも知識がなかった私でしたが、義父の岩橋武夫が心血を注いだアジア盲人福祉会議開催に向けて、英文タイプを一生懸命打ったのが私の最初の仕事でした。それから30年間、世界各地に先輩、友人を得ることが出来、私の宝となりました。国際会議で、多種多様な国の方々の言葉を英語通訳した苦労も思い出の一つです。ライトハウス理事長の職もつなぎのつもりで引き受けたら、15年も続いてしまいました。これもすべて役職員をはじめ皆さんのおかげによるもので、大過なく過ぎたことに感謝しています。これからは若い人に後事を託したいと思います」と謙虚に挨拶した。 ●36回点字図書館ボランティア懇親会  「瞽女さんの唄が聞こえる」を上映  東京ヘレン・ケラー協会点字図書館で活動するボランティアへ感謝を込めて開いている恒例のボランティア懇親会が10月26日、当協会3階ホールで開かれた。 36回目にあたる懇親会は、約40人のボランティアが参加。理事長の交代を受けて9月から常勤になった三浦拓也理事長の挨拶のあと、5年活動を続けた3人に感謝状が贈呈された。  石原尚樹点字図書館長が1年間の活動報告をしたあと、特別イベントとして記録映画「瞽女さんの唄が聞こえる」を上映。昭和40年代まで越後高田(現・新潟県上越市)で暮らし、今では姿を消した盲目の芸能集団・瞽女の生活を記録した貴重な映像を全員で鑑賞した。その後、テーブルを囲んでの懇談に移り、秋のひとときを過ごした。 ●学院総会懇親会に75人出席  創立60周年を記念して功労者4氏に感謝状、電動ベッドを贈呈  ヘレン・ケラー学院同窓会の学院創立60周年記念・平成22年度総会・懇親会はヘレン・ケラー女史誕生日の6月27日午前11時から75人が出席して、学院講堂で開かれた。  総会では愛宕洋志会長が、60周年記念に同窓会から学院に電動ベッド2台を贈呈したと報告したあと、同窓会運営などに功績のあった里見和男、佐藤実、故長瀬文代、故池田富夫の4氏に感謝状と記念品を贈った。続いて議事に入り、21年度活動報告・同決算報告と22年度活動計画・同予算案を満場一致で了承した。協会創立60周年記念チャリティーコンサートについて、愛宕会長は「私たちができるのは、チケットを買って大勢でコンサートに行くこと」と協力を呼びかけた。  総会に続いて、NHKラジオ番組「視覚障害者のみなさんへ」などを担当したアナウンサーの柴田優子氏が「視力は零 でも可能性は無限大」と題する記念講演を行い、感銘を与えた。懇親会では出席者全員が近況を報告し、和気あいあいのうちに散会した。 ●サポートグッズフェア 8月開催  暑 暑 暑 盛況  当協会恒例の「サポートグッズフェア2010」は8月18日、協会3階ホールで開かれ、終日来場者でにぎわった。  猛暑の中、開場の午前10時前には早くも数人の方が来場、説明員も期待に応えようと汗みずくで応対した。この日は、発売されたばかりの携帯電話「らくらくホン7」、人気の視覚代行システム「オーデコ」、初めてお目見えした超音波センサー付き白杖「スマート電子白杖」などの出展の他、芝浦工業大学大倉研究室からはサイクリングゲーム「サウンドハンター」も登場し、約130人の来場者は直接手に触れたりゲームに参加したりして楽しんだ。協会もペットボトルの飲料水を配るなど、暑さ対策も万全にして真夏のイベントを盛り上げた。  また今年7月に切り替わる地上デジタル放送を多くの方に理解してもらうため、前回に続きセミナー「地デジの準備は大丈夫?―地上デジタル放送導入ガイド」を開催し、総務省認定説明員である当協会職員が2台の音声対応テレビを使って分かりやすく解説し好評だった。 (写真説明)新製品の携帯電話の説明を熱心に聞く来場者たち ---------- “視覚障害者と共に” 社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会 ホームページもご覧ください。 http://www.thka.jp