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協会概要

ヘレンケラー・サリバン賞

 「ヘレンケラー・サリバン賞」は、視覚障害者の福祉・教育・文化・スポーツなど各分野において、視覚障害者を支援している「晴眼者」にお贈りする賞です。これは、「視覚障害者は、何らかの形で健常者からのサポートを受けて生活している。その支援に視覚障害者の立場から感謝の意を表したい」との趣旨で、当協会が1993年(平成5年)に創設しました。なお、同賞の名称は、ヘレン・ケラー女史と同女史を生涯支え続けたアン・サリバン女史の両氏の名に由来します。
 選考は、視覚障害者によって推薦された候補者の中から、当協会が委嘱する視覚障害者の選考委員によって、検討・決定しています。第1回の社会福祉法人全国盲ろう者協会理事長の小島純郎千葉大教授に始まり、毎年1回、選ばれた個人・団体の献身的な行為と精神に対し、感謝を込めてお贈りしています。

2017年度ヘレンケラー・サリバン賞は特定非営利活動法人「点訳・音声訳集団一歩の会」理事長の岩野英夫氏に

 本年度の「ヘレンケラー・サリバン賞」受賞者は、「心をこめて、よりよい奉仕を 支えあって共生」を合い言葉に、録音・点訳図書制作貸出・寄贈・ガイドヘルパー事業を行っている特定非営利活動法人 点訳・音声訳集団一歩の会の創立者で理事長の岩野英夫氏に決定した。
 贈賞式は10月3日(火)に当協会で行われ、本賞(賞状)と副賞として、ヘレン・ケラー女史の直筆のサインを刻印したクリスタル・トロフィーが贈られた。

受賞理由

(写真)「一歩の会」理事長の岩野英夫さん

「一歩の会」理事長の岩野英夫さん

 岩野英夫氏が、練馬区立図書館音訳講習会修了者4名と点訳・音声訳集団一歩の会を立ち上げたのは、1994年4月のことであった。
 それに先立つ1年前の1993年1月から、彼は自宅マンションの近所に住む視覚障害者と知り合いになり、個人ベースでプライベート録音サービスをおこなっていた。
 当時、彼はタカマツ加工という各種プラスチック材料およびその製品の販売を行う商社を経営していた。1991年にバブルが崩壊し、1992年に入ってから全国の地価は下落し始め、この頃からプラスチック産業は、市場性が高く、高度成長が期待できる中国へ進出した。バブル期の超多忙な生活から解放され、皮肉なことにやっと人間らしい生活を取り戻すことができた52歳の岩野氏も第2の人生を考える時期に来ていた。
 彼が改めて朗読を本格的に習い始めたのは、マイクを使うことから離れて久しく、限界を感じていた頃、ちょうど目に付いたのが音訳講習会であったからだ。
 彼は会社を立ち上げる前に実は芸能活動も20年ほど行っていた。十代の頃は親戚が表面処理(メッキ)工場を営んでいたので、そこで働きながら童謡歌手の歌のおばさんこと安西愛子という大御所の指導を受け、結婚式の司会とか、音楽プロデュースの仕事などをおこなっていた。
 その当時のことで思い出深いのは、東京都青梅市に盲老人ホーム聖明園ができて4・5年たった頃から、池袋ロータリークラブの方々と慰問活動を10年ほど続けたり、東京都東村山市にある国立ハンセン病療養所の一つである多磨全生園に慰問に行き、その後は、ボランティア活動で完成した録音物を長く寄贈したことだ。
 もう一つの思い出は、矢崎節夫という詩人と二人三脚で、「童謡とその詩人たち お話と歌によるコンサート」というタイトルで、童謡詩人・金子みすゞの詩「わたしと小鳥とすずと」などを歌に乗せたコンサートを10年くらい続けたことである。
 岩野氏が音訳ボランティアを志した動機は、自分が司会などの芸能活動を行ったことがあり、しゃべりにある種の自信があったことだった。だが、一歩の会を立ち上げてみると、マイクの前で語ることはほとんどなく、もっぱらマネージメントに専念した。
 ゼロからのスタートなので、どのような機材を揃えるかで悩み、ソニーのカセットデッキを選び、ドキュメンタリーが少ないというので、第1作目は『ホームレスになった』という都庁の職員でルポライターの作品を、地方の放送局の元アナウンサーだった会員にお願いした。
 一歩の会は現在、4つの月刊誌と1つの週刊誌という録音雑誌をはじめ、様々な音訳・点訳冊子を発行している。選考委員会では約20年間の点訳・音訳活動、なかでも『週刊東洋経済』デイジー版が、原本発行の翌週には読者の手元に届いているとして、その迅速な音訳サービスを驚きとともに高く評価していた。
 それに加えて、有償事業ではあるが、きめ細やかなガイドヘルパー事業がことのほか高く評価された。それは、一歩の会の所在地である東京都練馬区だけでなく、希望者には広範囲に同行援護利用契約を結びガイドヘルパーサービスを提供しているからである。とくに緊急事態に対しては、事情をよく考慮してユーザーの立場に立った支援を行っていると激賞した。

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